自閉症児の発達例|定型発達児と【比較】【実例シリーズ】

2020年6月14日

大切なわが子が自閉症・自閉スペクトラム症かもしれないと思う親にとっては、今のわが子発達状態がどの程度の位置にいるのか、既に診断されている子はどんな発達を辿ったのか、とても気になるところですよね。

今回は一人の例ではありますが、知的障害を伴う自閉スペクトラム症(自閉症)の息子の発達の様子と、現在の様子お伝えします。他の自閉スペクトラム症児については、最後の章の「まとめ」をご覧ください。

はじめに

自閉症と自閉スペクトラム症の違いについては、【自閉症】【自閉スペクトラム症】【発達障害】の違いとは?ページに詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

〇● この記事の目次 ●〇

定型発達児と【比較する】ということ

定型発達児と自閉スペクトラム症児の違いについての気づきは、定型発達児との関りの経験や知識が多いほど明確になると報告されています。参考:埼玉大学紀要 教育学部,66(2):401-413(2017)「知的障害のない自閉症スペクトラム障害児の初期発達に関する研究」根岸 由紀、細渕 富夫

そこでこのページでは、息子の発達の様子について、発達の目安(定型発達児)との比較も交えて見ていきます。

早期の気づきの大切さについては、下記ページをご覧ください。

息子に【自閉症を意識した】月齢

私は、息子が1歳4ヶ月のときにネット検索で【自閉症】という言葉に出くわし、意識し始めました

他の人はどうでしょう。前述の研究では、ゆくゆく自閉症・自閉スペクトラム症と診断された子の多くの親、(「障害」と認識していないことが多いが)かなり早い段階で違和感や育てにくさを抱いていると報告されています。

知的障害を伴わない場合でも、1歳未満で22.8%の親、2歳未満でほとんどの親が気付いたと報告しています。

息子に【自閉症を意識した】理由

はじめて自閉症を意識した1歳4ヶ月
  • こちらを見るが、ジーっと目を見つめあったことがない。同じ月齢の姪は小さい頃からジーっと見つめ合えていた為違和感を抱いていた。
  • 基本的に一人遊びで、家にいればあまり手が掛からない。
  • 身体発達の遅れ。一人歩きしたてで不安定。
  • 自分の意志でバイバイをしない。促されてやっても手首が前後にカクカクする動きだった。

息子の発達【概要】

  • 思い返してみると兆候があった時期…新生児期~
  • 発達遅延のはじまり…生後3~4ヶ月頃
  • 初めて「自閉症」を意識…1歳4ヶ月
  • 定型発達児ではないと確信……1歳6ヶ月
  • 療育開始……1歳10ヶ月
  • 医師による診断…2歳5ヶ月

以下で詳しく振り返っていきます。

妊娠・出産:問題なし

  • 問題なし
  • 自閉症の原因の可能性がある「遺伝」「妊娠中の子宮内環境」も心当たりなし

新生児期~生後3ヶ月:早期サインはあり

  • 早期サイン
    • 把握反射がなかった
    • 手を触られるのを嫌がった
  • 定型発達とおりなこと
    • 母乳もよく飲み、睡眠リズムも普通
    • 基本的にご機嫌で、日中は布団に置けていた
    • あやすと笑うし、不機嫌な時は泣く
    • 喃語も出ていた
    • 抱っこで寝た後、布団に置くと泣くという反応は他の子と同程度
    • 首座りも早くはないが、問題なし
    • 結果、「発達の不安」は全くなかった

定型発達とおりなこと

自閉症_新生児の頃は問題なし(反応微笑)
【参考】新生児の微笑
  • 自発的微笑
    • 赤ちゃんの自発的微笑は、お腹にいる時から発生しています。生後は1週間ほど見られ、主にレム睡眠などウトウトしている時などに起こりやすい反応です。音や人に対する微笑ではありません
  • 外発的微笑
    • 生後7~10日頃になると、音に対して微笑反応が出来るようになります。
    • そして、視覚刺激での微笑は、コントラストなどに対して生後1~2ヶ月頃からはじまり、新生児の微笑のピークと言われる生後3ヶ月頃には、顔などを見て笑えるようになります。
自閉症児_小さい頃からよく笑った

定型発達児でもよく笑う赤ちゃんと、あまり笑わない赤ちゃんと個人差が大きいようです。参考:Hagukum「新生児っていつから笑うの?笑う理由や赤ちゃんを笑わせる方法、ママ・パパの体験談も!」2020.5.26

自閉症児_45°頭をあげる
自閉症児_首の座りから遅れがみられる

自閉症の兆候(早期サイン)

