【田中ビネー知能検査Ⅴ】問題例|検査官がチェックしているポイント

2020年12月13日

田中ビネー知能検査Ⅴどんな問題が出る?

はじめに

【田中ビネー知能検査Ⅴ】がどんな検査かについては、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

全体的にチェックしていること

田中ビネー知能検査Ⅴは、学生のテストのように課題がクリアできるかどうかだけではなく、入室するときからチェックが始まっています

  • 検査の導入
    • 検査室にスムーズに入室できるかな?泣いたり逃げ出したりしてしまうかな?
    • 人見知りはどうかな?緊張しているかな?反抗的だったりするかな?

また、検査の経過について、取り組み具合はどうだったかな?興味をもって積極的に取り組んでいたかな?など全体的なチェックもされています。

  • 問題への取り組み(5段階評価をする)
    1. 興味を示せていた?
    2. 反応速度はどうだった?
    3. 集中して取り組めた?
    4. 粘り強くできた?
    5. 言語は明瞭に出ていた?
    6. 言語の表現力はどの程度だった?
    7. 手先の器用さはどうだった?
    8. 作業の速度はどの程度だった?
  • 問題に対して
    • 大まかな子どもの様子(質問に対する応答性)は?
      • 話をよく聞いていたかな?あまり聞いていなかった?
      • 何度も質問を聞き返していた?など
    • 難しい質問だった時、どんな反応をした?
      • 怒った?考え込んだ?など
    • 頑張って問題をこなした後
      • 特に反応なしだった?
      • はしゃいだ?
      • 合っているか気にしていた?など
  • 言語について
    • 明瞭だった?
    • ハキハキと話せていた?
    • 声が小さかったりした?
    • どもりはあった?
    • 表現力はどの程度だった?など
  • 動作、作業について
    • 手先の器用さは?
    • 作業速度は?
    • 慎重だったか、荒めの作業だったか
    • 試行錯誤しながら行っていたか
    • 計画的に行うタイプだったか
    • 行き当たりばったりに行うタイプだったか
  • 聴覚系(言語性)と視覚系(動作性)の問題について
    • 言語性の課題・動作性の課題に対する反応に差があったか(詳しくはWISC-Ⅳのページにて)
    • 検査官の言葉の指示を理解して行っていたか
    • または問題を見て自分で判断して行っていたか

どんな問題がでる?問題ごとにチェックしていること

田中ビネー知能検査Ⅴは、この年齢の子であれば、半数以上、つまり、6~7割の子が通過(合格)できる、という問題が年齢順に配置されています。

どの問題が通過できて、どの問題が不通過なのかから、その子の精神年齢を導き、そこからIQを求めます。計算方法については下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

具体的な問題の内容としては、1歳級、2歳級の問題が下記の内容になっています。3歳級以降の問題は最後の章に記載します。

  • 1歳級
    1. チップ差し
    2. 犬さがし
    3. 身体各部の指示(客体)
    4. 語彙(物)
    5. 積木つみ
    6. 名称による物の指示
    7. 簡単な指図に従う
    8. 3種の型のはめこみ
    9. 用途による物の指示
    10. 語彙(絵)
    11. チップ差し
    12. 名称による物の指示
  • 2歳級
    1. 動物の見分け
    2. 語彙(物)
    3. 大きさの比較
    4. 2語文の復唱
    5. 色分け
    6. 身体各部の指示(主体)
    7. 簡単な指図に従う
    8. 縦の線を引く
    9. 用途による物の指示
    10. トンネル作り
    11. 絵の組み合わせ
    12. 語彙(絵)

問題ごとにチェックしていること

問題は、クリアできたかどうかだけでなく、下記のようなポイントもチェックしています。

1歳級、2歳級の問題

1.チップ差し

田中ビネー知能検査Ⅴのチップ指し
チェックポイント
  • チップをどのように持っているかな?
  • チップを棒にさし入れる時、穴を意識できているかな?
  • 入れにくい時に、自分でさし棒を支えたり、工夫できているかな?
  • チップの色は連続して同じものを入れる?こだわりとかあるかな?あればどの程度かな?
  • 検査官の言葉の意味を理解してさし入れているかな?それとも動作の真似して入れてるだけかな?

画像はWikipediaより

2.犬さがし

田中ビネー知能検査Ⅴの犬さがし
チェックポイント
  • 声掛けだけで犬に注目できるかな?
  • それとも更なる声掛けや、顔の前で振ったりする必要があるかな?
  • 複数の小さな小箱の1つに犬を隠した後、5を数えてから探してねの指示に従たかな?その前に手が出てしまうかな?
  • 犬を見つけた後、自分でまた隠したりしなかったかな?
  • 視線の動かし方はどうかな?
  • 迷わずに開けらるかな?迷いながらかな?

画像は一般財団法人 田中教育研究所より

3.身体部位の指示(客体)

POINT

客体とは、物や対象のことです。この検査では絵を指します。対義語が主体、つまり自分のことです。

田中ビネー知能検査Ⅴの身体部位の指示(客体)
チェックポイント
  • 絵を見ている時の視線の動かし方はどうかな?
  • 質問した身体部位を正しく指さしできているかな?
  • スムーズに指さしできているのか、悩みながら指しているのか?

