2歳頃【独り言が多い】そんな子は、自閉症なの?|遅延反響言語

独り言を言う子は自閉症?

自閉症の息子は2~3歳頃、「独り言」もよく話していました。

発語のある自閉症児はよく「独り言」を話しますが、2歳頃に「独り言」を話す子は自閉症なのでしょうか?

今回は、自閉症・自閉スペクトラム症と「独り言」の関連性について見ていきましょう。

はじめに

自閉症と自閉スペクトラム症の違いについては、【自閉症】【自閉スペクトラム症】の違いは?|発達障害、ASD、ADHD などの用語説明もページに詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

自閉症児も話します

自閉症なら話さないのではないかといとイメージを持っている人もいるかもしれませんが、多くの自閉症児が有意味語を話します。コミュニケーションを取れる子もいます。

自閉症児の言語発達については、下記ページで詳しく解説していますので、是非あわせてご覧ください。

【独り言】は自閉症の特徴?

もちろん「独り言を言う=自閉スペクトラム症」ではありませんが、「独り言」を言う自閉スペクトラム症の人はたくさんいます。

実は、自閉スペクトラム症の人の「独り言」の多くは「遅延性反響言語」であることが多いのですが、この「反響言語」は自閉スペクトラム症の診断基準の一つ含まれているのです。

そのことからも、多くの自閉スペクトラム症の人が「独り言」を話すことが納得できますね。

遅延反響言語は,ひとり言(自己内対話)につながっていく。

神戸学院大学 小山正「エコラリアの意味を問い直す―発達支援のために―『エコラリアの発達的意義―その時期にみられる物への志向性と他者のことばの自己化―』」

自閉症の息子が2歳11ヶ月で話していた「独り言」の様子は、下記動画でご覧いただけます。

自閉症児のひとり言の様子が分かる動画
Youtube【自閉症の特徴 No.10/12】2歳11ヶ月、3歳0ヶ月 ひとり言 出はじめ|遅延性反響言語

どんな【独り言】が多い?

知的障害を伴う自閉スペクトラム症(自閉症)の息子は、まだ1語か2語文程度しか話さない頃から「独り言」を言っていましたが、その頃は単語の「独り言」でした。

徐々に好きなアニメや動画のフレーズを言うようになっていきました。

遅延反響言語に関しては,そのソースが興味深い。他者から投げかけられたことばやフレーズであったり,DVD やビデオからのセリフ・フレーズであったりすることが多い。

神戸学院大学 小山正(2010)発達心理学会第 22 回大会 シンポジウム エコラリアの意味を問い直す―発達支援のためにー「エコラリアの発達的意義―その時期にみられる物への志向性と他者のことばの自己化―」

親と割とコミュニケーションが取れるようになった5歳頃には、母親の私にまでそのフレーズを言わせたり、ごっこ遊びのように役割分担を要求してきて、曖昧にしか言えない私によくパニックを起こしていました。

遅延反響言語の場合には,その内容の変化に着目しなければならない。(中略)エコラリアの変容には,他者との関係性の過程での他者認識の発達と物への志向性や対物活動との関連性が関わっていることが明らかである。

小山正(2010)

【独り言】の意味は?

反響言語である「独り言」や「オウム返し」は、以前は意味のない言動と思われていましたが、現代では自閉スペクトラム症本人にとっては意味があるものだということが分かってきています。また、言語発達にも関わってくると言われています。

遅延反響言語に含まれる意味や伝達意図が周りの他者に理解されること(子どもの側からいえば通じる体験)によって,他者のことばの取り入れが始まってくる。

小山正(2010)

自閉スペクトラム症の人が「反響言語」を使用する意味についは、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

まとめ

ごくたまに、電車のなかや街で、大きな声で独り言を言っている人を見かけて「なんだ?」と思った事がある人は多いと思います。

自閉症の母になってから思ってみると、そんな方々も自閉スペクトラム症の方だったのかなと思いますし、一人で移動できる大人になったのはレベルが高い方々だったんだなとも思います。

今回はこの辺で。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!