  • 把握反射がなかった
    • その他の原始反射(モロー反射や哺乳反射など)はありました。
  • 手を触らせてくれなかった
    • 生後直後から手を握ってもスルっと手をほどく
    • 赤ちゃんが指をぎゅっと握ってくるアレ(把握反射)を試しても、見られず。
    • 思い通りにはいかないものかと、気にすることはありませんでした。
  • 目をみつめてくれない
    • 他には、目が見えるような頃から、姪っ子と違って目をジーっとは見てこないなーという感じ。
    • でもこちらの顔は見るので、特に不安には思いませんでした。
自閉症児_把握反射_ない

原始反射は乳児期早期にみられる反射です(図 2-16).現れるべき時期にみられないとき,消失する時期にみられるときは,脳や神経系に異常があるかもしれません.

株式会社 学建書院「4.運動機能の発達」より引用

手を触らせてくれないこと

おそらく、自閉スペクトラム症(ASD)児によく見られる「感覚過敏」の一つだと思われます。ASD児の感覚過敏は、年齢が経った方が目立ちますが、乳児期からでも認められます。

ASDの感覚の特徴の問題は、乳幼児期から重要とされる。自閉症の同胞研究 17) では、乳児期の感覚の特徴も問題の有無が、後の自閉症診断に影響した。

精神神経学雑誌 第120巻 第5号(2018)Pp.369-383「自閉スペクトラム症の感覚の特徴」高橋 秀俊、神尾 陽子 p.371

操作的診断基準の一つであるDSM-5にも、2歳位までに認められる自閉スペクトラム症の診断項目の一つとして「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ」が含まれています。自閉スペクトラム症の診断項目の詳細については、下記ページをご覧ください。

手を触らせてくれない様子は、下記動画でご覧いただけます。

感覚過敏の自閉症児の赤ちゃんの動画
Youtube|自閉症 赤ちゃん 手を触らせてくれない

息子の感覚過敏は、幸い聴覚、嗅覚にはなかったのですが、触覚と偏食に繋がる味覚に現われました。後の方で詳しく記載しています。

生後4ヶ月~:運動機能の発達遅滞

  • 首座り以降、運動面の発達遅延が見られ始める
    • 寝返りをうてない
    • うつ伏せで胸をあげられない
    • 支えなしのお座りが遅かった
    • お座りが出来ても姿勢がピンとはずっとならなかった
    • ハイハイが遅く、出来てからも片足が立てひざだった
  • 社会面では、いないいないばぁを喜んだり、おもちゃを引っ張ったりなど、問題はなかった
POINT

寝返りもせず、コロンと寝かせていてもわりといつもご機嫌でニコニコしているので、手が掛からなかった

POINT2

自閉スペクトラム症児=運動面の発達が遅いというわけではありません。知的障害児では、運動面の発達が遅い子が多いようです(その場合、多動が目立ちます)。知的障害については、こちらのページをご覧ください。

寝返り:ずっと打てず

寝返り(目安:生後4ヶ月~6ヶ月までに)しようとする動きはずっとありましたが、結局ずっと出来ず仕舞いでした。一人で寝かせていてもあまりぐずりもせず、静かで手がかかりませんでした。

自閉症児_ずっと寝返りができない

お座り:遅い

支えなしで座る(目安:生後5ヶ月~7ヶ月)は、生後7ヶ月でできたが、あくまで親が置いたら倒れないというもの。姿勢もピンとはならず、背中が丸まっている。体幹が全然ない感じ。生後9ヶ月になっても寝返りもうてないので、倒れたら自力で起き上がれず、ずっとその姿勢のまま。これはお座りが出来たと言っていいのか不明。

脊椎筋の協調運動が発達して背中を丸くするかわりに背筋はピンとして座ることができる

発育発達研究 第74号 「乳幼児(0∼2 歳)の(把)握力調査とその発達経過の検討」(元常葉大学 保育学部教授)田口喜久恵 etc.(2017年)Pp.34-44
自閉症児_お座りが遅めだった

1歳0ヶ月:ハイハイ(3~6ヶ月遅れ)

ハイハイするには、手と足を交互に使えないといけない(中略)ハイハイに必要な手と足の交互運動ができるようになるのは、寝返りができて、お座りができるようになったころです。

NHKすくすく子育て「赤ちゃんの発達と不思議な動作」榊󠄀原洋一(お茶の水女子大学副学長・小児科医)2016年10月15日 放送

ハイハイ(目安:生後6ヶ月~9ヶ月)は1歳になってやっとやるように。普通にハイハイもしていましたが、よく片足が立てひざになっていました。歩けるようになった後に遊びながらハイハイするときも、同じでした。手と足を交互に出す動きが上手く習得出来ていないことがわかります。

自閉症_ハイハイ遅いし立て膝

1歳0ヶ月:つかまり立ち(2~5ヶ月遅れ)

自閉症_つかまり立ち遅い

つかまり立ち(目安:生後7~10ヶ月頃)は、約2~5ヶ月遅れで出来ました。

抗重力筋としての粗大筋が発達し,それらと連携する神経系が発達することにより寝返りやお座り,這い這い,歩行という姿勢制御,移動運動に関わる運動発達が可能となっていく.

