1歳半なのに…まだ【意味のある言葉】を喋らない(遅い)…この子は自閉症なの?

2020年10月4日

もしお子さんが、1歳半で意味のある言葉(以降、有意味語)が2語以下であれば、言語発達は平均的ではありません。(あくまで「平均的」か否かですが。)ちなみに自閉症の息子が1歳半の時、有意味語は1語でした。

自閉症の最大の障害は、喋れないことではありません。ですので「1語でも話せているから自閉症ではない」ということではありません。

しかし、自閉症の言語発達には遅れ特徴があります。

今回は、その子に言語発達の遅れがあるか、自閉症児はどのくらい話すのか、といったことから「その子が自閉症かどうか」を考えるポイントをお伝えします。

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下記では自閉症の他に、自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)という用語が出てきます。それらの違いについては「【自閉症】【自閉スペクトラム症】【発達障害】の違いとは?」ページで詳しく解説していますので、是非あわせてご覧ください。

【考察1】「自閉症児のことば」から考える

前提になりますが、自閉症児だったら話さない、ということではないです。なので、話せているから自閉症ではない、ということではありません。

詳しくは、下記ページで説明していますので、是非あわせてご覧ください。

【考察2】「言語発達に遅延があるのかどうか」で考えてみる

冒頭でお話しした通り、自閉症児の言語発達には遅れがみられます。なので多くの自閉症児の親が医療機関を受診する最多の理由が、言語発達の遅延になっています。

自閉症の最も顕著な特徴は,言語発達の著明な遅れあるいは,言語発達が見られないことである。

日本音響学会誌63巻7号〔2007)P365−369 「特集―小特集言語障害を通して再考する音声言語情報処理― 自閉症児の言葉」p.366

日本小児科学会でも、自閉スぺクトラム症児の多くがことばの遅れを伴っていると述べています。参考:日本小児科学会東京都地方会 こどもの健康週間2019

今、わが子に「言語発達に遅延があるのかどうか」を、年齢別に見ていきましょう。

1歳すぐの場合

言語発達は多くの発達項目の中でもとても個人差が大きいです。

もしまだ1歳を過ぎてすぐのお子さんの場合なら、もう少し様子を見ても大丈夫でしょう。詳しくは下記ページで説明していますので、是非あわせてご覧ください。

初語を促してあげたい場合、下記ページを参考に対応してあげて下さい。養育者の言動が大切なわが子の言語発達に影響していることが分かると、大人の声掛けの内容も自然と変わるものです。

1歳6ヶ月すぎの場合

一方、1歳6ヶ月でまだ有意味語を話していない場合はどうでしょう。

日本でも90%以上のこどもが1歳6ヶ月で有意味語を3語以上話すとされています。

これは平成30年の乳幼児健康診査身体診察マニュアルでも採用されている基準です。

1歳6か月児の90%以上は3語以上の有意語を話すので、有意語が3語未満の場合は言語表出の遅れと判定する。

国立研究開発法人 国立育成医療研究センター 乳幼児健康診査身体診察マニュアル 平成30年3月

もしお子さんが1歳6ヶ月時点で有意味語がない場合、言語発達は平均的でないことが分かります。なので1歳6ヶ月児健康診査(一歳半健診)でも言葉の数のチェック項目があります。

また、2歳までに有意味語がない場合は、明らかに言語発達の遅れがあると一般的に言われています。

参考までに年齢ごとの平均的な語彙数を記載しておきます。参考:福祉と障害者理解のための情報紙 平成16年4月発行 愛知県青い鳥医療福祉センター 小児科部長 安井泉「ことばの発達とことばの遅れ」特集号 

  • 2歳…300
  • 3歳…1,000
  • 4歳…1,500
  • 5歳…2,000
  • 6歳…2,500~3,000

【考察3】デンバー発達判定法の基準から考えてみる

デンバー発達判定法(Denver Developmental Screening Tests)とは、世界的に1967年から現在でも用いられている、6歳までの子どもを対象に発達に問題があるかどうかを識別するための世界的な発達スクリーニングテストです。

その中の言語発達の基準は、下記となっています。

  • 出生時:ベルの音に反応する
  • 1~2ヶ月頃:「アー」「ウー」などの声を発する
  • 2~3ヶ月頃:声を出して笑う
  • 5~6ヶ月頃:声の方に振り向く
  • 7~8ヶ月頃:パ・ダ・マなどを言う
  • 14~1歳6ヶ月頃:有意味語を1語言う
  • 1歳5ヶ月~1歳7ヶ月頃:パパ、ママ以外に有意味語を2語言う
  • 1歳6ヶ月~1歳8ヶ月頃:有意味語を3語言う
  • 1歳8ヶ月~1歳10ヶ月頃:有意味語を6語言う
  • 1歳10ヶ月~2歳頃:絵を指差す
  • 2歳頃:二語文を話す
  • 2歳半~3歳頃:動作を表す言葉が2つ以上理解できる
  • 3歳頃:色の名前を言う
  • 4歳~4:歳半頃 前後上下が理解できる
  • 4歳半~5歳頃:5まで数える
  • 5歳~6歳頃:単語を定義できる

参考:厚生労働省「子ども家庭総合評価票 記⼊のめやすと⼀覧表」p.8

デンバー発達判定法では、有意味語の話しはじめと、二語文の話しはじめの子どもの割合を下記のようにしています。

  • 有意味語…生後9ヶ月で25%、1歳6ヶ月で90%のこどもが話しはじめる
  • 二語文 …1歳7ヶ月で 25%、2歳4ヶ月で90%のこどもが話しはじめる

参考:愛知県小児科医会 Aichi Pediatric Association

また、3歳までに二語文が話せていない場合は、明らかに言語発達の遅れがあると一般的に言われています。

【考察4】「ことば以外の項目」も併せて考えてみる

その子が自閉スペクトラム症かどうかは、言語発達と関連性のある【指さし】の様子からも併せて確認もできます。

自閉症・自閉スペクトラム症児であれば、一歳半健診で【言葉】と同時に【指さし】で引っかかる子も少なくないと思います。詳しくは「【一歳半健診で指さしできず引っかかった!】この子は自閉症なの?」ページをご覧ください。

自閉症スぺクトラムのお子さんの多くは(中略)ことばだけでなく視線があいにくかったり、ジェスチャーや身振りなどによるコミュニケーションにも課題があるのが特徴です。

参考:日本小児科学会東京都地方会 こどもの健康週間2019

1歳半の定型発達児の【応答の指さし】の様子は、下記動画でもご覧いただけます。

知的障害を伴う自閉スペクトラム症(自閉症)の息子は、この【応答の指さし】を2歳半になってやっと習得できました。「0:40」あたりから確認できます。

【考察5】「自閉症以外の要因」から考える

こちらについては代表的な要因3点を下記ページにまとめました。是非あわせてご覧ください。

まとめ

今回は、言語発達の遅れという側面から「その子が自閉症かどうか」を考えるポイントをまとめてみました。

大切なわが子の言葉の発達が遅く「この子は自閉症かどうか」を詳しく知りたい方は、「自閉スペクトラム症の【診断基準】とは?【ICD-10】【DSM-5】の項目を解説!」ページに自閉症・自閉スペクトラム症の特徴や診断基準内容を詳しく説明しています。

実際に病院でどのように自閉症・自閉スペクトラム症か診断されるかについては、実例も併せて下記ページにまとめていますので、そちらも併せてご覧ください。

最後まで読んで下さってありがとうございました!