普通学級での経験例【自閉スペクトラム症児】本人の意見・経験例|まとめ

2021年7月20日

自閉スペクトラム症児_普通学級での経験例

今、世界的にもに日本においても、障害がある子もない子も、合理的配慮をしたうえで出来るだけ同じ環境で学ぶ=どの学校に在籍しても個別の教育支援計画等を作成し適切な特別支援教育を受けられるという「インクルーシブ教育システム」が推進されています。

しかし、下記のような話はよく聞き、理想と現実が異なることもまた周知の事実でもあります。

「現実には、いろんなお母さんもいらっしゃいますよね。『あの子がいたら勉強ができない』っていう声も、実際私の息子にではないですけれど、まわりまわって聞くこともあります。『あの子が走り回ったら、それだけ先生も手が取られる。注意もいく。勉強がちょっと遅くなるんじゃないか』って」(菜の花さん)

NHK福祉情報サイトハートネット「発達障害のある子どもたち 小学校就学の悩み」記事公開日:2018年10月31日

今回は、参考資料として、普通学級(普通の幼稚園、保育施設含む)をはじめ、支援学級や通級指導教室に通っていた自閉スペクトラム症(ASD)児の意見や経験例をまとめます。

以下、自閉スペクトラム症を「ASD」とよびます。

【その1】発達障害児本人の意見

①支援学級?普通学級?悩んだ時の意見

地域校(公立)の支援学級の小・中学校に通っていた女の子が、支援学級か普通学級か悩んだ時の意見です。(ASD、学習障害、感覚過敏)

  • 小学校時代は、大変なことがありながらも学校側の体制が充実していて、有意義な学校生活を送れたようです。
  • 中学生になってから、より勉強がしたいと一部通常学級の授業も受けるようになったところ、成績優秀で先生方は通常学級で十分に学習できると判断・打診したが、本人・母親は特別支援学級のままを選択したようです。
  • 理由は、休み時間や昼食の時間を通常学級で過ごすのが辛いとのことでした。

“勉強をするのは楽しいため交流教室に参加したいが,感覚過敏や刺激のコントロールの困難さの観点から特別支援学級に在籍していたい” (中略)

交流教室では,授業の形式が構造化されているため,比較的,刺激のコントロールが難しくない。しかし,授業の合間の休み時間や昼食の時間になると,様々な刺激が様々な強さで入力されるため,情報が散乱してしまい,パニックの様相を呈してしまうこともあるとのことだった。

人間発達文化学類論集 第 19 号「障害児教育におけるインクルーシブ教育への変遷と課題」髙橋純一・松﨑博文 p.22 2014年6月

②10歳の頃に幼稚園のことを振り返った時の意見

普通の幼稚園を過ごしたアスペルガー症候群(現在は「ASD」と表現されている)の高橋紗都さんの例です。聴覚過敏、触覚過敏、視覚過敏もあるようです。

高橋紗都さんとご両親(2008) 画像はThe Asahi Shimbun GLOBE+より
  • 「うるさいところ」と表現
  • また、泣いているのに毎日むりやり行かされ辛かったと語っています。

私にとってようち園というのは、「うわわ園」のようなものでした。私はなぜこんなうるさいところに入れられたのかもわかりませんでした。私は泣いているのに、むりやり教室に入れられ、「ギャーギャー」と騒いでいる子の近くに連れていかれました。(中略)

毎朝、お母さんとはなれると、ようち園に行かなければならないと思うと、お母さんにしがみつきたくなって、お母さんにしがみついて泣きわめいていました。それでもはなされて、教室に入れられました。

うわわ手帳と私のアスペルガー症候群」高橋紗都・高橋尚美 (著) 2008年

【小・中学校での経験例】

  • 小学校(普通学級)入学直後から、うるさい環境に耐えられず登校を嫌がるようになり、ご両親が彼女の希望を尊重し、登校しない選択をしたようです。
  • アスペルガー症候群の診断が下されたのは、その後の9歳の頃。
  • その後、中学校では理解ある支援をしてもらえたことで、最終的には一人で登校できるまでになったようです。