発育発達研究 第74号 「乳幼児(0∼2 歳)の(把)握力調査とその発達経過の検討」(元常葉大学 保育学部教授)田口喜久恵 etc.(2017年)Pp.34-44

0~1歳:息子の参考情報

とにかく可愛いくて、大変でもなくて、楽しい子育ての毎日でした。

定型発達児との比較(生後8ヶ月)

比較

同じ誕生日の定型発達児と再会した時の画像です。定型発達児では、自分の体を自由に動かせています。

自閉症児と定型発達児との比較

ベビーカー、チャイルドシートは嫌がらない

情報
自閉症児_チャイルドシート嫌がる?

これは個性なのかもしれないので参考までに。自閉症の息子は、ベビーカー、チャイルドシートを嫌がりませんでした

泣くときもありましたが、おそらく心理的ではなく、生理的な不快感が原因と思われる感じでした。

手が掛からない

情報

どこかにチョンと置いたり、母が見えなくなったことで泣くことはありませんでした。私は息子がいることで、家事や外出など「○○が出来ない!」と支障を感じたことはありませんでした。場所見知りもあまりなく、買い物や電車での移動も大変ではありませんでした。

他の子と大差なく感じていた

情報

生後8ヶ月から始めたベビースイミングでは他の子との差は何も感じず。プールは潜らせることも最初から怖がらなかった。歩けない分、ヘルパーを付けて自由に動けてとても嬉しそうにしていました。脱衣所でも他の子と同じ様子でした。

人にあやされると愛想よく反応していまいた。

人見知り・後追いも一般的な時期に、きちんとありました

1歳4ヶ月:初めて嫌な焦りを感じる

つたい歩きが上手になっていた頃です。保育園への慣らし保育をきっかけに、他の子との差が、より目に映るようになったのです。そして、下記のことがより気になりだし、調べて「自閉症」という言葉を目にして、楽しかった育児から一転、嫌な焦りを感じはじめました

  • こちらを見るが、未だにジーっと目を見つめ合えない
  • まだきちんと歩けない(靴を履いて外は歩かせられない)
  • マイワールドが強く手がかからない
  • 基本的に一人遊び
  • 親への意思表示が少ない
  • 自分の意志でバイバイをしない(小学2年生まで)
  • 「バイバイして」と促すと気が向いた時だけするが、手首を前後にカクカクさせる

育児経験者ならもっと早く気付くかもしれませんが、私は息子を集団に入れて初めて気が付きました

自閉症児によくある「目が合わない」ことも、息子はよく人の顔は見るので、「全然目が合わない」という印象はありませんでした。

この頃の【参考情報】

裏手で逆さバイバイした?

よく自閉症児の例で言われるような「手を裏にしてバイバイをする逆さバイバイ」はありませんでした

周りの自閉症児でも裏バイバイする子はまれでした。いなかった、ではなく、まれと書いたのは、「誰」とも思い出せなシチュエーションで、1回だけ見たからです。「やっぱりそうやってする子がいるんだー」と思ったことだけ覚えています。

ちなみに普通に左右に振るバイバイは、幼稚園に入る頃にはできていたと思います。

ちなみに成長につれてピースが出来るようになったのですが、裏手で逆さピースでした(現在進行形)。

1歳6ヶ月:感覚過敏、言語発達遅滞、共同注意と模倣なし

運動機能面では、やっと一人で靴を履いて歩けるようになりました。

1歳6ヶ月:一人で上手に歩く(3~7ヶ月遅れ)

自閉症_一人歩き_遅い

その他は、感覚過敏、言語発達、共同注意、模倣の面などで異常・発達遅滞が認められました。

感覚過敏が徐々に現われる

【その1】触覚過敏:絶対手をつながせてくれない

前述し新生児の頃からの感覚過敏は変わらずです。そのため、歩けても手はつないでくれません。他の子は、手を繋いで歩いています。とても気になりました。

歩くときに危ない場面でちょっとでも手をつなぐと、かなり激しく泣き叫び寝転がってまで手を抜こうと抵抗していました。

【その2】味覚過敏:少しずつ偏食に

離乳食はなんでも食べてくれましたが、完了期からはそうはいかなくなっていきました。栄養士さんに相談して、少し柔らかいものに戻すといいかもねというアドバイスをもらった記憶があります。

