1歳半なのに…まだ【意味のある言葉】を喋らない(遅い)…この子は自閉症なの?

1歳6ヶ月で意味のある言葉が2語以下であれば、言語発達は平均的ではありません。自閉症の息子も1歳半の時、有意味語は1語でした。今回は、言語発達の遅れの目安と、言語発達の様子から「自閉症かどうか」を考えるポイントをまとめていきます。

言語発達の遅れがあるか?

1歳すぐの場合

言語発達は、発達項目の中でも、非常に個人差が大きい項目です。1歳を過ぎてすぐのお子さんの場合なら、発語がなくても問題ありません。

1歳6ヶ月以降

遅れの目安

様々な文献を調べた結果、言語発達の遅れの目安は下記になります。

  • 1歳6ヶ月児で、有意味語が3語未満の場合…言語表出の遅れと判断される
  • 2歳までに有意味語がない場合…明らかに言語発達の遅れがある
  • 3歳までに二語文が話せていない場合…明らかに言語発達の遅れがある

1歳6ヶ月児健康診査でも言葉の数のチェック項目がありますが、有意味語が3語未満の場合は要チェックとなります。乳幼児健康診査身体診察マニュアルでも、90%以上のこどもが1歳6ヶ月で有意味語を3語以上話すとされているためです。1)

平均的な言語数

平均的な言葉の数は、文献によって多少差はありますが、年齢別にまとめると下記くらいのようです。2)

  • 2歳…300語
  • 3歳…1,000語
  • 4歳…1,500語

デンバー発達判定法の基準

デンバー発達判定法(Denver Developmental Screening Tests)とは、世界的な発達スクリーニングテストですが、その中では、有意味語の話しはじめと、二語文の話しはじめの子どもの割合を下記のようにしています。3)

  • 有意味語…生後9ヶ月で25%、1歳6ヶ月で90%のこどもが話しはじめる
  • 二語文 …1歳7ヶ月で 25%、2歳4ヶ月で90%のこどもが話しはじめる

定型発達児の言語発達の目安は、下記ページにまとめていますので、ぜひあわせてご参考になさってください。

自閉症かどうかを考える

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自閉症と自閉症スペクトラムの違いについては「【自閉症】【自閉スペクトラム症】の違いは?|発達障害、ASD、ADHD などの用語説明も」ページで詳しく解説しています。

【考察1】自閉症児も話す

前提になりますが、自閉症児でも話す子はたくさんいます。なので、話せているから自閉症ではない、ということではありません。

【考察2】言語発達に遅れがあるか

自閉症児の言語発達には、遅れがみられることが多いです。自閉症児の親が医療機関を受診する最多の理由も、言語発達の遅れになっています。

参考までに、2歳5ヶ月で自閉症と診断された息子の場合は、1歳6ヶ月児で有意味語は1語、2歳0ヶ月で13語程度でした。母子手帳には「2歳の頃は言葉が遅く心配していたが、2歳6ヶ月頃にはかなり色々言えるようになってきた。」と記録してありました。

定型発達児である下の子は、言葉は早い方ではありませんでしたが、1歳3ヶ月の頃にはかなりの数を話しており、1歳10ヶ月では150語以上は話していました。

自閉症スペクトラムの子の中には、言語発達に遅れはなかったという子もいます。自閉症児の言葉の特徴については、下記ページにまとめています。言葉が出てきた後の特徴も書かれているので、ご参考になれば幸いです。

【考察3】ことば以外の項目はどうか?

その子が自閉スペクトラム症かどうかは、言語の様子だけで判断するものではありません。

自閉スペクトラム症児の特徴と、幼児期の特徴は似ており、幼い子の場合は専門家でも判断が難しいのですが、共同注意の発達具合は、素人でも分かりやすく、一番参考になると思います。

もちろん共同注意の遅れだけで診断する事もできませんが、共同注意の発達の難しさは自閉症スペクトラムの特徴の一つで、1歳6ヶ月頃には定型発達児とは明らかな違いが出てきます。

共同注意の代表的な行動である「指さし」の様子にも違いが出てくるため、1歳6ヶ月児健康診査でも指さしのチェックが設けられています。

【考察4】自閉症以外の要因

自閉症スペクトラムかどうかを考えるにあたり、自閉症以外の言語発達遅滞の要因について見ておく必要があります。代表的な3点を下記ページにまとめましたので、是非あわせてご覧ください。

さいごに

今回は、言語発達の遅れという側面から「その子が自閉症かどうか」を考えるポイントをまとめてみました。

また、実際に病院でどのように自閉症・自閉スペクトラム症か診断されるかについては、下記のページもご参考になさってください。

言語発達は個人差が大きいので心配されている方が多いと思います。下記ページもどなたかのご参考になれば幸いです。

最後まで読んで下さってありがとうございました!

参考文献の引用

1)

1 歳 6 か月児の 90%以上は 3 語以上の有意語を話すので、有意語が 3 語未満の場合は言語表出の遅れと判定する。

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル 2021年3月

2) 愛知県青い鳥医療福祉センター 小児科部長 安井泉(2004)「ことばの発達とことばの遅れ」特集号, 福祉と障害者理解のための情報紙

3) 愛知県小児科医会 Aichi Pediatric Association