自閉スペクトラム症児|通えるのは幼稚園?保育園?支援センター?

2021年5月30日

自閉症児が通える施設は?

息子は、知的障害を伴う自閉スペクトラム症(自閉症)なのですが、幼稚園をきめる時期にどこへ通わせるべきかとても悩みました。その結果、地元の受け入れてくれる私立幼稚園へ入園できました。しかし、4ヶ月後に自主的に退園をし、児童発達支援施設へ通うことにしました。

今回は、自閉症の3歳児が通える園の選択肢と、それぞれどのような違いがあるのか、先輩ママさん達はどんな選択をしたのかを見ていきます。

選択肢一覧

今回は、医療的ケアが必要なケースを除いて考えていきます。

【その1】保育所などで【加配】対応をお願いする

下記のような定型発達児と同じ選択肢で、加配】対応をお願いするという選択肢が挙げられます。

  • 定型発達児と同じ選択肢
    • 幼稚園
    • 保育所
    • 認定こども園 等

そもそも定型発達児と同じ場所に通えるの?

既にお調べになってご存知の方も多いかもしれませんが、障害を持っていても、保護者の意向と園側の受け入れ態勢が整いさえすれば、定型発達児と同じ場所に通うことができます

現代では、世界的にも、そして日本でも、人間の多様性の尊重等を強化し、障害のある子と障害のない子が、できるだけ同じ場共に学ぶことを目指すことが大切とする「インクルーシブ教育システム」が推進されているのです。

【加配】のお願い

加配対応は、医師からの障害診断や障害者手帳(療育手帳など)の取得がなくても、つまり発達が気になるという場合でも、施設側にお願いすることは可能です。

ただし、加配対応をしてもらえるかどうかは、施設によって大きな差があるのが現実です。加配の制度自体は昭和の時代からあるのですが、現代でも「はい、どうぞ」と気軽に加配できるものではなさそうです。詳しくは下記ページで説明していますので、是非あわせてご覧ください。

障害児を受け入れてくれやすい施設は?

下記ページに参考として載せています。

【その2】児童発達支援センター

児童発達支援の施設は、児童発達支援センターと児童発達支援事業所があり、障害種別や支援の形態は様々存在します。

その中でも、幼稚園のように平日毎日お預けで発達支援を行ってくれる児童発達支援センターの通所施設が1つの候補に挙げられます。

児童発達支援は、児童福祉法第6条の2の2第2項の規定に基づき、障害のある子どもに対し、児童発達支援センター等において、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の便宜を提供するものである。

厚生労働省「児童発達支援ガイドライン

障害の診断は不要

障害の確定診断がなくても利用できます

児童発達支援の施設や利用方法は下記ページに詳しく説明してありますので、是非あわせてご覧ください。

幼稚園などとの違い

児童発達支援センターの通所施設と、幼稚園・保育所等の違いについては、下記ページに詳しくまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。

【その1】特別支援学校の幼稚部

近場、かつ、重度知的障害児のみ対象

特別支援学校に幼稚部を設置している学校は11校と少ないのですが、地域内に住んでいる場合、かつ比較的重い知的障害を併発している子の場合は対象になるため、選択肢の1つになると思います。障害者手帳の取得とは関係ありません。

参考

自閉スペクトラム症に特化した特別支援学校は基本的にはありません

特別支援学校に通っている自閉スペクトラム症児は、主に障害種別が「知的障害」の特別支援学校です。(※)

※知的障害と自閉スペクトラム症は別の障害です。併発する事の多く、幼児期の特徴も似ているため混同されがちです。詳しくはこちらにまとめています。

※特別支援学校は法令で定められた知的障害の程度(比較的重め)の子だけが入学できる学校です。例えば小学部でも、基本的に卓上での鉛筆を使用した勉強がないため、軽度の子が入学すると適切な学習機会が失われるため、認められていません。詳しくは下記ページをご覧ください。

【参考】先輩ママ達の選択は?

息子の周りにいたお友達8人がどのような園に進んだのか、その子たちのだいたいの特性と程度を別ページにまとめました。良ければご参照ください。

障害児に必要な支援とは?