言語発達遅滞

有意味語は1語。出発進行の時の掛け声の「しんこー!」だけでした。

本来、1歳6ヶ月の子どもがどのくらい話せるかは、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

また、わが子の言語発達遅れに不安になっている方は、下記ページもご覧ください。

共同注意:なし

この頃になっても、共感してほしいというような言動ありませんでした。私に知識がないので当時はそれが定型発達児との大きな違いであることには気が付いていませんでした。

共同注意に代表される【指さし】で見ると、1歳半健診で出される【応答の指さし】問題では、不正解でした。

※自閉症児でも【指さし】自体はするので、指さしをしているから自閉スペクトラム症ではないとはなりません。詳しくは「【指さし】の5段階発達・自閉症児は3段階以降が困難」ページをご覧ください。

検診の指さしチェックの際も、用紙内の絵柄に対して【指さし】はしていました。好きな絵柄でもあったのか、その用紙がほしかったのか。保護者への聞き取りでも、「普段指さし(叙述や要求の指さし)しますか?」の質問に、無知な私が「はい(要求の指さし)」と答えたので、たまたまクリアとなったのかもしれません。

模倣:なし

手遊びなども模倣をすることはありませんでした。模倣は、自閉症児には難しいこととされています。

自閉症のある人たちは「模倣」が苦手で、他者の動作・行動の理解や社会性の学習に困難があります。

独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所「自閉症の人は模倣が苦手?-ミラー・ニューロンと自閉症-」国立特別支援教育総合研究所客員研究員 渥美 義賢

1歳半健診で出される積み木の模倣でも、真似して積み木を重ね上げることはせずに、与えられた積み木で好きに遊んでいました。

※模倣は小学生に入るまで、手遊びやダンス、作業療法をはじめ、日常生活でも苦手な項目でした。

1歳6ヶ月児健康診査(1歳半健診)

1歳半健診では、手続き的に要経過観察とはなりませんでした。しかし、知識を持った今思い返すと、チェック項目はすべて引っかかっていました。

参考までに、1歳6ヶ月児健康診査では、どんな発達チェックをするのかは、下記ページに詳しくまとめてあります。

1歳6ヶ月頃:息子の参考情報

どんな風にして過ごしている子だった?

情報

●部屋のおもちゃで一人で遊んでいました

親に何かを持ってきたり一緒に何かをしようという感じではありません。親が遊びに加わるのは嫌がるでもなく、嬉しそうに・楽しそうにしている印象でした。

発達の過程で母親への後追いがしばらくあったことが不思議なくらいですよね。

絵本の読み聞かせやテレビも興味があれば見ていました。

●お友達におもちゃを取られても

気にしていない様子でした。

じゃあ他ので遊ぼうという感じでした。

私の顔を見たりすることもありませんでした。

自閉症児によくある特性で、当てはまらなかったもの

  • 感覚過敏のうち、聴覚と嗅覚
  • つま先歩き
  • クレーン現象
  • 身体をゆすり続ける
  • 手をひらひらさせてそれを見続ける
  • タイヤをくるくるして見続ける

1歳10ヶ月:定型発達児ではない確信・療育をはじめる

1歳10ヶ月には、息子に対し定型発達児ではない違和感不安はピークに達していました。きっと息子は定型発達児ではない、と確信していました。理由は下記です。

  • 1歳6ヶ月時点で記載した「感覚過敏、言語発達遅滞、共同注意なし、模倣なし」はあまり変化なし
  • 手の掛からない・何も嫌がらない息子はどこへ行ったのかというほど、息子の行動が大変になっていった

特に記憶にあるポイントは下記です。

【ポイント1】「多動」が目立ってきた

すっかり歩き回るのが上手になって、多動が目立ってきました。「歩きたい」という行動だけ見れば、定型発達の幼児にもよく見られますが、共同注意のなさからその雰囲気には違和感があります。

また、食事でも座っていられなくなっていました。食そのものにも興味が薄くなっていた印象です。多動が目立つ前は、椅子に座ってじっくり食べる、大人の食事中は外食先であっても息子の存在すら忘れられるほど大人しく座って待っていたのにです。

