【自尊感情】とは?なぜ大切なのか・発達するのはいつ?【子どもの自尊感情を育てようシリーズ①】

2020年7月8日

自尊感情とは?

子育てをしていると子どもの自尊心/自尊感情は大切にしないといけないと漠然とは分かっています。

しかし自尊心/自尊感情とは何か正確にご存知ですか?

それが何かを知らないと大切にする正確な方法も分かりませんよね。

今回は自尊心/自尊感情とは何かを解説していきます。

自尊感情とは?

自分を【大好き】と思える感情

自尊感情は、自分自身を【大好き】【大切】と思える感情のことですが、自分の【良い面だけでなく悪い面】もひっくるめてそう思えるかが「自尊感情が正常に育まれれているか」というポイントになります。

それは、失敗したとき、こんな風に思えるか。

  • 「そんな自分でもいいか」
  • 「そんな自分でも大好き」
  • 「自分なら次がんばれる」

人から批判されたとき、こんな風に思えるか。

  • 「そんな考えもあるのか」
  • 「でも自分はこう思うから、そんな自分でいい」
  • 「次こそ期待に応えられるように自分はがんばれる」

そんな風に思えていれば、高い自尊感情を持ってると言えます。

POINT

自尊感情は、自分の【良い面】も【悪い面】も含めて、自分自身を大好きと思える感情。

それは、失敗したとき・批判されたときに、自分だけでなく他人の意見も受け入れ「次がんばれる」と向上心を持てる感情である。

また、自尊感情は、自分が他の人より優れていると感じる、威張るものとは異なります。

参考:創元社出版(2012)飯長喜一郎「人間性心理学ハンドブック」p.323

育むためのマイナス要素

自尊感情は、特に幼少期に育まれます。詳しくは後の章で説明します。

たっぷり愛情を掛けられていても、親が下記のような態度をとっていては、自尊感情は育まれにくいでしょう。

  • 上手くいったときだけ「いい子だねー」という表現で褒められる
  • 「そんな子は、嫌い。いい子にしていれば、大好きだよ」と常にメッセージを送られる
  • 幼いうちから非常に厳しくしつけられる
  • 子どもの選択・意見が尊重されない
    • いつも「こっちの方がいい、こうした方が上手だよ」と親の意見で物事が決められる
    • 子どもが失敗しないように「こうしないと」と先回りして親が手を出す

育まれる瞬間

アメリカ北イリノイ大学のChild Development and Family Centerの教師シェリー・ニューマン(Sherie Newman)氏は、自尊感情が下記の経過を経て生まれると述べています。

  • 自分の不足を見て、
  • それでもまだ自分を好きになることを選び、
  • 私たちが誰であるかを受け入れることを学ぶことから生まれる

さらに、すべての子どもの自尊心は、ポジティブな言葉を介した対話の成功のたびに成長するとも述べています。

子どもたちが自尊感情を育むためには、下記のことが重要としています。

重要POINT

自尊感情を育むためには、自分の人生をうまく処理できるという信念を築くことが重要

なぜ自尊感情は【大切】なの?

なぜ自尊感情は大切なの?

精神的健康・社会適応 のため

自尊感情が育まれてこそ、下記のような力が生まれるためです。

  • 他の人への思いやりが持てる
  • 物事に前向きになれる
  • その結果、社会の中で、幸せに生きていくための大きな力が生まれる

最新 心理学辞典でも自尊感情を「精神的健康適応を作り出す源」と定義しています。

自尊感情は精神的健康や適応を作り出す源

コトバンク「自尊感情(最新 心理学事典の解説)」より引用

過ちに対処する力になるため

子どもと思春期の子の心理学をご専門としているダーシー・ライネス(D’Arcy Lyness)博士は、自尊感情(Self-esteem)は子供たちが過ちに対処するのに役立つと述べています。

画像はKidsHealthより

Kids who feel good about themselves have the confidence to try new things. They are more likely to try their best. They feel proud of what they can do. Self-esteem helps kids cope with mistakes. It helps kids try again, even if they fail at first. As a result, self-esteem helps kids do better at school, at home, and with friends.

↑ 和訳概要

自分の気持ちが良い子供たちは、新しいことに挑戦する自信があります。彼らは最善を尽くす可能性が高くなります。彼らは自分にできることを誇りに思っています。自尊心は子供たちが過ちに対処するのに役立ちます。たとえ最初は失敗したとしても、子供たちがもう一度試すのに役立ちます。その結果、自尊心は子供たちが学校で、家庭で、友達関係において、より良い行いをすることを助けます。

なぜ自尊感情が大切なのかを簡単にまとめると、下記のようになります。

POINT

自尊感情は、精神的健康 と 社会適応 のため、過ちに対処する力 であるために大切である

次に自尊感情が高い/低いとどうなるのかも見てみましょう。

自尊感情が【高い】と?

