共同注意とは?|自閉症との関係
共同注意とは、例えば、赤ちゃんが空飛ぶ鳥に「指さし」しながらお母さんの方を見て、お母さんに「鳥さんだねー」などとこたえてもらうことで嬉しくなるような、その場面、感情を共有するように行動できる能力のことです。
自閉症スペクトラムを理解する上で共同注意の理解も必要になるため、参考資料としてもう少し細かい内容を、簡単にまとめました。
最後に定型発達児と自閉症の比較動画も載せていますので、ぜひ参考になさってください。
自閉症との深い関係
ポイントは生後9ヶ月頃
厳密には共同注意は乳児期から発達していますが、自閉症スペクトラムを考える時には、生後9ヶ月以降の共同注意がポイントです。
なぜ?
理由は、自閉症スペクトラムの場合、生後9ヶ月以降の共同注意の発達が難しいと言われているからです。
生後9ヶ月に何が起こる?
子どもは赤ちゃんの頃は、自分とモノ(または人)という1対2の関係性(二項関係)でマイワールドな世界にいますが、定型発達児であれば、生後9ヶ月頃に、自分とモノと人という1対3の関係性(三項関係)の世界に発達していけると言われています。
世界的に最も権威のある発達心理学者の一人であるマイケル・トマセロ(Michael Tomasello)教授は、三項関係への発達を「9ヶ月革命」と呼んでいます。それほど、このことは、児童発達上 重要なポイントになっています。
その生後9ヶ月に獲得する三項関係は、自閉症スペクトラムの場合は発達が難しいのです。
三項関係は社会性・コミュニケーションの発達において重要な指標の一つであるとされ、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもでは、共同注意に代表される三項関係への参加に困難があると報告されている
脳科学辞典「三項関係」
二項関係の世界にいる自閉症児
2歳でまだ二項関係の世界にいる自閉症児の様子が下記動画でご覧いただけますので、ご参考になさってください。「共同注意がない」雰囲気がよくお分かり頂けると思います。
「指さし」が代表的な動き
共同注意には、大人が見ているものを赤ちゃんも見る「視線追従」や、赤ちゃんは大人の表情からそのモノ・人に対する評価を参考にする「社会的参照」などもありますが、代表的な言動は「指さし」です。
指さしの機能から自閉症児かどうかを考えられる
共同注意の発達が難しい自閉症児では、三項関係に関する「指さし」の一定機能の獲得も難しいです。
その論理を用いて、1歳6ヶ月児健康診査では、発達障害の早期発見のため、応答の指さしのチェックが含まれています。
自閉症児でも指さしはする
自閉症の赤ちゃんでも、一定の時期までは定型発達児と同じように「指さし」をします。
ですがそれは、1歳6ヶ月児健康診査などでチェックされる指さしとは機能性が異なります。
社会性・コミュニケーションに困難を抱える自閉症スペクトラム障害を持つ者では、共同注意にも困難を抱えることが示されており、特に、命令的共同注意ではなく、叙述的共同注意の出現が遅れる、または、見られないということが報告されている
脳科学辞典「共同注意」
上記画像は、指さしと自閉症スペクトラムとの関連性を説明したページのために作成したものです。「指さし」については、下記ページで詳しく説明していますので、ぜひあわせてご確認ください。
言語発達との関係
子どもは共同注意がある場面で、言語をとてもよく獲得することが多くの先行研究で明らかになっています。
詳しくは下記ページにまとめています。
定型発達児と自閉症の比較
指さしが頻?な定型発達児と、共同注意がない自閉症児のともに1歳6ヶ月の様子が下記動画でご覧いただけます。
さいごに
共同注意とは、本来はもう少し複雑な内容なのですが、今回は自閉症スペクトラムと関連する部分を中心に簡単にまとめました。
より詳しく調べたい方は、下記サイトも参考になるかとおもいます。
- ウィキペディア(英語):Joint attention
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!