「中学校での支援が大きかった」という。放課後の静かな時間帯に登校し、数学や英語を教わった。身体検査も他の生徒の前に受けさせてもらえた。小学校ではつらいと言っても「わがまま」と見なされたが、中学ではつらいことをつらいと受け止めてもらえ、紗都は「大人への印象がガラリと変わった」という。学校まで徒歩5分。初めは母親と一緒に、次第に1人で通えるようになった。

The Asahi Shimbun GLOBE+「自閉症の息子、どんな可能性が 答えを求めて記者が世界を旅する」2017.3.5

【現在】

20歳を超えた現在でも、耳や目から入る情報には苦労しているようですが、理解と受け入れる努力を重ねながら、ギター演奏者として活躍しているようです。参考:朝日新聞デジタル「大阪)自閉スペクトラム症の学生がコンサート 16日に」太田康夫 2017年4月6日

橋紗都さん(2017) 画像は朝日新聞デジタルより

【その2】経験例

①母親がいつも付き添っていた例

ASDがあるか明記はなかったのですが、障害を持っているお子さんを通常学級へ通わせているママさんは、よく付き添って学校にいるケースが多いので、載せておきます。学習障害がある息子さんを通常学級へ通わせたお母さんの経験例です。通常学級へ通わせるには親のサポートが欠かせないとし、よく学校にいるようにしていたそうです。

画像はNHK福祉情報サイトハートネットより

「二階の教室から脱走していなくなった、と。その子を探している間にほかの35人は置いてきぼりになるわけですよ。『私が見ておくから大丈夫、先生は戻っていいよ』というふうにやっていました」(きくさん)

NHK福祉情報サイトハートネット「発達障害のある子どもたち 小学校就学の悩み」記事公開日:2018年10月31日

②とても良かったという経験例

ASDの男の子が、普通の保育施設で過ごす中での経験例です。

画像はNHK福祉情報サイトハートネットより
  • 先生と周りのお友達がいたからこそ「苦手だった集団行動もやってみよう」となったと語っています。

たとえば遠足では、興味がないとなかなか足が進まないケイくんに「ケイくん、あともうちょっとだよ」と友達がすぐに声をかけてくれます。またある時は、食べることへのこだわりが強い特徴について「ケイくんって本当になんでも食べるよね、面白いね」とヒヨドリさんに伝えてくれた子がいました。

「違っていることは面白いって子どもたちは捉えるんだなと思って。この子はこういう時に困った行動をするけど、こういうところは良いところだよねって。自分を理解してくれる人が周りにいることで、苦手だった集団行動もやってみようってなる」(ヒヨドリさん)

NHK福祉情報サイトハートネット「発達障害のある子どもたち 小学校就学の悩み」記事公開日:2018年10月31日

③必要な支援が受けられなかった経験例

軽度知的障害を伴うASDの小学1年生の男児の体験談です。在籍は地域校の支援学級ですが、大半の時間を通常学級で過ごしているようです。

  • 普段はもう家ではパニックにならなくなっているようですが、学校では度々パニックを起こしているようです。
  • 主な原因は、明確化されていない、いわゆる暗黙のルールの理解困難と、興味のあるものへのこだわりから先生、他生徒から責められることでパニックになってしまうということでした。
  • お母さんは連日学校と連絡を取り必要な情報を伝えてはいるが、先生のスキル不足のために必要な支援は得られていないと語っていました。

学校とやりとりしていますが、理解はあるものの先生のスキルがありません。
家でパニックになることはもうありません。
学校の先生が対応しきれず、家庭での実践や勉強で学んだ事を学校に伝えていますが、まったく間に合っていません。ルールの明確化や理由を一緒に考える事や確認といった、必要な支援が取られていません。
連日学校からの電話や連絡帳のやりとりでへとへとです。
このままでは本来の穏やかな性格を潰されて、二次障害になってしまうのではないかと心配しています。