画像はサクセス・ベル株式会社より

4.語彙(物)

田中ビネー知能検査Ⅴどんなテスト?語彙(物)
チェックポイント
  • 注意がちゃんと物に向いているかな?
  • 自分が興味ある物だけに注目してしまわないかな?
  • 興味がある物の時に手が出てしまわないかな?
  • 質問の答えに言葉ではなく動作で示そうとしてしまわないかな?

画像はWikipediaより

5.積木つみ

田中ビネー知能検査Ⅴの積木つみ
チェックポイント
  • 積木をどう持っているかな?
  • 見てすぐに手を出してしまっていないかな?
  • 指示したように積むのではなく、好きに遊んでしまわないかな?
  • 崩れてしまった時に、もう一回挑戦できるかな?諦めてしまうかな?
  • 適当にさっと積んでしまっていなかったかな?逆に辺を揃えすぎてしまっていなかったかな?

画像はサクセス・ベル株式会社より

6.名称による物の指示

犬やはさみ、帽子やボタンなどをテーブルの上に出し、「〇〇はどれ?」と質問をする。

チェックポイント
  • 物の名称を言われた時に、どのような視線の動かし方をしているかな?全体を見れている?一つ一つ確認している?
  • 質問された時、正しく指さしできているかな?
  • どのような失敗をしてしまったかな?
  • 好きなものだけ、いつも使うものだけ指さししていないかな?
  • 言葉は伴っていたかな?

7.簡単な指示に従う

はさみや積木、ボタンや小箱などをテーブルの上に出し、下記のような「〇〇を●●の横に置いてください」などの簡単な指示を出す。

  • 「ボタンを箱の上に乗せてください」…①
  • 「はさみを積木の横に置いてください」…② など
チェックポイント
  • 見てすぐに手を出してしまっていないかな?
  • 指示に正しく従えていたかな?
  • 指示と違うことをした際、その行動はどんなものだったかな?例えば
    • ①:ボタンを箱の上に置かずに検査官に渡そうとした?
    • ①:箱を開けてしまった?
    • ②:①のようにはさみを積木の上に置いてしまった?

8.3種の型のはめこみ

田中ビネー知能検査Ⅴの3種の型はめ
チェックポイント
  • 指示があるまで手を出したりしてないかな?
  • 上手に型はめできたかな?
  • 1回目に手間取っても、2回目はスムーズにできたかな?
  • 型から自分で勝手に外してしまわないかな?

画像はWikipediaより

9.用途による物の指示

田中ビネー知能検査Ⅴどんなテスト?用途による物の指示

いくつかの物が載っている絵をずの上に出し、下記のような「〇〇の時に使うものはどれですか?」などの用途を聞き、正しいものを選択してもらう。

  • 「切る時に使うものはどれですか?」…①
  • 「拭く時に使うものはどれですか?」…② など
チェックポイント
  • 用途を聞いた時に、どのような視線の動かし方をしているかな?全体を見れている?一つ一つ確認している?
  • 正しく選択できているかな?
  • どのような失敗をしてしまったかな?
  • 経験があるものは正解できていたのかな?

画像はなおこ心理相談室より

10.語彙(絵)

見せた絵が何かを答えてもらう。

チェックポイント
  • 正しい答えが言えたかな?
  • 普段よく見るものは言えても、そうでないものは言えないかな?
  • どんな間違えをしたかな?似てるものと間違えたかな?
  • 構音は適切に発達しているかな?
  • 答えを言語ではなく、動作で示そうとしていないかな?(例:傘の時に開く真似)
  • 答えを言語ではなく、実物で示そうとしていないかな?(例:靴の時に自分の靴を見せてしめす)

どんな問題がでる?3歳~8歳級

3歳~8歳級の問題の一覧です。

詳細については、また後日更新したいと思います。

  • 3歳級
    1. 語彙(絵)
    2. 小鳥の絵の完成
    3. 短文の復唱
    4. 属性による物の指示
    5. 位置の記憶
    6. 数概念(2個)
    7. 物の定義
    8. 絵の異同弁別
    9. 理解(基本的生活習慣)
    10. 円を描く
    11. 反対類推(A)
    12. 数概念(3個)
  • 4歳級
    1. 語彙(絵)
    2. 順序の記憶
    3. 理解(身体機能)
    4. 数概念(1対1の対応)
    5. 長方形の組み合わせ
    6. 反対類推(B)
  • 5歳級
    1. 数概念(10個まで)
    2. 絵の不合理
    3. 三角形模写
    4. 絵の欠所発見
    5. 模倣によるひもとおし
    6. 左右の弁別
  • 6歳級
    1. 絵の不合理(A)
    2. 曜日
    3. ひし形模写
    4. 理解(問題場面への対応)
    5. 数の比較
    6. 打数数え
  • 7歳級
    1. 関係類推
    2. 記憶によるひもとおし
    3. 共通点(A)
    4. 数の比較
    5. 頭文字の同じ単語
    6. 話の不合理(A)
  • 8歳級
    1. 短文の復唱(B)
    2. 語順の並べ換え(A)
    3. 数的思考(A)
    4. 短文作り
    5. 垂直と水平の推理
    6. 共通点(B)

まとめ

今回は、田中ビネー知能検査Ⅴはどんな問題が出るテストなのかを、具体例と検査官がチェックしている項目を併せてみてきました。

療育手帳の交付時の知能検査としてよく行われるので、どなたかの参考になれば幸いです。

療育手帳や知的障害については、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

今回はこの辺で。最後まで読んで下さって、ありがとうございました!