はじめての言葉はいつ話す?【定型発達児の言語発達】

2020年5月16日

初めての有意味語はいつ話す?

1歳を過ぎてもまだ初語、つまり意味のある言葉を話さないと不安になりますよね。

周りのお友達がもう有意味語を話していたり、不意に「まだ話さないの?」などと質問されたり…。この頃は周りの子との比較ばかりで疲れる!

そこで今回は、定型発達の赤ちゃんは、いつごろ、どのようにはじめて言葉を話すのかを詳しく説明していきます。

いつ有意味語を話すもの?

定型発達の子どもは、生後10ヶ月から14ヶ月の間に初めての有意味語を発します。

このことは、乳児の言語研究で国際的に有名なメンフィス大学のオラー(D.KimbroughOller)教授の多くの研究をはじめ、他の先行研究の数々から明らかになっています。参考:Oller DK, Eilers RE.The role of audition in infant babbling.」(1988). Child Dev. 1988;59(2):441‐449.

D.キンブローオラー博士
オラー教授 画像はメンフィス大学より

定型発達児の言語発達

目安

DENVERⅡ(デンバー発達判定法)の言語発達の基準を目安として簡単にまとめると、下記のようになります。

項目正常判定
75%の子が通過
要注意
75-90% 〃
遅れ判定
90%より遅い
ベルの音に反応する出生時~
声を出す出生時~
声を出して笑う生後1~3ヶ月← ~ →生後4ヶ月 以降
キャアキャア喜ぶ生後1.5~4ヶ月以下省略5ヶ月 以降
声の方に振り向く生後3~4.3ヶ月5.3ヶ月 以降
パ・ダ・マなどを言う生後4~7ヶ月8.5ヶ月 以降
喃語を話す生後5.5~8.8ヶ月10.5ヶ月 以降
意味なくパパ、ママ生後6~10ヶ月12ヶ月 以降
発音を真似る生後7.5~10ヶ月12.5ヶ月 以降
意味ある1語生後9.3-1歳3ヶ月1歳6ヶ月 以降
パパ、ママ以外に2語1歳0ヶ月-1歳5ヶ月1歳7ヶ月 以降
パパ、ママ以外に3語1歳1ヶ月-1歳6ヶ月1歳9ヶ月 以降
パパ、ママ以外に6語1歳3ヶ月-1歳8ヶ月1歳11ヶ月 以降
絵を2つ指さす1歳5ヶ月-1歳11ヶ月2歳1ヶ月 以降
絵の名称1つ1歳7ヶ月-2歳0ヶ月2歳4ヶ月 以降
二語文を話す1歳7ヶ月-2歳2ヶ月2歳5ヶ月 以降
分かるように話す2歳5ヶ月~3歳半4歳 以降
1歳以降の月齢の小数点以下は、正常判定が多くなる方向で丸めています。四捨五入前の表は一番最後に残してあります。

デンバー発達判定法は、世界的に活用されている発達スクリーニング法で、日本小児保健協会によって日本の乳幼児向けに標準化され、病院や乳幼児健康診査でも使用されているものです。これによって発達障害を判定するものではなく、同年月齢集団の中でどのくらいの位置にいるのかが分かるというものです。言語の項目は上記以外も含めて39個に分けられています。正常判定の目安は、その月齢の75%の子ができている時期であり、遅れ判定の目安は、90%の子より遅いというものです。

言葉が遅く心配な場合、下記ページもご参考になると幸いです。

前言語期の発達

初めての有意味語を話す前の時期を「前言語期」といいます。

前言語期に、声道を発達させながら、周りの人々からの声掛けの情報を蓄積しながら、下記のような言葉を話す練習をしていきます。

発声期

生後直後~1ヶ月:まだ声道が共鳴腔の機能をもたない。空腹感や不快感に伴って反射的に発せられる泣き声で鼻音化している

クーイング期

生後2~3ヶ月:まだ声道はそれほど発達していないが、クーイングができるように。喉の奥でクーと聞こえるような「アー」「ウー」などの母音を鳴らす。大人の呼び掛けにも音声で反応できたりする

過渡期の喃語期

生後4~6ヶ月:徐々に声道も発達しはじめ声遊びをする。きーきーと叫んだり、うなったり、唇をブルブルと震わせて声を鳴らしたり
生後5~6ヶ月:不完全な喃語が出てくる

