幼児教室で【走り回る、参加を嫌がる】続けるべきか辞めるべきか
うちの子だけ、幼児教室や親子教室で出来ていない、ウロウロしてしまう、やってくれない、ずっと抱っこをせがんでくる。
その幼児教室、辞めるべきか続けるべきか、悩んだ時に何を基準に決断したらいいのか。
心理士さんから教わったポイントを踏まえて、まとめてみます。
はじめに
サイトのメインテーマの特性上、発達に不安がある子の情報も載せておきます。
0~1歳の頃に育児サークルの参加を嫌がった自閉スペクトラム症の子の、他の特徴も下記からご確認いただけます。
【ポイント1】その教室の方針は?
1つ目のポイントは、その子の言動を受け入れてくれる環境にあるかどうかです。
辞めた方がいいケース
ケース1:教室の方針が厳しい
もしもその教室の方針が、ウロウロすることを許さない、きちんと取り組まなければ良しとしない教育方針であれば、方針に添えていないために辞めた方がいいと思います。
例えば受験を想定しているようなお教室では、他の親子の迷惑になっていることも考えなくてはいけません。
テキサス大学のカウンセリングとメンタルヘルスセンターサイトでも、自尊感情の形成は子どもの頃の経験が特に大きな役割を果たし、全ての経験が自尊感情を形成すると記載しています。
Experiences during childhood play a particularly large role in the shaping of self-esteem. When we were growing up, our successes, failures, and how we were treated by our family, teachers, coaches, religious authorities, and peers, all contributed to the creation of our self-esteem.
The University of Texas at Austin Counseling and Mental Health Center “Self-Esteem“最終閲覧日 2020/7/3
子供の頃の経験は、自尊心の形成において特に大きな役割を果たす。私たちが成長していたとき、私たちの成功、失敗、そして私たちが家族、教師、コーチ、宗教当局、仲間によってどのように扱われたか、すべてが私たちの自尊心の創造に影響を与えていました。
そのような大切な時期です。自尊感情が低下することが分かっているような環境は、親が見極めてあげて判断しましょう。
自尊感情の形成は、子どもの頃の経験が特に大きな役割を果たす
ケース2:親が子どもにきつく叱ってしまう
親も「今までの自分のしつけが甘かったからだ」「厳しくしないと」「なんでできないの」と不安に駆られて、きつく叱ってしまうこともあると思います。
私も息子の発達の刺激のためと、2~3歳・4歳の時に、親子教室・幼児教室へ通っていたのですが。毎回打ちのめされ、帰るときに息子にきつく当たっていました。詳しくは「自閉症児の発達の様子【実例シリーズ】」ページに記載していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
幼児期においては、先生をはじめ、大人から叱られてしまうような環境に通い続けることは、発達心理学的に「自律性」や「意思」の獲得に悪影響を及ぼすと言われています。詳しくは「【1歳半~3歳】失敗したことを怒ったり、罰したりしてはいけない【自律性や意思を育てよう】」ページで後日説明します。
「子どもの自尊感情を【高める】ための9つのこと【子どもの自尊感情を育てようシリーズ⑤】」でも「その3:厳しい批判をしない」と説明しています。
自尊感情の低い親の方は、高い親に比べて「しつけを厳しくした方がいい」と考えていると言われています。そのため叱りがちになります。
また、先行研究からも、親の自尊感情は、子どもに相対的に影響することが分かっています。小さい頃のしつけが厳しいと、自尊感情が低くなってしまうので、繋がっていることが分かりますね。
そのことを意識して、子どもと接してあげたいものですね。
子どもの自尊感情を損なわないようにするために、親がするべき言動は上記の「子どもの自尊感情を【高める】ための9つのこと【子どもの自尊感情を育てようシリーズ⑤】」ページに詳しく説明していますので、是非ご覧ください。
続けていもいいケース
- ウロウロしてても出来るときだけ参加してくれればOK
- 抱っこしながらでも、それで楽しんで参加できるなら無理にひとりでやらせなくてもOK
- 多少わめいても邪魔にならない環境だからOK
というお教室であれば辞める必要はないと思います。その場合、下記のような他のポイントも含めて考えてみてはいかがでしょうか。
【ポイント2】本人は楽しんでいるのか?
