【自閉症】【自閉症スペクトラム】の違いは?|発達障害、ASD、ADHD などの用語説明も

ASDよくある疑問

初心者さん必見!自閉症を調べている時によく出てきて「混乱しがちな用語」について、ざっくり簡単に説明していきます。

自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムは、簡単にまとめると「自閉症」の現代版の呼び方です。

ASD

ASDは自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder)のアルファベット略称です。

ADHD

ADHDは、注意欠陥・多動性障害です。ADHDもアルファベット略称です。

ASD(自閉症スペクトラム)は違う障害です。ですが、同じ発達障害の仲間です。ややこしいです。次の章の図↓をご覧いただくと分かりやすいです。

発達障害

発達障害は、ASDADHD 等をまとめた総称です。

発達障害とは

ASD、ADHDの他にも、学習障害(LD)やチック症、吃音(きつおん)なども含まれます。

参考:精神科病名検討連絡会 DSM?5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)、厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「発達障害」最終閲覧日:2022/5/6

【発達障害】と【自閉症スペクトラム】って何がちがうの?

POINT

【発達障害】は、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれれている、親カテゴリー

精神障害

精神障害は、発達障害知的障害、精神疾患(うつ病、統合失調症 など)などをまとめた総称です。↑の図をご参照ください。

POINT

【精神障害】は、自閉症スペクトラムの親カテゴリーのそのまた親カテゴリー

知的障害

知的障害は、図的には、発達障害と同じ立場の精神障害の一種です。

◆参考◆発達障害と知的障害は、行政では取り扱いが違う

DSM-5、ICD-10

自閉症・自閉症スペクトラムなどの診断基準が載っている分類表です。本だと思うと分かりやすいです。

広汎性発達障害

広汎性発達障害は、自閉症スペクトラムという概念を導入する前に、自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症などの親カテゴリーとして使用されていた用語です。

【自閉症】と【自閉症スペクトラム】って何がちがうの?

【自閉症スペクトラム】は新しい呼び方

先述したように、自閉症スペクトラムASD)は、自閉症の現代版の呼び方です。

「自閉症スペクトラム」という用語が最初に操作的診断基準(世界的な精神障害の診断基準)に記載されたのは、2013年でした。WHOが発行したDSM-5です。

※DSM-5の日本語版では、「自閉スペクトラム症」と訳されています。日本では自閉症スペクトラムという表記をよく目にしますが、同じです。

指し示す範囲が違う

以前は「自閉症」は、とても狭い範囲の人をさしていました。

現代では研究が進み、「他にも自閉症と同じ特性で困っている人がいっぱいいるぞ」ということで範囲を広げ「自閉症スペクトラム」という概念が誕生しました。

自閉症スペクトラムは、「健常者と軽症な自閉症の人が、連続的直線の上に並んでいる」という概念から成っています。

自閉スペクトラム症概念図
ケンブリッジ大学発達精神病理学科サイモン・バロン=コーエン教授による自閉症スペクトラム障害図(2011)画像はwikipediaより
◆参考◆

自閉症スペクトラムを1998年に初めて提唱したのは、重度の自閉症児の親であるローナ・ウィングという女性医師なんです。彼女は「アスペルガー症候群」の名付け親でもあるのです。80年前の「自閉症は冷酷な親による愛情不足」という認識を否定したのも彼女です。すごい方ですよね。お時間がある時にぜひ下記ページもご覧ください。とても認識が深まります。

かつで【自閉症】と定義されていた範囲は?

下記の図が「自閉症」と「自閉症スペクトラム」が指し示す範囲を表したものです。

自閉症とは?

知的障害を伴う人が【自閉症】

上の図では、自閉症が、自閉症スペクトラムの中で知的障害を伴う人を指しています。

知的障害を伴わない人が【高機能自閉症】【アスペルガー症候群】だった

知的障害がない人の場合、少し前の言葉で言うとアスペルガー症候群高機能自閉症と認識されていました。

特性により下記のように診断されていました。

ひとまとめにした概念が【自閉症スペクトラム】

上のNHKの図を見ると、自閉症スペクトラムが自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症などをひとまとめにして呼ばれているものだと、よく分かりますね。

自閉スペクトラム症(以下ASD)は、言語・非言語コミュニケーションの障害、固執性・反復性の行動、社会性の障害を主症状とする精神疾患である。ASDには自閉症症状・広汎性発達障害・アスペルガー症候群・レット症候群などが含まれる。これらの疾患では類似した症状が顕れるが、知能指数や自閉症度に幅があるため、スペクトラムとしてまとめて呼称されるに至った。

安藤めぐみetc.(2016)「自閉スペクトラム症とてんかん」日本薬理学会 日本理試148,p.121-122

さいごに

今回は、「自閉症」「自閉症スペクトラム」「発達障害」などの立ち位置の違いをざっくり説明しました。

それぞれの詳細については、各リンク先の説明を参考にしていただければ幸いです。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!