投稿日時:2017年05月26日 14時41分NHK福祉情報サイト ハートネット「障害のある子どもの学校生活の悩み(2017年6月“チエノバ”)p.4」アネモネの憂鬱さん/兵庫県/30代/母親

④学習面でついていけなかった経験例

ASDの男児の小・中学校の体験談です。在籍は通常学級で、週1回の通級指導教室(隣の学校)に通っていたようです。

  • 通級指導教室では自信に繋がった。
  • 在籍する通常学級では勉強のスピードと量についていけず、殻に閉じこもっていたようです。

通級は先生1人に生徒2人か3人でゆっくり進める息子を急かすことなく本人が自分の気持ちを伝えることが出来る進め方をしてくれるので、息子の良いところを把握出来て本人の自信にも繋がりました。

しかし在籍学級に戻ると、スピードと量についていけずに、なぜ宿題が必要なのか、なぜみんなと同じことをしなければならないのかと殻に閉じこもっていました。

投稿日時:2017年05月26日 22時09分NHK福祉情報サイト ハートネット「障害のある子どもの学校生活の悩み(2017年6月“チエノバ”)p.4」いゆさん/愛媛県/30代/親であり本人

⑤いじめられた経験例

高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症/ASDとまとめられる前の広汎性発達障害の一つ)とADHDの女の子の例です。在籍は普通学級で、高校は公立高校(偏差値は普通レベル)のようです。

  • 小学校高学年から高校生まで、クラスでも部活でもいじめらた経験があるようです。
  • 中学校では「クラスのほうでも部活の方でも、苦手なことを先生からクラスメイトや部員に伝えてもらい」それからはいじめはなくなったようです。
  • 当時通っていた高校では、お母さんがクラス担任と部活顧問に話し合いに行ったようです。特にいじめが酷い部活については、部員に「障がい名は伝えず苦手な事や困っていることを先生から伝えて」もらったようです。

普通学級だった娘は物を隠され、ばい菌扱いされ、変人と見なされてきました。(中略)

こんなにいじめられても、めげずに休まずに登校し部活も遅くまでしてくる娘はすごく頑張ってて偉いと思いますが、無理をしてるんじゃないかと心配です。

何時までいじめられればいいのか、進学してもまたいじめがあるのでは?障がいあるといじめは避けられないんでしょうか。

投稿日時:2017年06月04日 14時42分NHK福祉情報サイト ハートネット「障害のある子どもの学校生活の悩み(2017年6月“チエノバ”)p.1」障がい児4人の母さん/当事者の母親

⑥合理的配慮が得られなかった経験例

学力は普通で受験合格をして私立中学校に通うASDとADHD(注意欠陥・多動性障害)の女の子の例です。

  • 女の子と保護者が入学時から学校に希望している合理的配慮は下記のようです。
    • 掲示物を書き写すことが難しいため写真を撮りたい
    • ノートへの教科書の書き写しに時間がかかり間違えが多いのでコピーを貼りたい
    • 口頭での宿題や小テストの聞き逃しがあるので声かけをお願いしたい
  • 学校側は「私立には合理的配慮の義務はない、の一点張り」「数百人の中の一人のためには特別なことは出来ない」と主張しているそうで、掲示物のみ親学校に行って撮影を許可されているようです。
  • 合理的配慮について、国から学校や先生に伝わっているのか疑問を持たれていました。
  • どこまで学校にお願いをしいていいのかも分からないとのことでした。

支援センターなどに相談すると、支援をできない場合には代替え案を提示しフォローする必要が私立にもあると言われました。実際のところどこまで学校にお願いをしてよいのか分かりません。そして、どこまで学校側が対応しないといけないのか、先生方には伝わるようになっているのでしょうか?

投稿日時:2017年06月01日 14時02分
NHK福祉情報サイト ハートネット「障害のある子どもの学校生活の悩み(2017年6月“チエノバ”)p.3」ひまわりさん/神奈川県/40代/母親

今回は以上です。

また機会がありましたら情報を追加していきます。どなたかのご参考になれば幸いです。

最後まで読んで下さってありがとうございました!