【一歳半健診の指さし引っかかった!】この子は自閉症なの?
私は息子が1歳半の頃、発達が正常かどうかとにかく不安で毎日ネット情報とにらめっこ、一喜一憂の日々でした。
今回は、当時の私が知りたかった「その子が自閉症・自閉スペクトラム症かどうか」を考えるポイントを見ていきます。
【ポイント1】指さしの発達段階をチェック
自閉症児でも指さしはする
指さしは、自閉症児でも定型発達児と同様に生後9ヶ月頃から見られはじめ、生後11ヶ月頃には「これ欲しい」という要求の指さしも見られはじめます。
遅くとも18か月迄に100%の子どもが何らかの指さし行動を行う
秦野悦子「指さし行動の発達的意義」教育心理学研究 31巻(1983)3号 p.259
自閉症の息子は、一歳半健診の指さしチェックに不正解ながらも通過はしていました。ニコニコ笑顔だし、絵に対して自分の好きなように指さしをし、時に偶然正解を指さししているかのように見えて保健士さんもOKしたのだと思います。
自閉症児は叙述の指さし以降の発達が難しい
しかし、定型発達児と自閉症児とでは、1歳半頃から指さしの機能的な違いが出てきます。
自閉スペクトラム症児の場合、指さしの5段階発達のうち、第2段階までしか定型発達しないとされています。
詳しくは下記にまとめていますので、お子さんの指さしの発達段階チェックの参考にしてください。
参考
以上のために、一歳半健診で指さしがチェックされ、発達に不安がある場合は要観察となったり、児童発達支援の案内がなされるのです。
論文で見つけた自閉症児の症例でも、共通して指さしの発達が遅かったことが分かります。下記ページでご確認ください。
【ポイント2】質問内容を理解できているか
いくつかの絵が描いてあるカードを見せて「ワンワンどれ?」に対し叙述の指さしが出来ないのは、まだ言葉が分からないからじゃないの?という疑問も出てきますよね。
一歳半検診で使われるカードは、日常生活で一歳半の子どもが何度も目にして養育者からその言葉を声掛けしてもらっているような絵を並べています。
普段見慣れない絵も混ざっていたり、一部不正解になるともありますが、定型発達児であれば、ある程度理解できる前提でテストがされているのです。言語発達については、次の項目で詳しく見ていきます。
1歳半の定型発達児が最終段階の【応答の指さし】を行えている様子は、こちらの動画をご覧ください。
【ポイント3】言語発達をチェック
指さし(共同注意)と言語発達は、とても相関性が強いということが多くの先行研究より明らかになっています。そのことはこちらに詳しくまとめています。
一歳半検診でも言語発達のチェック項目も設けられています。これは必然的にリンクしてくる項目なのです。
発達に問題がない場合、指さしチェックの質問内容は言語的にも理解でき、応答できる力をもっているということが言えるのだと思います。
【ポイント4】その他のことをチェック
自閉症スぺクトラムのお子さんの多くは、ことばの遅れを伴っています。こうしたお子さんは、ことばだけでなく視線があいにくかったり、ジェスチャーや身振りなどによるコミュニケーションにも課題があるのが特徴です。
日本小児科学会東京都地方会 こどもの健康週間2019
その子が自閉スペクトラム症かどうか考えるポイントは下記にまとめています。
1歳半健診の頃としては参考程度ですが、自閉スペクトラム症の診断基準内容もこちらからご覧いただけます。
さいごに
今回は、一歳半健診などで行われる【指さし】チェックに引っかかり不安な際に、その子が自閉スペクトラム症児かどうかを考えるポイントを見てきました。
しかし、何と言っても相手はまだ一歳半の赤ちゃん。
一歳半健診が行われるような知らない場所で、知らない人々、赤ちゃんにとっては長い時間の滞在、初めてのイラストのカードに、初めてのテスト。眠たい時間かもしれないし、お腹がすいてるかもしれない、オムツが気持ち悪いかもしれないし。暑かったり寒かったりするかもしれない。それらを我慢させているかもしれない環境下で、持っている力を発揮できなくても当たり前です。
なので一歳半検診で指さしチェックに引っ掛ったからと言って、その子に障害がある子とは言い切れないと思います。
その子が自閉症・自閉スペクトラム症児かどうかは、長期的に総合的に考えていくのが合理的だと思います。ASDの森でも、色んな角度から考えられるお手伝いができるようにしていきたいです。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!