0歳~3歳|指さしと言葉の密接な関連性

2020年10月17日

指さしと言葉の数の密接な関連性

幼児期の指さし言語発達には、密接な関連性があることは、1960年代から研究され知られています。参考:Werner, H., & Kaplan, B. (1963). Symbol formation: An organismic developmental approach to language and the expression of thought. New York: Wiley.

今回は、乳幼児の言語発達に関する研究や、指さしとの関連性の研究についてまとめていきます。

指さしと言葉の量

0歳の赤ちゃんの様子を見れば、3歳までのその子の言語発達具合が予想できるという研究結果は、以前より述べられていますが、多くの研究では、指さしとの関連性を見出しています。

指さし たくさん・長く→言葉 多くなる

ベイツ教授の研究

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のエリザベス・アン・ベイツ(Elizabeth Bates)教授は、脳が言語を処理する方法を研究する第一人者で、国際的に非常に有名な教授です。子どもの言語習得についても多く研究しています。

エリザベス・アン・ベイツ教授
画像はUC San Diegoより

ベイツ教授は、「有意味語を話す前の時期に指さしをたくさん・長くする子ほど、後の言語の理解と表出量が多い」としています。

また「生後13ヶ月と20ヶ月のこどもの語彙数は、2歳の文法の複雑さの予測と関連性がある」とも述べています。

参考:Bates, E; Bretherton, I; Snyder, L (1988). 「From first words to grammar: Individual differences and dissociable mechanisms.」Cambridge, UK: Cambridge University Press.

メルツオフ博士の研究

ワシントン大学のアンドリュー・N・メルツオフ(AndrewN.Meltzoff)博士は、乳幼児の発達に関して国際的に認められた有名な心理学者ですが、同じような結論に至っています。

メルツオフ教授
ワシントン大学I-LABSより

メルツオフ博士は、2008年の研究から、「共同注意である乳児の視線の追跡と指さしは、その後の言語発達を予測する」と報告しています。1)

具体的には、生後11ヶ月の32人の幼児を「①大人の視線の先にある対象物を長く見た、かつ、指さしをした」群と「②ながく見ただけ」の群に分け、その後1歳2ヶ月時、1歳6ヶ月時、2歳時の語彙数を比較する実験を行い、その結果、①群の幼児の方が後の語彙量の増加が大きいことを報告しました。

カマイオーニ氏の研究

他にも23人の幼児の母親に対して、こどもの12、16、20ヶ月時点のコミュニケーションと言語発達の関連について調査したCamaioni, L.らによる論文がありました。

その結果、12ヶ月時に測定された指さしの量に基づいて、20ヶ月時の言語発達を予測できることを報告しています。

Camaioni, L., Castelli, M. C., Longobardi, E., & Volterra, V. (1991). 「A parent report instrument for early language assessment. 」First Language, 11(33, Pt 3), 345–359.

言語発達の差は続いていく

小さい頃の語彙数は、少なかった子と多かった子とでは、2歳時点・3歳時点でも差があることも多くの研究から分かっています。

また、言語が出る前の喃語の出現が遅い子は、その後の言語発達も遅いことも知られています。

アントナウ博士の研究

スザンヌ・クリステン・アントナウ(Susanne Kristen-Antonow)博士は、ドイツのミュンヘン大学(LMU)発達心理学分野の研究者です。

アントナウ教授
画像はミュンヘン大学LMUより

アントナウ博士は、前言語期のコミュニケーション能力(指さしなど)と語彙数の密接な関連を明らかにし、乳児期の発達レベルの差は3歳まで継続されると述べています。

参考:Kristen S, Sodian B, Thoermer C, Perst H.(2011). 「Infants’ joint attention skills predict toddlers’ emerging mental state language.」Dev Psychol. 2011 Sep;47(5):1207-19.

小枝先生の研究

小枝達也先生は、2020年現在、国立研究開発法人 国立成育医療研究センター こころの診療部 部長であり、発達障害の専門医です。

指さしとの関係性の研究ではないのですが、発達の継続差という点の研究をされていました。

小林先生の研究では、3歳時に言語発達遅滞と診断された子達を小学校2年生の時点まで追跡し言語能力を調べたところ、言語能力の遅れが見られたようです。

3歳での言語能力の遅れは一時的ではなく学童期まで残存していることを示していると思われた.とくに多動など行動異常があった7名では,言語能力の遅れが大きい傾向にあり,また3名はすでに普通学級に適応できなくなっていたことから,3歳で言語発達遅滞に行動異常を伴う場合には予後に対する注意が必要と考えられた.

一般社団法人日本小児神経学会発行 1990年 脳と発達 22巻3号p.235-240 「3歳児健診で言語発達遅滞と診断された児の学童期における言語能力について」 鳥取大学医学部脳神経小児科 小枝達也,冨田豊,竹下研三

指さしと言葉についての情報

指さしや言語発達の情報については、下記ページでも詳しく説明していますので、どなたかのご参考になれば幸いです。

参考文献の引用

1)メルツオフ博士の研究報告

We found that infant gaze following and pointing predicts subsequent language development. 

Brooks,R.,&Meltzoff,A.N.(2008). “Infant gaze following and pointing predict accelerated vocabulary growth through two years of age: a longitudinal, growth curve modeling study." Journal of Child Language,35,207-222.

まとめ

言語発達_研究で分かっていること

今回は、乳児期の発達差が幼児期まで継続し、そのため発達具合も予測可能である、また、そんな幼児の語彙数に関して、指さしの量と長さに比例する、ということを見てきました。

下記ページもどなたかのご参考になれば幸いです。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!