【自閉症】【自閉スペクトラム症】【発達障害】の違いとは?

2020年5月10日

ASDよくある疑問

自閉症を調べていると、こんな用語がたくさん出てきて混乱しませんか?

  • 発達障害
  • 精神障害
  • 知的障害
  • 広汎性発達障害
  • 自閉スペクトラム症
  • アスペルガー症候群
  • 高機能自閉症 など…

今回は、そんな混乱しがちな用語の違いについて、図を使って説明していきます。

私も改めて調べてみて、違いが明確になりとても納得できました。

各用語の定義は別ページで解説しているので、今回はざっくりと見やすく、初心者さんは必見です!

【発達障害】と【自閉スペクトラム症】って何がちがうの?

自閉スペクトラム症とは?

上の図は【発達障害】と【自閉スペクトラム症】の関係性を表したものです。【発達障害】が【自閉スペクトラム症】の親カテゴリーであることが分かりますね。

POINT

【発達障害】は、自閉スペクトラム症(ASD)注意欠陥多動性障害(ADHD)学習障害(LD)などが含まれれている、親カテゴリー

発達障害とは?

【発達障害】は英語でNeurodevelopmental Disordersと言い、世界共通で認識されています。

下記は、世界的に有名な精神障害の分類表・操作的診断基準である【DSM-5】においての、【発達障害】(正式には、精神発達障害群)にはどんな障害が含まれているかという一覧です。

  • Ⅰ.神経発達症群 / 神経発達障害群(Neurodevelopmental Disorders)
    • 知的能力障害群(Intellectual Disabilities)
    • コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群(Communication Disorders)
    • 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)
    • 注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(Attention—Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHA
    • 限局性学習症/限局性学習障害(Specific Learning Disorder:LD
    • 運動症群/運動障害群(Motor Disorders)
    • チック症群/チック障害群(Tic Disorders)
    • 他の神経発達症群/他の神経発達障害群(Other Neurodevelopmental Disorders)

参考:精神科病名検討連絡会:DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)

※DSM-5の和訳では、過剰診断を避けるため、「症」のみとせず「障害」という診断名と併記されています。

発達障害の1つであるADHDについては、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

【精神障害】と【自閉スペクトラム症】って何がちがうの?

発達障害とは

【自閉スペクトラム症】の親である【発達障害】にも、さらに親カテゴリーが存在します。それが【精神障害】です。

上の図は【精神障害】と【発達障害】の関係性を表したものです。

POINT

【精神障害】は、発達障害(自閉スペクトラム症の親カテゴリー)、知的障害、精神疾患などをまとめた親カテゴリー

つまり【精神障害】は【自閉スペクトラム症】の親の親であり、【自閉スペクトラム症】は、【精神障害】に含まれる小分類の一つということになります。

【知的障害】と【自閉スペクトラム症】って何がちがうの?

【知的障害】と【自閉スペクトラム症】は違います。

【自閉スペクトラム症】だから【知的障害】になるとはなりません。

【知的障害】と【自閉スペクトラム症】はともに精神障害の一種で別のものだからです。

また、上部に載せた図をご覧いただくと、【知的障害】は【自閉スペクトラム症】【発達障害】ともに重なっている部分があることがお分かりいただけると思います。つまり、関連性がとても高いのです。

POINT

【知的障害】と【自閉スペクトラム症】はともに精神障害の一種であり、また、関連性がとても高い

【知的障害】については、下記ページで詳しく説明していますので、是非そちらもあわせてご覧ください。

◇参考◇【発達障害】と【知的障害】って何がちがうの?

【発達障害】と【知的障害】の関係性は上記で説明してきた通りですが、実はこのふたつ、日本の行政において、別で考えられており、歴史も取り扱いも違います。簡単に見ておきましょう。

歴史が違う

【発達障害】と【知的障害】の日本で福祉の対象となった歴史は、とても差があります。

【知的障害】は、1880年代後半頃から福祉の対象となり、法律では1960年の精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)が施行されています。

扱いが違う

【発達障害】は、今でこそほとんどの人が知っているであろう文言ですが、日本の法律で福祉の対象となったのは、2004年の発達障害者支援法です。

それまでの知的障害者福祉法では、援助措置やサポートがカバーしきれない人々が大勢いるということが、やっと明らかになり制定された福祉法なのです。

そのため、日本の行政では【発達障害】と【知的障害】の取り扱いも別になっているのです。

POINT

発達障害者支援法は、知的障害者福祉法でカバーされていない人を対象に制定された。そのため、行政では【発達障害】の中に【知的障害】は含まれない形になっている

このようになった大きな理由の一つは、【発達障害】や【自閉スペクトラム症】という概念自体が、世界的に歴史が浅いためです。

しかし、医学的や福祉機関では、図のように【発達障害】の中に【知的障害】も含めて考えられることが多いです。

【自閉症】と【自閉スペクトラム症】って何がちがうの?