外出時にどこかお店や部屋に入っても、すぐ扉を開けて出ていきたがるようになりました。

多動の原因などについては、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

なので家族やママ友さんと食事処に行っても、みんなと一緒に食べるとは出来ず、とても辛かったです。

【ポイント2】視覚の感覚刺激:「横目」をして歩く

本能的に「この行動は、おかしい」と感じた

しばらくして安定して歩けるようになった頃から、ずっと横目をして柵などの場所を行ったり来たりするようになりました。距離が短くても、そこを何度も往復するのです。下図の6畳の和室でも、何往復もしていました。

さすがにこの行動は焦りではなく「あ、これは違うぞ…」と本能的に定型発達児ではないと感じる感情が湧いてきました。下記のような動きです。

自閉症と多動の動画
【自閉症の特徴 No.4/12】自閉症 横目 2歳|視覚刺激

視覚の感覚刺激

このは自閉症児の特徴の一つである、視覚の感覚刺激ですが、自閉症によくみられる「こだわり」の発達過程(5段階)の2段階目「興味の限局」にあたる行動の一種です。

これに続いて、順序のこだわりなどへ発達していくのです。詳しくは、下記ページで説明していますので、是非あわせてご覧ください。

横目での感覚刺激のこだわりは、4歳頃まで続きました。ピーク時は歩いている/抱っこ/ベビーカー/車などで「移動している時の8割景色や地面を横目で見ている」位でした。

その頃の様子が下記動画でご覧いただけます。

言語発達

言葉はまだ数えられる程度でした。詳しくは2歳の項目をご覧ください。

親子教室へ通うように

役所に発達不安の件で相談をして、「空きがあるから不安なら」と2歳から3歳までが通う親子教室(隔週1回60分)へ通えることになりました。

  • 多動や横目を当然のように受け入れてもらえ、とても安心できる環境だった
  • 数名の保育士さんがいて、10組くらいの親子が通っていた
  • ご挨拶や手遊び、絵本を読む間椅子に座る練習、皆で座っておやつを食べる練習などをした

欲張って並行して地域の英語リトミック教室へも通い始めました。

こちらでは、他の子みたいに出来ていないし、毎回終わると「続けていていいのか、辞めるべきなのか」悩んでいました。下記ページに、その時の様子や、心理士さんから聞いた幼児教室を辞めるかどうかの判断基準をまとめていますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

2歳0ヶ月:言語発達遅滞、偏食、多動が【さらに目立つ】

言葉の遅れ偏食などの感覚過敏、そして多動が、より”目立ってきました。

言語発達

2歳0ヶ月で喋れる言葉は下記の13個程度でした。

  • 「ティップ」→ミルク・牛乳
  • 「で」「でんし」→電車
  • 「にゃー」→猫
  • 「あち」→熱い
  • 「ゴ」→イチゴ
  • 「こーこ」→飛行機
  • 「こっこ」→エアコン
  • 以下、擬音語
    • 「プップー」→車
    • 「ゴー ティキリ」→洗濯機
    • 「アーアー」→カラス
    • 「ティープーティープー」→救急車
    • 「ミーンミーンミーン」→セミ
    • 「アバアバ」→バス(曲がるときの警告音)

味覚過敏:偏食がより強固に

1歳半から見られていた偏食(味覚過敏)は、2歳頃にはより強固になり、決まったものしか口にしなくなりました。牛乳、温野菜程度です。

触覚過敏:手だけでなく、体も

非常にくすぐったがりなのも目立ってきました。

着替えの時にくすぐったがり、多動でもあるので、着替えさせるのが非常に大変になってきました。小さい頃は全く大変ではなく、お人形のように親の思うように着替えてくれていたのですが。

