【参考資料】ICD-10 自閉症 診断基準

2022年2月にWHOからICD-11が発効され、ICDから広汎性発達障害がなくなりました。

「自閉症スペクトラムの【診断基準】とは?ICD-10、DSM-5の項目を解説!」ページを「自閉症スペクトラムの【診断基準】とは?2022年最新版ICD-11、DSM-5の項目を解説!」ページに変更するに伴い、旧版となったICD-10広汎性発達障害の診断基準をこちらに移動し、メモとして残しておきます。

ICD-10 の 自閉症 診断基準

ICD-10(2013年版)準拠の広汎性発達障害>自閉症の診断基準です。

F84 広汎性発達障害
Pervasive developmental disorders

対人的相互作用とコミュニケーションにおける質的な機能障害及び, 制限された, 常同的で反復性の興味と行動のレパートリーによって特徴づけられる障害の一群である。これらの質的な異常は, すべての状況における個人の機能の広汎な特徴となっている。関連する何らかの医学的病態や知的障害<精神遅滞>の分類が必要な場合は, 追加コードを使用する。

F84.0  自閉症
広汎性発達障害の一つの型であり,

a) 病的なあるいは損なわれた発達の存在が3歳未満に認められること
b) 精神病理の三つの領域, すなわち, 対人的相互作用, コミュニケーション及び制限された常同的で反復性の行動のすべてにおいて認められる異常な機能の特徴的な型

で定義されている。 これらの特異的な診断特徴に加えて, その他の非特異的な一連の問題が見られるのが普通である。 たとえば恐怖症, 睡眠と摂食の異常, かんしゃく発作,(自己に向かう)攻撃性である。

厚生労働省サイト ICD-10(2013年版)準拠内容例示表>第5章 精神及び行動の障害(F00-F99)

ICD-10自体は1990年に発効されたもので、まだ「自閉症スペクトラム」の表記はありません。2022年2月にWHOが発効したICD-11では「自閉スペクトラム症」になりました。日本語版は準備中です。

診断名も「広汎性発達障害」(ICD-10)から「自閉スペクトラム症」へと(中略)変更になっている

日本精神神経学会 精神経誌 123(4)「ICD-11における神経発達症群の診断について―ICD-10との相違点から考える―」森野百合子 他

最新版の自閉症(自閉症スペクトラム)の診断基準については、下記ページでご確認ください。

自閉症の診断基準(ICD-10)

広汎性発達障害、自閉症、自閉スペクトラム症の違い

詳しくは下記ページで説明しています。

ICD-10 と DSM-5 の比較

ICD-10 は DSM-5 とは完全に一致はしませんが、意味合いはほぼ共通しています。

ICD-10 と DSM-5 の比較
  • 【ICD-10】「a) 病的なあるいは損なわれた発達の存在が3歳未満に認められること」は【DSM-5】「C.症状は発達早期に存在していなければならない」とほぼ共通している
  • 【ICD-10】「b)精神病理の三つの領域(※)すべてにおいて認められる異常な機能の特徴的な型」は【DSM-5】「『A.社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥がある』『B.行動、興味、または活動の限定された反復的な行動が2つ以上あること」が中心的な障害である』」とほぼ共通している
CHECK

※:精神病理の三つの領域とは、ローナ・ウィング医師が定義した「ウィングの三つ組み」と呼ばれ、下記を特徴としている状態です

  • 対人的相互作用…周りの人の意図が理解できず、その場に応じた正しい行動ができない
  • コミュニケーション…言語発達が定型発達と異なる
  • こだわり…異常なほどで、常にそうしないとパニックになる

さいごに

自閉症に関する歴史はまだ浅く、原因も明確になっていないため、現在でも日々研究され、診断基準も変わってきています。

最新版のICD-11の自閉スペクトラム症の診断基準は、DSM-5には準拠した内容になっています。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!