2つ目のポイントは、本人が楽しんでいるかどうかです。
辞めた方がいいケース
親はつい自分の理想で、子どもへの期待から幼児教室を選んでしまいます。
上手くいかなくても、本人が楽しんでいたなくても、大切なわが子の将来のために。「きっと積み重ねれば」「慣れてくれば」「子どもにすぐ辞める癖がつけてはいけない」と頑張らせがちです。
しかし、本人が楽しめない環境であれば、身につくことよりも悪影響の方が大きいです。
茨城キリスト教大学で発達心理学や保育臨床学をご専門としている中島美那子教授は、保育所・幼稚園へ通う子どもを育てている母親81人の研究結果から、過剰な期待をかける養育態度は、子どもの自尊感情を低下させると述べています。
教育学博士で臨床心理士であられる京都橘大学の菅佐和子教授は、親が子どもに可能性を感じ期待をかけるのは自然な感情だが、子どもの適性や力量に配慮しないことは心理的虐待に相当すると述べています。
期待をかけるあまり,子どもの適性や力量に配慮することなく,自分の課した目標にまで到達せよと強いるのは,心理的虐待に相当する
金子書房出版 児童心理3月号「親が注ぐ無条件の愛と自己肯定感」菅佐和子(2010)p.59
続けていもいいケース
もしわが子が皆と一緒の行動ではないにしても、その教室を楽しんでいる様子ならば。きっとお母さんはすでにとても頑張っている対応をしているはずなので、【ポイント1】をクリアしているのであれば、極力他の子の邪魔にならないように対応しながら、参加できる部分だけやらせてみてはいかがでしょうか。
しかし、他のお母さんの目もとても気になると思います。
受験などわが子の進路に関わるようなお教室以外ならば、意外と他のお母さんは気にしていません。むしろ自分の子は多少できているなという気分にもなり、優越感も出て、かなり余裕を持った目で見守っていてくれているはずです。
【ポイント1】でも述べたように、親の自尊感情は子どもに相対的に影響するので、親の自尊感情も高めながら堂々としていたいものですよね。できれば(笑)
【ポイント3】先生は相談にのってくれるか?
本人が楽しんでいるのであれば、教室の先生に「この状態で参加し続けたらいいか」「どう対応したらいいか」を相談します。
その理由は下記です。
先生の態度や教室全体の雰囲気は、子どもにとってはとても影響力があります。
The Developing Child の著作であるアメリカの心理学者ヘレン・ビー(Helen Bee)は、親・教師・仲間の全体的なサポート感は、自尊心の発達に影響を与えると述べています。
他の人に受け入れられていると感じられ、無条件に愛され尊敬されている子供たちは、自尊心が高いと報告しています。
親・教師・仲間の全体的なサポート感は、自尊感情の発達に影響を与える
そのため、その教室の要である先生に相談をして通っているというのは、先生や他の保護者にとっても、わが子の言動をあたたかく見守ってくれるきっかけになります。
その際に、ポイント1のようなお墨付きや、一緒の対応を考えてくれると、親が楽になります。親が楽になれば、結果的に子どもの自尊感情を低下させずにすみます。
自閉症児の経験談
息子が(すでに発達の遅れや大変さは感じてはいたが)まだ「自閉症」という確信はもてていない頃、発達の刺激になればと、療育の教室と並行して英語のリトミック教室へ通い始めました。
年齢は1歳10ヶ月頃~3歳半頃のことです。
そこを選択した理由は下記です。
- お勉強メインではない
- 外人特有の(?)エンターテイメント的なテンションとリトミックメインで、多動があまり目につきにくい環境だった
- 徒歩圏内
【結果】続けられた
他の子と比較してしまうと、「出来ないことが多い」「多動も多少目立つ」ことはありました。
しかし、「座っていられるシーンもたくさんある」「できるシーンもわりとある」「本人は楽しそう」「先生は問題ないと言ってくれている」ので、通い続けられる程度でした。
しかしダンスの曲がかかると必ず抱っこを要求してきました。大きくなっても模倣が出来ないので不安な時間だったのだと思います。
年齢が小さいこともあり、女の子に比べると、他の男の子も成長が遅かったので、そこに紛れられて多少救われていました。
【現実】母はいつも息子に不満
しかし不安を募らせていて、教育でなんとかなるのではないかと無意識に思っていた母は、いつも「なんで他の子みたいに出来ないのよ」と、帰るときはよく、不満を息子にぶつけてしまっていました…。反省です。
他の子みたいに出来ていないし、毎回終わると「続けていていいのか、辞めるべきなのか」通っている間ずっと悩んでいました。長かったです…。
まとめ
今回は、幼児教室で他の子みたいに出来ておらず、辞めるべきなのか続けるべきなのか悩んだ時に、判断するポイントをまとめてみました。
とはいえ、いろんな要因からどんな選択が、大切なわが子のためにベストな選択なのかとても悩むと思います。
その際は、ぜひ【子どもの自尊感情を育てようシリーズ】の記事も参考に考えてみてください。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!