体に触れることも好みませんでしたが、抱っこ、シャワーなどの水圧に痛がるほどの重症度ではありませんでした。

「自閉症」への確信

この頃の母は、息子は自閉症なんだろうと確信めいた気持ちがありました。しかし、まだ受け入れられておらず、暗闇から抜け出せず、とても不安になっていました。

私の母やママ友などの周りからは、何の問題もないと言われるのが、かなり辛かったです。

母は退職を決め、息子にもっと手を掛けることを決めた頃でした。

2歳4ヶ月:共同注意の発達、言語発達はオウム返し

少しずつ共同注意が発達してきて、なんとなく「息子と一緒にいる感じ」が実感できはじめた頃です。

言語発達:オウム返し

当時は気が付いていませんでしたが、会話のほとんどがオウム返しでした。下記動画は、その様子です。

共同注意の発達が遅かったので、オウム返しをしてくれるだけで私には十分愛着形成がなされるやり取りでした。

自閉症児のオウム返しの様子が分かる動画
【自閉症の特徴 No.9/12】自閉症 言葉 オウム返し 2歳|即時反響言語

2歳5ヶ月:「発達障害」の確定診断

発達外来から「何らかの発達障害でしょう」と診断を受けました。

先述した多動項目での動画は、その発達外来の待合室でのものです。私は落胆することよりも「やはり」と自分が間違えていないことに安堵しました。

この安堵感は、自閉スペクトラム症の母親の特徴的な経験だという研究結果もあります。

広汎性発達障害児の母親の診断告知時に母親が抱く感情として,診断告知への衝撃や育児と子どもの将来への不安,障害を知らずに子どもに接してきたことへの母親の自責感や後悔の念など否定的感情と,診断告知によって子どもの問題がわかり,安堵感を抱くといった肯定的感情として現れるなどの確定診断の難しい広汎性発達障害児の母親に特徴的な経験があると述べている

公益社団法人 日本小児保健協会 小児保健研究 78巻3号 (2019年)Pp.228-236「広汎性発達障害児の母親が自己肯定感を抱く経験とそのプロセス」石井 裕子 p.228

発達外来をどのように予約して、どのように診察されるかなどは、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

この診断時、発達外来の医師から「発達障害児はてんかんの発症率が高いため、お母さんもてんかんを頭の片隅に留めておいて」と言われ、予言のようにその一ヶ月後、てんかんを発症しました。

2歳6ヶ月:叙述の指さし習得・難治性てんかん発症

叙述の指さし習得

通常、1歳~遅くても1歳6ヶ月までに習得できるという【叙述の指さし】(1歳6ヶ月児健康診査でチェックされる「○○」はどれ?に応える指さし)が出来るようになっていました。

難治性てんかん発症

難治性てんかん(レンノックス・ガストー症候群)を発症しました。下記ページで詳細をご覧いただけます。

数年間、毎日のように大発作→数時間意識消失を繰り返す日々が続きました。意識消失から目覚めると、ずっと泣きぐずっている状態です。

親子教室に行ける機会がとても少なくなり。親子スイミングと英語教室は辞めることになりました。

※一時は脳の半分を摘出した方がまだ彼にとって楽な選択肢だ、という話も医師からされるくらいでしたが、何種類も薬を試し、最後の1つとなった新薬のお陰で、幸いその選択肢が選ばれることなく少しずつコントロールできはじめています。

3歳:普通の幼稚園へ入園

年少になる頃は、社会的コミュニケーションの困難さ、多動、偏食がさらに強くなっていました。

しかし、地域の通所施設(障害児の幼稚園のようなもの)は、年齢の高い子が優先され、年少児の受け入れはできませんでした。

役所の心理士さんの後押しもあり、普通の幼稚園へ入園を決意し、発達・てんかん発作を受け入れてくれた素晴らしい地元の大きめの入園が出来ました。

この頃、てんかん発作は、服薬の調整で意識を失う大発作が2日おき、小さめの発作が一日数回程度に減っていたため、朝に大発作がない日は、通園できました。

言語発達

言葉は遅いなりにも発達していきました。よく自閉症児に言われる「単調で機械のような」独特な抑揚は全く見られず、多くがオウム返しだということには暫く気が付きませんでしたが。

疑問形で尋ねると、きちんと肯定系のイントネーションで返してくるんですもの。ある意味凄いわ。

「ご飯食べる?」に対して「食べるー!」や「うん」と嬉しそうに返すけれど、ご飯を出しても「たべない」「いらない」という具合で、よく「え…???」となっていました。

自閉症児のオウム返しについては、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

幼稚園での様子

常に教室を飛び出す

息子は普通の幼稚園ついていける訳がなく常に教室を飛び出したままでした。

基本的に一人で園庭や廊下をウロウロしていて、手の空いている先生や幼稚園バスの運転士さんがそんな息子に常に付き添ってくれていたようです。(感謝っ!泣)

お弁当の時間も大変そうでした。先生が息子を腕で肩組ししながら、一瞬でパパっと食べさせないと、すぐ席を立つとのことでした。(感謝っ!泣)

環境が嫌でどこかに隠れる

縦割り保育の時間もあり、その際には多くの年長児達に「教室から出たらダメだ」と出口を塞がれたようです。隙をついて何とか教室から出るも、環境の嫌気からか、息子はどこかへ隠れてしまうこともあったようです。

