1・2歳児【発達】不安|【自閉症?】親が簡単に確認する方法
自宅で親が「この子は自閉症スペクトラムなのか?」「可能性はどのくらいなのか?」を確認する簡単な方法をまとめてみました。
「この子は自閉症かもしれないの?」と一度でも思ってしまった親にとっては、毎日が不安で辛い日々です。その子が自閉症・自閉症スペクトラム(ASD)かどうかは、「専門医に診てもらわないと診断できない」「3歳くらいにならないと分からない」と言われており、この記事も参考程度ですが、どなたかのご参考になれば幸いです。
※自閉症と自閉症スペクトラムの違いはこちら
診断基準に該当すること
これらは、自閉症スペクトラムの診断基準である中心的な障害に該当する項目や、併発することが多い障害に関する項目です。
- 診断基準「社会的コミュニケーション、対人的相互反応の欠陥」に関わること
- 手遊びなどは全くやろうとしない
- 遊び場で同じくらいの年代の子の真似をしない(物おじして真似できないのは大丈夫)
- 1歳半健診で引っかかった
- 診断基準「行動、興味、または活動の限定された反復的な様式」に関わること
- 連続したものをずっと見ているのが好き 例)一列に並べたおもちゃ、丸いものをくるくる回した光景など
- いつもと違う道を通るとパニックになり、いつもの道に行きたがる
- 特定のモノや順序に、異常なほど執着する
- 大きな音や騒がしい環境をとても嫌がる
- 洋服を脱ぎ着させる時、くすぐったがったり痛がったりして手が掛かる
- 冷たいお風呂にも平気で入っている
- シャワーが肌に当たるのをとても嫌がる
- 併発する可能性が高い障害に関すること
- こちらの声や制止なんてお構いなしに、好き勝手な所に走り出す(※参考3)
自閉症児にはむずかしいこと
自閉スペクトラム症児と定型発達児の見極めやすいポイントの例です。
- 子どもが「どうしよう…」と思う場面で、親の顔を見て確認してくるか(定型発達の子であれば、それは非常に頻繁に行われています)
- 大人が指さしする方向を見ようと、また、対象物を探そうとするか(正確に探せなくても、探そうとしていればOK)
- 絵本を見ている時に「〇〇はどれ?」の問いに答えようとするか(興味がなくて次のページに行きたいとかであれば大丈夫。例えば、自閉症・自閉スペクトラム症であれば、その子が絵本を読んでいる時に隣に行くとリアクションなどなく、ス―っといなくなることが多い。
これらは「共同注意」に関連する項目ですが、幼い自閉スペクトラム症児であれば習得が困難な部分です。(共同注意で分かりやすい行動は「指さし」です。詳しくはこちら)
※今心配している子が第一子の場合、親は定型発達児の行動を見る機会がない(少ない)ため、上記がどのような行動を指しているのか正確に分からないことがあり注意が必要です。
診断基準ではない項目
自閉スペクトラム症児によく見られるが、実は診断基準ではないものです。
- 言葉の遅れ
- 多動
- 運動発達の遅れ
- こちらの顔を見てくる、目が合う
①言葉の遅れ
言葉の遅れは、自閉スペクトラム症の診断基準ではありません。
自閉スペクトラム症児でも言語発達に問題がない子もいます。
だだし、言語発達の遅れも伴うことも多いことは事実です。詳しくは下記ページにまとめています。
②多動
多動も自閉症スペクトラムの子にはよく見られる特性ですが、診断基準にはなりません。
多動に関連する発達障害は別にあります。ADHDというものです。自閉スペクトラム症と「併発」しやすいです。両者とも社会的コミュニケーションに問題が起こるため、混同されやすいです。
③運動発達の遅れ
運動発達の遅れも、自閉スペクトラム症児によく見られる特徴です。しかし、これも診断基準にはなりません。両者の関連性については、下記ページにまとめています。
④こちらの顔を見てくる、目が合う
自閉スペクトラム症の人は、自閉スペクトラム症だと表情が乏しい、目が合いにくいというイメージが根強いです。
重度の自閉スペクトラム症(古典的自閉症)の場合はそのような人も多が多い傾向があります。しかし、それも診断基準にはなりません。
自閉スペクトラム症は、大人になっても気づかれないような軽度~↑のイメージのような重度まで広範囲を意味しており、特性も十人十色です。診断基準は複雑です。
自閉症の息子はよく笑い、こちらのこともよく見てきたので自閉症の診断が下った後でも、周りからは違うでしょうと言われ、それが非常に苦しかった思い出もあります。↓1歳の息子の様子です。
保健師さんや心理士さんなどの専門職の人でも、臨床経験がない場合、目が合いにくいから定型発達児ではないと判断するという調査結果もあります。イメージと診断基準の差がうかがえます。
一方、臨床経験のない参加者は、HFASDの映像を見て「笑っているから違和感がない(TD児だ)」、TD児の映像を見て「視線が合っていないから違和感がある(TD児ではない)」と理由づけて判断する傾向があった。これは「知識としての障害児像(例えば「障害児は表情が乏しい」、「目が合いにくいのは発達に遅れがあるのではないか」など)」と対比させることで違和感の有無を検討していたと考えられる。
埼玉大学紀要 教育学部,66(2):401-413(2017)「知的障害のない自閉症スペクトラム障害児の初期発達に関する研究」根岸 由紀、細渕 富夫
その他の情報
●ゆくゆく自閉症・自閉症スペクトラムと診断された子の多くの親は、かなり早い段階で違和感や育てにくさを抱いていると報告されています。早期発見の必要性と今できることは下記ページに詳しくまとめていますので、是非あわせてご覧ください。
●自閉症スペクトラムと知的障害は別のものですが、幼児期の特性が似ています。下記ページに知的障害児の意思疎通の程度や運動、自立機能などの具体例も載っておりますのでご参考にされてください。
●知的障害かどうかを評価する際に、日本でもっとも使用されている検査は、田中ビネー知能検査Ⅴです。
さいごに
今回は、1・2歳児のわが子が自閉症かどうかや発達が不安になった際に、どのような項目を確認すれば論理的に不安を整理できるのかまとめてみました。
実際に自閉症かどうか、臨床医がどのように診断をするのか、ということに関しては、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。
また、私が2歳の息子を初めて発達外来に連れて行ったことについても記載していますので、どなたかの参考になれば幸いです。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!