【自閉症】と【自閉スペクトラム症】は、用語がオーバーラップしていて混乱します。【自閉スペクトラム症】は、自閉症スペクトラムと呼ぶ場合もあるので、その場合はより【自閉症】と似ていますよね。

下の図は【自閉症】と【自閉スペクトラム症】の関係性を表したものです。

自閉症とは?

知的障害を伴う人が【自閉症】

上の図のように、【自閉症】とは、【自閉スペクトラム症】の中で知的障害を伴う人を指しています

そして知的障害がない人の場合、少し前の言葉で言うとアスペルガー症候群高機能自閉症と認識されていました。

ひとまとめにした概念が【自閉スペクトラム症】

上のNHKの図を見ると、【自閉スペクトラム症】が自閉症アスペルガー症候群高機能自閉症などをひとまとめにして呼ばれているものだと、よく分かりますね。

詳しくは、後に出てくる「【広汎性発達障害】と【自閉スペクトラム症】って何がちがうの?」の章でも説明します。

【自閉スペクトラム症】は最近の概念

実は、【自閉スペクトラム症】は現代の呼び方であり、一方、自閉症アスペルガー症候群高機能自閉症少し前までの呼び方なのです。

【自閉スペクトラム症】という文言は1998年にはじめて提唱されたものです。

自閉症児の親であるローナ・ウィング医師が「重度から高機能までのすべての自閉症をボーダーのない連続体・スペクトラムとしてとらえなければならない」という理由から生み出しました。

自閉スペクトラム症(以下ASD)は、言語・非言語コミュニケーションの障害、固執性・反復性の行動、社会性の障害を主症状とする精神疾患である。ASDには自閉症症状・広汎性発達障害・アスペルガー症候群・レット症候群などが含まれる。これらの疾患では類似した症状が顕れるが、知能指数や自閉症度に幅があるため、スペクトラムとしてまとめて呼称されるに至った。

日本薬理学会 日本理試148,Pp121-122「自閉スペクトラム症とてんかん」安藤めぐみ etc.(2016)

その後、2013年にDSM-5で採用されたことで一躍有名な概念・言葉になりました。

POINT

【自閉症】は昔の呼び方であり、現代風に言い換えると【知的障害を伴う自閉スペクトラム症

【広汎性発達障害】と【自閉スペクトラム症】って何がちがうの?

【広汎性発達障害】は、昔の呼び方

【広汎性発達障害】は、【自閉スペクトラム症】という概念を導入する前に、自閉症アスペルガー症候群高機能自閉症などの親カテゴリーとして使用されていた用語です。

図にしてみると下記のようになります。

DSM-5では自閉スペクトラム症となる
POINT

【広汎性発達障害】は、昔の【自閉スペクトラム症】的な位置づけの言葉(※正確には違います。あくまで、分かりやすく言うと、です。)

詳しくは下記ページにて解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

【広汎性発達障害】の人は、今は【自閉スペクトラム症】と言われる

つまり、少し前までは、【自閉症】の人は「【広汎性発達障害】の一種の【自閉症】」、アスペルガーの人は「【広汎性発達障害】の一種の【アスペルガー症候群】」と診断されていました。

それが現代では、両者とも自閉スペクトラム症】と診断されるようになっている、という関係性です。

では【自閉症】という診断名・言葉はもう使わなの?

自閉症アスペルガー症候群高機能自閉症 などもまとめて【自閉スペクトラム症】と呼ぶようにしたなら、もう【自閉症】という診断名・言葉はなくなっていくのでしょうか?

いえ、やはりしばらくは存在し続けますかね。

【自閉スペクトラム症】の研究基盤が【自閉症】であることもあります。【自閉スペクトラム症】は「健常者と軽症な自閉症の人が連続的直線の上に並んでいる」という概念から成っているのです。

自閉スペクトラム症概念図
ケンブリッジ大学発達精神病理学科サイモン・バロン=コーエン教授による自閉症スペクトラム障害図(2011)画像はwikipediaより

そして【自閉症】研究の国際的な論文は、もちろん英語で執筆されますが、【自閉スペクトラム症】を表す英語は「Autism spectrum disorder」です。

日本語では、先頭の単語Autism」を「自閉症」と訳します

そのため、まず「自閉症」という言葉はなくならず使い続けられる、と予想できます。

まとめ

今回は、【自閉症】【自閉スペクトラム症】【発達障害】などの立ち位置の違いをざっくり説明しました。

あえてそれぞれの詳しい定義などを省くことで、どこで使われている用語か分かりやすくなりましたよね。

しかし、各用語の定義や説明、成り立ちなども自閉スペクトラム症をと取り巻く環境を理解するのに必要です。それぞれ、文中に張ったリンク先のページにて詳しし説明していますので、そちらもご確認くださいね。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!