毎朝泣く

息子も毎朝登園をとても嫌がり準備の時から泣き、先生に預ける際はより泣き叫んでいました。数ヶ月経っても、慣れることはありませんでした

先生のことは大好き

幼稚園の先生方はとても素敵な方々で、一対一で遊んだりお話ししてくれる時間は息子も大好きだったのですが。

ちなみに朝にてんかん発作があった日(週に2~3日)は、お休みし、母子ともに安堵の日となっていました。

3歳5ヶ月:田中ビネー知能検査、療育手帳取得

大学病院で行った田中ビネー知能検査Ⅴでは、IQ58でした。(2年後にはIQ50以下、現在も50以下)

この頃、療育手帳を取得しました。療育手帳の取得条件や方法は下記ページをご覧ください。

3歳おわりの頃:はじめての「児童発達支援」のお教室へ

今では発達に不安のある未就学児対象向けの「児童発達支援」のお教室はたくさんありますが、息子が2、3歳だった2010年頃はまだあまり普及していませんでした。

「児童発達支援」については、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

幼稚園の夏休み期間を利用して、障害児通所受給者証を取得し、車で30分かけて通ってみることにしました。

さすが「療育」!!

さっそく通ってみると、保護者同席で、1回45分(マンツーマン指導:30分、保護者へのフィードバック/その際子どもは横で集団指導:15分)程度の療育ですが、さすが障害児対象の療育だ!と驚くことがたくさんありました。

専門性が違う!!

その教室は、臨床心理士さん、作業療法士さん、言語聴覚士さん、特別支援学校の元教諭、音楽療法士さん、社会福祉士さん、心理学の博士など、専門性の高い先生が直接指導してくれる環境で、役所の親子教室とは、障害児に対する態度の専門性が違いました

「言われていることが分かっていない」ことが判明!!

また、そこではじめて「息子は、こちらの言っていることをあまり分かっていない」という事実を教えてもらいました。

4歳:幼稚園退園・本格的な療育スタート

児童発達支援の教室へ、通い始めたことをきっかけに「当時の息子の息子には何が必要か」がよく理解でき、幼稚園の先生とも夏休み中に相談し、夏休み明けにお別れ会をしてから退園することにしました。(これも感謝っ!泣)

退園後は、上記の児童発達支援の教室へ、週4日親子で通いました。毎回45分の療育ですが為になる時間の密度が非常に濃く保護者へのフィードバックはとても勉強になる内容でした。

その教室で行われているペアレントトレーニングや、その情報からの自宅での取り組みも含め、本格的な療育をスタートさせました。

また、その療育教室とは別に、これまた別の地域にある「リハビリ施設のある病院」で理学療法(PT)と言語療法(ST)を隔週1日40分ずつをスタートしました。

4歳:こだわり・パニックがとても強く

地域の通所施設(障害児の幼稚園のようなもの)へ無事入園できました。

コミュニケーションしずらさ、多動、偏食はそのままに、こだわり、パニックが目立ってきてすぐにとても強くなりました。自閉スペクトラム症児の【こだわり】は発達に応じて出現・変化していくのです。

こだわりについては下記ページに詳しく書きましたので、ぜひそちらもご覧ください。

しかし、息子が息子のまま、先生を含め他の保護者にも受け入れられ、当然と思っていることでもお互い「すごいねー、偉いねー」と褒め合える環境は、親としてはとても癒されるものでした。

5歳:こだわり・パニック対処のため引っ越す

相変わらずこだわりとパニックに翻弄される大変な子育てでした。

そのために賃貸マンションから、近くに一戸建てを購入し引っ越しました。

てんかん発作はそれまでも何種類か試し、抗てんかん薬を3種類すでに服用していましたが、新薬を1種類追加したことで、目に見える発作が小学校入学前までには奇跡的になくなりました。脳波では現在でもてんかん波はでていますが。てんかんについても相当苦労したので、後日別ページで詳しく記載します。

6歳:特別支援学校入学

対応方法の変更

小学1年生の息子の担当の先生は、通所施設の担当の先生とは対応が少し違いました。

こだわりを受け入れる

幼稚園の先生が「こだわりに対して徹底的に戦っていく」タイプだとしたら、1年生の担任の先生は「危険がなければやらせればいいじゃない」タイプでした。

最初は2年間も通所施設と自宅で戦ってきたこだわりだったので、戸惑いましたが、学校でのパニックはあまりないとのこと。

息子のこだわりとパニックに大変な思いをしていた私も、人の迷惑にならない場面では、恐るおそる息子の思うようにさせるようにしていきました。

自己肯定感への対応

また、先生から自己肯定感が低いことを初めて指摘されました。なので能力はあるのに、意欲があまりないとのこと。あまり褒められてこなかったことが原因だろうと。確かにそうでした。

