【障害受容】前を向くために必要なこと

障害受容するために必要なこと

障害受容をするうえで前を向くために必要なことについて、先行研究や情報サイトをもとに、簡単に3点ほどまとめました。

  • ①同じ痛みを知り回復した経験のある人のサポート
  • ②信じて支持してくれる人の存在
  • ③時間

詳しく見ていきましょう。

①経験者のサポート、②支持してくれる人の存在

精神医学のリハビリテーション界で非常に大きな功績を残したアメリカのウィリアム・アンソニー博士は、自身の研究から、メンタルヘルス上の回復には「同じ痛みを知り回復した経験のある人のサポート」が非常に有効であり、また「回復を必要としている人を信じてそれを支持する人」が必要不可欠と述べています。参考:"Recovery from mental illness: The guiding vision of the mental health service system in the 1990s.“, Anthony, W. A. (1993), Psychosocial Rehabilitation Journal, 16(4), 11–23. 

リハビリ_ウィリアム・アンソニー博士
画像はボストン大学より

特に「同じ痛みを知り回復した経験のある人のサポート」については、自閉症児の障害受容の日本の研究でも非常によく見かける項目でした。

国立障害者リハビリテーションセンターで心理実験研究室室長を務められ、リハビリテーション心理学や障害児教育方法論をご専門とする南雲直二博士も、ピアサポート(同じような立場の人によるサポート)は障害受容において、非常に効果的と述べています。

たとえば,ピアサポートは,受傷後うつなどの心理症状の改善に薬物と同じくらいの効果をもつことがそれである.この作用因は仲間とのふれあいであり,仲間との信頼関係であり,仲間との助け合いである.

教育講演「障害受容と社会受容」南雲 直二 (2008) 音声言語医学 49 p.136

障害者が訓練を行っていく中で、家族の支えや同じ障害を持った人との交流により、情緒が安定し、目標に向けて前向きに努力をするようになります。

公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「障害の受容過程」更新日:2019年5月29日

頼りになった相談相手としては、自閉症児を持つ親仲間である友達が一番多かった。

西南女学院大学紀要 vol.9「自閉症の子どもを持つ親の支援のあり方に関する検討–自閉症親の会アンケート調査による」釘崎 良子、服巻 繁 (2005) p.74

自閉症児の親同士の場合、下記のような理由で頼りになったとあげられていました。

  • 「色々と相談に乗ってくれる」
  • 「体験談が役に立つ」
  • 「本音が言えて、育て方など参考になる」
  • 「同じ悩みが分かりあえる」
  • 「同じ悩みを持った人がいると思いホッとした」
  • 「情報交換ができる」
  • 「元気になるきっかけをもらえた」
  • 「本当の大変さを分かってくれる」
  • 参考:「自閉症の子どもを持つ親の支援のあり方に関する検討–自閉症親の会アンケート調査による」(2005)

③時間

障害受容には時間がかかり、その時間も大切な要素になります。

「喪の作業」の各期間には個人差が大きく、一概に何カ月、何年と言えるものではありません。大切なのは、上の4つの段階を一つひとつ、じっくり経験することなのです。こうして丁寧に「喪の作業」を経験することで、現実を受け入れ、再起することができるのです。(中略)

「時薬」(ときぐすり)という言葉があるように、「対象喪失」の悲しみもいつかは癒えていきます。そして、新しい生活に気持ちを向けられる日が必ずやってきます。

All About「生きがいを失った人が悲しみを乗り越えるには?「対象喪失」から再起する方法」執筆者:大美賀 直子 公認心理師・産業カウンセラー 更新日:2021年06月

私はグリーフケアでとても大切な要素は「時間」だと思います。「時間が解決してくれるよ」は、およそ陳腐な慰め言葉ではありません。

note「モーニングワーク〜朝ではなく喪の仕事|臨床心理士への随録 心理学」cocoro no cacari(臨床心理士) 2020年9月15日

無理に受け入れようとするのは逆効果

特に、障害告知後の初期段階である悲哀を感じる頃に、その悲しみと向き合わずに無理をすることは、逆効果であると言われています。

精神分析学的には、愛着の対象や目標、自己イメージなどかけがえのないものを失った際、悲哀の状態に陥ることが当然で、悲しむことから逃げるのではなく向き合い、健全な悲哀を経験することで、現実検討力が回復し、次第に肯定的に受け止めることが出来るようになるとしています。参考:サイエンス.COM「心理学用語:喪の作業(モーニングワークス)」、カウンセリング・コラム「喪の作業(Mourning work)」

精神医学者フロイトが提唱した「喪の仕事」をご存じだろうか? (中略)

耐え難い悲しみに襲われるとき、ただその悲しみに暮れる…
これは、決して、ネガティブなことではない。
むしろ必要不可欠だと説いている。
立ち直るためには、「悲しむ」ことから逃げず、しっかりと「喪の仕事を終える」ことだと。 (中略)

良かれと思って無理に頑張ってしまえば、時の経過が逆効果になり、傷口を深めることにもなる。

IKITOKI「悲しみを乗り越えるために…「喪の仕事」を知る」minami 2016/12/07

肯定的になれるのはいつ頃?

肯定的な気持ちになれる日がいつ頃来るものなのか、サイトのテーマであるASDの障害受容についてになりますが、論文からの実例をまとめました。

さいごに

どなたかのご参考になれば幸いです。

その他の障害受容の情報は、下記ページをご覧ください。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!