自閉スペクトラム症や知的障害を持っている場合、ただ補助の職員さんがそばについていてくれて、本人も困らず、また、他の子に迷惑を掛けずに一日を過ごせればいいというものではありません

幼児の活動に沿って環境を構成することは,教師が環境を全て準備し,お膳立てをしてしまうことではない。このような状況で幼児が活動をした場合,やり遂げたという充実感や満足感を必ずしも十分に感じられないこともあるであろう。また,困難な状況を自分で考え,切り開く力が育たなくなってしまうこともあるであろう。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第2章 総説 第6節 指導計画の作成と幼児理解に基づいた評価

定型発達児から刺激をもらったとしても、定型発達児の成長曲線のようには発達できないのが現実です。

障害のある幼児の場合は,障害があるために,幼児期の発達の特性が十分に発揮されずに,発達に遅れや不均衡が生じることがある。このため,障害の状態や特性及び発達の程度等に配慮しながら,幼児期の発達の特性を生かした活動を展開することによって,調和のとれた発達を促すようにすることが必要である。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第1章 幼稚部における教育の意義

障害のある幼児の発達を捉える場合も,基本的には障害のない幼児の発達の考え方と共通であると言える。しかし,障害のある幼児が,環境との関わりの中で生活に必要な能力や態度などを獲得していくのに,障害のあることがどのような影響を与えるかについて,十分に理解する必要がある。(中略)したがって,障害のある幼児については,長期的な見通しの中で,きめ細かく発達の過程を捉えることが大切である。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第1章 幼稚部における教育の意義

そのような子どもの場合、適切な発達支援が必要になります。特に障害児が自ら主体的に活動して、小学生、大人になった時に生きていく力を身につける必要があります。

児童発達支援においては、障害の気づきの段階から継続的な支援を行い、将来の子どもの発達・成長の姿を見通しながら、日常生活や社会生活を円滑に営めるよう、今、どのような支援が必要かという視点を持ち、子どもの自尊心や主体性を育てつつ発達上の課題を達成させることが必要である。

厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」

ウ 具体的な指導内容を設定する際には,以下の点を考慮すること。
(ア)幼児が,興味をもって主体的に取り組み,成就感を味わうとともに自己を肯定的に捉えることができるような指導内容を取り上げること。
(イ)個々の幼児が,発達の遅れている側面を補うために,発達の進んでいる側面を更に伸ばすような指導内容を取り上げること。
(ウ)幼児が意欲的に感じ取ろうとしたり,気が付いたり,表現したりすることができるような指導内容を取り上げること。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第3章 ねらい及び内容等 第3節 自立活動義

また、心理士や理学療法士などの専門家との連携も必要です。

また,教育的立場からの実態把握ばかりでなく,心理学的な立場,医学的な立場からの情報を収集したり,幼児が支援を受けている福祉施設等からの情報を収集したりして実態把握を行うことも重要である。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第3章 ねらい及び内容等

児童の発達の特性から、身に着けやすい時期を逸すると、身に着けにくくなるため、早期療育が必要とされています。

このような発達の過程は,ある時期には身に付けやすいが,その時期を逃すと,身に付けにくくなることもある。したがって,どの時期に何をどのような方法で身に付けていくかという適時性を考えることは,幼児の望ましい発達を促す上で,大切なことになる。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第1章 幼稚部における教育の意義

見学の必要性

児童発達支援施設、幼稚園、保育所等の同じ種別の施設でも、その園や先生によっても方針や子どもの反応は異なりますので、よく見学して決めてあげられるといいですね。

特に、やりがちではりますが、子ども達をあっちに行ってはいけないと抱きかかえたり止め続けたりする様子が見られるところは、児童発達支援の方法・考え方が甘い可能性があるため、注意が必要です。

職員等が自分の体で利用者を押さえつけて行動を制限することや、自分の意思で開けることのできない居室等に隔離すること等は身体拘束に当たり、障害のある子どもや他の障害のある子どもの生命又は身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、禁止されている。

厚生労働省 児童発達支援ガイドライン 第6章 支援の質の向上と権利擁護 2 権利擁護 P.41

10年程の経験ですが、2歳児で通う自治体の親子教室(児童発達支援)(週2日、9:30~13:30、通所受給者証が必要)に見学・体験に行った日のことです。

椅子に座りましょうという時でした。多動の息子は、椅子に座らず逃げようとしました。発達障害児であれば、よく見られる行動ですよね。

リーダー的な年配の先生が、自身の体を使って「今は行ってはいけない」と床にずっと押し付けていました。息子は寝そべった状態で、泣き叫びながら、結構長く抑えつけられていました…。

先生方は、そばにいる母親の私に「このくらいして指導しないとね」という感じでした。衝撃でした。

息子は1歳児から自治体の親子教室(発達が気になる子対象、隔週1日、1時間半程度、通所受給者証は不要)にも通っており、心理士さんとも何度か面談もしていたので、多少障害児への対応方法は分かっていたつもりでした。そのため、そこの先生方の方針は適正ではないと感じました。

障害児を抑えつけて指導をしようする姿勢を見た瞬間、そこへ通うのはやめようと思いました。

まとめ

今回は、自閉症の3歳児が通える園の選択肢について見てきました。

どの施設にも通えるようになっていますが、親が障害児に必要な支援を理解したうえで、その園の先生方に託せるか確認してから通わせてあげたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!