自己肯定感や自尊感情について詳しく知りたい方は、シリーズ化して説明していますので、そちらをご覧ください。

参考になる本を先生に借り、親からしたら出来て当然と思っていることでも、自閉症の息子にとっては頑張って出来たことなので褒めるようにしました。

意欲が湧くような「頑張ったねシート」的な大きな表を作り、毎回シールを貼ったり、頑張った分だけ楽しみが待っているような環境づくりをしました。

それらの効果

そしたら息子にはそれらがとても効果的でした。

そして、アニマルセラピーを続けていてネコをとても好きになったので飼ってみたら、これもともて効果がありました。

それらの総合的な結果として、2年生の頃にはとても落ち着いてきました。

こだわり・パニックが減り、意欲も湧いて嬉しそうな瞬間が目に見えて増えていました。

そこからは別の何かが今まで以上に大変になることはなく、現在に至っています。

現在の息子

続いて現在の様子です。

年齢

2021年4月現在、中学1年生 学校は特別支援学校に通っています。

診断名

知的障害を伴う自閉スペクトラム症、中度知的障害、難治性てんかん

一般的には自閉症と呼ばる状態です。

知的障害

IQ45で中度知的障害。今では自閉症の特徴よりもそちらの特徴が色濃く出ている印象です。

  • 学習面
    • ひらがなを4年生、カタカナを5年生でマスターしたかなという程度
    • 足し算は1桁をマスター、時計はプリントできちんと考えればある程度正解できるというレベル
  • 着替え
    • 自分でできる。気温に応じた衣類の選択はNG
    • 肌着など目印になるようなものがないと前と後ろの判別不可
    • 畳む、しまうなどはマスター

現在のWISC-ⅣでのDIQは、下記ページの結果例として載っています。

ちなみに自閉スペクトラム症だから知的障害というものではありません。知的障害については「自閉スペクトラム症の併発で最も多い【知的障害】の定義とは?」ページをご覧ください。

コミュニケーション

会話できます。ある程度空気も読みます。今では目も見ます。

自閉症というと、目を見なかったり言葉でコミュニケーションを取れなかったりするイメージがあるかもしれませんが、そんなことありません。そちらについては下記ページにまとめていますので、是非あわせてご覧ください。

今では、昔よくパニックになっていた頃のことについて「あの頃は小さかったからさー」「もうそんなことない」「本当は嫌でも『まぁいいかなぁ、関係ないか』って思うんだ」などと話します。

今は知的障害の方が色濃く出ているのか、口頭指示の内容を理解できなかったり、本人も言いたいことを適切な言葉を使うことが出来ず「えーっと」といつも頭を悩ませています。

こだわり・パニック

こだわりは少しありますが、小さい時ほどではありません。パニックもこだわりの減少と同時に減りました。

偏食・感覚過敏

偏食はかなり軽減しましたがまだあります。給食は療育の一環として「頑張るもの」として完食できています。自宅では食べるものはシンプルなもので限られています。

入浴、衛生面

ひとりで可能。完ぺきにできているかは別問題ですが(笑)

総合的に

成長に伴って自閉症の特徴が薄まってきた気がします。

専門家も「昔は自閉症、成長したらアスペルガー症候群(両方とも自閉スペクトラム障害ですが)になることがある」と言っているので、息子も成長に伴って程度も変化したタイプだと思います。

まとめ

息子はこんな発達を辿ってきました。しかし自閉スペクトラム症の子たちの特性は本当に多種多様で、息子の主治医の先生も「100人いたら100通りの特性」と言ったほどです。

他の自閉スペクトラム症児については、下記ページもご参考になさってください。

そしてその特性は成長と共に変化していくこともあることが分かっていて、息子もそうでした。

息子への対応を振り返ってみると、療育(まだ療育と呼べないような時期でも)に関しては、後悔がないくらいにその時々で精一杯対応してきました。

しかし、息子への態度や声掛けは、「治るのではないか」という知識なさゆえの間違った方向の期待や苛立ち、悲しみもあってかわいそうな態度をとっていたなと後悔しています。

今でも「あれが分かるんだからこれくらい分かるでしょ!」と苛立ち声を荒げる日もあり反省することもあります。分かっていても…。

なので、その時期の後悔は、私にとっても通らなくてはならなかった道なんだと言い聞かせて乗り越えています。

親の障害受容も研究されていて割と当てはまっていて、それを知ったときにはその後悔と罪悪感の辛さが少し救われたので、そちらについても後日別ページで詳しく記載しますね。

今回はこの辺で終わります。

読んで下さってありがとうございました!