0歳~3歳|指さしと言葉の密接な関連性

2020年10月17日

指さしと言葉の数の密接な関連性

このサイトでも、1歳6ヶ月児健康診査(1歳半健診)の【指さし】や【言葉】で引っかかったら自閉症?などのテーマについて取り上げてきました。

実はこの2つ、小さい子どもにとって密接な関連性があることは、以前から明らかになっています。

今回はこれらの関係性について、数々の研究結果と共に、詳しく説明していきます。

【言語発達】のこと

0歳の様子で、3歳までの言語発達具合は予想できる

0歳の赤ちゃんの様子を見れば、3歳までのその子の言語発達具合予想できるという研究結果は、昔から多くなされています。

言語発達は運動発達認知発達が複雑に絡み合っているので、研究者や専門家が測定すると、予測可能であることは納得できますよね。

赤ちゃんの【発達レベルの差】は継続する

さらに、小さい頃の語彙数は、少なかった子多かった子とでは、2歳時点・3歳時点でも差があることも分かっています。

また、言語が出る前の喃語の出現が遅い子は、その後の言語発達も遅いことも知られています。

その他の言語発達の情報は、下記ページにて詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

【指さし】と【言語発達】の関係

言語発達_研究で分かっていること

冒頭でもお伝えしたとおり、幼児期の指さし】と【言語発達】には、密接な関連性があることは、1960年代から研究され知られています。
参考:Werner, H., & Kaplan, B. (1963). Symbol formation: An organismic developmental approach to language and the expression of thought. New York: Wiley.

以下で有名な科学者達の研究をいくつかご紹介します。

ElizabethBates(エリザベス・アン・ベイツ)教授の研究

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のベイツ(Elizabeth Bates)教授は、脳が言語を処理する方法を研究する第一人者で、国際的に非常に有名な教授です。子どもの言語習得についても多く研究しています。

エリザベス・アン・ベイツ教授
画像はUC San Diegoより

ベイツ教授は、有意味語を話す前の時期に指さしたくさん・長くする子ほど、後の言語の理解表出量多い、こいうことを明らかにしています。

また、生後13ヶ月20ヶ月のこどもの語彙数は、2歳文法の複雑さの予測と関連性がある、とも述べています。

参考:Bates, E; Bretherton, I; Snyder, L (1988). 「From first words to grammar: Individual differences and dissociable mechanisms.」Cambridge, UK: Cambridge University Press.

AndrewN.Meltzoff(アンドリュー・N・メルツオフ)博士の研究

ワシントン大学のメルツオフ(Meltzoff)博士は、乳幼児の発達に関して国際的に認められた有名な心理学者です。

メルツオフ教授
画像はワシントン大学I-LABSより

メルツオフ博士は、2008年の研究から、共同注意である指さし・視線追視と、語彙数の関係性を報告しています。

We found that infant gaze following and pointing predicts subsequent language development. 

Brooks,R.,&Meltzoff,A.N.(2008). “Infant gaze following and pointing predict accelerated vocabulary growth through two years of age: a longitudinal, growth curve modeling study." Journal of Child Language,35,207-222.
↑ 和訳概要

乳児の視線の追跡と指さしは、その後の言語発達を予測することが明らかになりました。

生後11ヶ月の32人の幼児を「大人の視線の先にある対象物を長く見た、かつ、指さしをした」群と「ながく見ただけ」の群に分け、その後1歳2ヶ月時、1歳6ヶ月時、2歳時の語彙数を比較する実験を行いました。

その結果、「大人の視線の先にある対象物を長く見た、かつ、指さしをした」群の幼児の方が後の語彙の量の増加大きいことが明らかになっています。

Susanne Kristen-Antonow(スザンヌ・クリステン・アントナウ)博士の研究

クリステン・アントナウ(Kristen-Antonow)博士は、ドイツのミュンヘン大学(LMU)発達心理学分野の研究者です。

アントナウ教授
画像はミュンヘン大学LMUより

アントナウ博士は、前言語期のコミュニケーション能力(共同注意:指さしが代表される)語彙数の密接な関連を明らかにし、乳児期の発達レベルの差3歳まで継続されることを示唆しています。

前言語期のコミュニケーション能力(共同注意:指さしが代表される)語彙数の密接な関連を明らかにし、乳児期の発達レベルの差3歳まで継続されることを示唆しています。

参考:Kristen S, Sodian B, Thoermer C, Perst H.(2011). 「Infants’ joint attention skills predict toddlers’ emerging mental state language.」Dev Psychol. 2011 Sep;47(5):1207-19.

その他の研究

他にも23人の幼児の母親に対して、こどもの121620ヶ月時点のコミュニケーションと言語発達の関連について調査したCamaioni, L.らによる論文があります。

14名に関しては信頼性を保証するために2時間の観察と聞き取りも実施しています。

その結果、12ヶ月時に測定された指さしの量基づいて、20ヶ月時の言語発達を予測できることを報告しています。

Camaioni, L., Castelli, M. C., Longobardi, E., & Volterra, V. (1991). 「A parent report instrument for early language assessment. 」First Language, 11(33, Pt 3), 345–359.

国立成育医療研究センター小枝達也先生の研究

小枝達也先生は、2020年現在、国立研究開発法人 国立成育医療研究センター こころの診療部 部長であり、発達障害の専門医です。

指さしとの関係性の研究ではないのですが、発達の継続差という点の研究をされていました。

小林先生らは「3歳時に言語発達遅滞と診断された子達小学校2年生の時点まで追跡し言語能力を調べたところ、言語能力の遅れが見られる」と結論付けています。

3歳での言語能力の遅れは一時的ではなく学童期まで残存していることを示していると思われた.とくに多動など行動異常があった7名では,言語能力の遅れが大きい傾向にあり,また3名はすでに普通学級に適応できなくなっていたことから,3歳で言語発達遅滞に行動異常を伴う場合には予後に対する注意が必要と考えられた.

一般社団法人日本小児神経学会発行 1990年 脳と発達 22巻3号p.235-240 「3歳児健診で言語発達遅滞と診断された児の学童期における言語能力について」 鳥取大学医学部脳神経小児科 小枝達也,冨田豊,竹下研三

【指さし】について

【指さし】の発達情報については、下記ページで詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。

まとめ

今回は、乳児期の発達差が幼児期まで継続し、そのため発達具合も予測可能である、また、そんな幼児の語彙数に関しては【指さし】の量と長さに比例する、ということを見てきました。

今回はこの辺で。最後まで読んで下さって、ありがとうございました!