規準喃語期

生後7ヶ月~10ヶ月:声道が共鳴腔の機能を果たせるようになる。標準的な喃語が出てくる。「マママ」「バババ」「バブ」など親がおしゃべりしていると感じられるようになる。しかし、意味を持たないため「ママ」と呼んだわと思われてもこれは本当の言葉ではない。この頃は手足をリズミカルによく動かす時期で、この運動発達と規準喃語の生成は共起することが多い

その後

生後11ヶ月頃~:ジャーゴンと呼ばれるおしゃべりをしているかのような発声が出てくる
生後12ヶ月頃:車を見て「ブーブー」など意味のある一語発話をするようになる

声道が共鳴腔としての機能を果たすため、順序性のある発達を経てからの発語となります。このことから、いきなり話せないのが分かりますね。

そしてオランダ アムステルダム大学の言語学者、ベイナム博士は、どの言語圏でも70%の乳児が規準喃語を生後8ヶ月までに話すとしています。

画像はresearchgateより

参考:「Early Stages in the Development of Speech Movements」 Florien J. Koopmans-van Beinum and Jeannette M. van der Stelt Institute of Phonetic Sciences, University of Amsterdam, The Netherlands. In B. Lindblom & R. Zetterstrom(Eds.),Precursors of early speech. New York: Stockton Press. Pp. 37-50.

言語発達に大切なこと

正常な聴覚発達

言葉になる過程で大切なことの1つが、周りの人々からの関わり(声掛け)ですが、聴覚的な経験がないと人は言葉を話せません。

規準喃語期に指さしなどを通して他の人と感情を共有し、その中で言語を聞いていき、徐々に分節化しながら単語を意味化していくのです。

規準喃語期が重要

前述のオラー教授は、特に6ヶ月以降始まる規準喃語期がとても重要としています。さらに聴覚障害児は規準喃語期に移行しないことを報告しました。

過渡期の喃語期までは聴覚障害児も定型発達児と同じ発達をしているのです。

しかし、そこから先は聴覚の経験が必要ということです。

そのためオラー教授は生後10ヶ月頃に喃語を話せない子は言語発達、言語病理学分野のリスクが高いため専門医の介入が必要としています。

運動発達が重要

言語発達には運動発達も重要になっています。

運動発達が遅いダウン症候群の子は、規準喃語の出現も遅れることが知られています。

発達心理学を専門とされている茨城キリスト教大学の江尻桂子教授らは、手足のリズミカルな運動が規準喃語の生成と共起しているとしています。

同期によつて迅速な発語器官の運動が促され,より高次な音声生成が達成される.そして,これらの聴覚フィードバックが強化となり,同期現象はより頻繁に生じるようになる.その結果,規準喃語の生成に必要な運動コントロール機能の習熟が支援されることとなるのではないかと推測される.

公益社団法人 日本心理学会 1999 年出版 Japanese Psychological Research 69 巻 6 号 p. 433-440 「乳児における喃語と身体運動 の同期現象 Ⅱ1-音 響分析による同期性の機能の検討」日本学術振興会 江尻桂子 ・京都大学 正高信男

オラー教授も、早産で生まれた未熟児は満期出産児と比べて規準喃語と手足のリズミカルな運動の出現が早くなることも報告しています。

規準喃語は出生後の聴覚経験の長さと運動発達とが密接に関係しているとのことです。

先行研究で分かっていること

言語発達_研究で分かっていること
  • 喃語の出現が遅い子は、その後の言語発達も遅い
  • 言語発達と指さしには、関連性がある
  • 0歳の様子で3歳の言語発達具合が予測できる
  • 言語発達レベルの差は3歳でも継続してしまう

詳しくは「0歳~3歳【指さし・語彙数】密接な関連性」ページで説明していますので、そちらもご覧ください。

DENVERⅡ 目安

DENVERⅡデンバー発達判定法

さいごに

今回は、定型発達児の言語発達の様子を見てきました。

言語発達は、発達項目の中でもとても個人差が大きく、簡単に他の子と比べられるため、心配になることが多いですよね。

言葉が遅く心配な場合、下記ページもご参考になると幸いです。

最後まで読んで下って、ありがとうございました!