自尊感情が高いと?

努力・成長・改善ができる

自尊感情が高い人は、学習面などで困難に直面しても粘り強く努力ができるとされています。

イギリス国立大学マンチェスター大学、神経科学&実験心理学部門の心理学教育助手であるサウル・マクロード(Saul Mcleod)氏は、自尊感情が高い人は成長改善重点を置くと述べています。

people with high self-esteem focus on growth and improvement

McLeod, S. A. (2012). Low self esteem. Simply Psychology. 最終閲覧日2020/07/13

2019年にマレーシアで、大学生を対象に行った自己効力感、自信、自尊心の関係性についての研究でも、高い自尊心を持つ学生は、低い自尊心を持つ学生よりも大学での成績優れていました参考:International Journal of Educational Psychology Hipatia Press. Vol 8, No 2 (2019) “Psychological Impact of Work-Integrated Learning Programmes in Malaysia: The Moderating Role of Self-Esteem on Relation between Self-Efficacy and Self-Confidence" Amar Hisham Jaaffar, Hazril Izwar Ibrahim, Jegatheesan Rajadurai, M. Sadiq Sohail

他にも

自尊感情が高い人は、他の人から褒められたり批判されることにも感情的に左右されにくく、安定します。

また、下記のようにも言われています。

自尊感情が高い人は幸福感や人生満足感が高く,おしなべて自律的で対人関係も良好であるとされている。

コトバンク「自尊感情(最新 心理学事典の解説)」より引用

自尊感情が高いとどうであのるかを簡単にまとめると、下記のようになります。

POINT

自尊感情が高い人は、幸福感や人生満足感が高く、成長と改善に重点を置く。

また、自律的で対人関係も良好である

自尊感情が【低い】と?

自尊感情が低いと?

諦めがち

一方、自尊感情が低い人は、学習面などではすぐ諦めてしまいがちとされています。

マンチェスター大学のマクロード氏は、自尊心の低い人は人生に間違いを犯さないことに重点を置くと述べています。

people with low self-esteem focus on not making mistakes in life.

McLeod, S. A. (2012). Low self esteem. Simply Psychology. 最終閲覧日2020/07/13

具体的には、

  • 「どうせ自分なんて頑張っても上手くいかない」
  • 「頑張ってもダメだった時に傷つきたくないから、はじめからやらない」
  • 「大好きな友達が言っていたから、そうした方がいいんだ」

と考えるようになってしまいます。

感情的に不安定になりやすい

対人面でも、批判的意見を言う人は悪い人、褒めてくれる人は良い人と思うような感情的不安定さがみられる傾向があります。

社会心理学をご専門としているアメリカ ケント州立大学のティモシー・J・オーエンス教授と、世界53ヶ国で使用されているローゼンバーグ自尊心スケール(Rosenberg self-esteem scale)を作成した社会学者モリス・ローゼンバーグ(Morris Rosenberg)氏は、研究から自尊心の低い人々について、下記のように指摘しています。

  • 失敗に悩まされ、出来事を否定的に誇張する傾向がある
  • 重要ではない他人の意見を気にしすぎ(重要と解釈する)ることがよくある
  • その結果、社会的な不安や、低いレベルの対人信頼を経験する可能性が高くなる
  • それにより、他の人とやり取りするときに、ぎこちなく、シャイで、逆に目立ったり、自分自身を適切に表現できないため、他者との社会的相互作用が困難になる
  • 社会の中の人々やグループに対して悲観的になる傾向がある
ティモシー・J・オーエンス教授
画像はケント州立大学より

参考:Rosenberg, M., & Owens, T. (2001). Low Self-Esteem People: A Collective Portrait. In T. Owens, S. Stryker, & N. Goodman (Eds.), Extending Self-Esteem Theory and Research: Sociological and Psychological Currents (pp. 400-436). Cambridge: Cambridge University Press. doi:10.1017/CBO9780511527739

攻撃性 や 意欲低下

また、自尊感情が低いと攻撃性意欲低下などの二次障害も引き起こしかねません。

自尊感情が低い人は抑うつ的で不安が高く,他者に依存的で影響を受けやすいとされる。暴力や犯罪が自尊感情の低さと結びついているという指摘もある。

コトバンク「自尊感情(最新 心理学事典の解説)」より引用

新潟青陵大学大学院の碓井真史教授は、自尊感情が低い人について成績業績下がるとしています。

また、犯罪者達の多くは自尊心低い人たちだと述べています。

碓井真史教授

画像はYahoo!ニュースより

極端に自尊感情が低い人は、人間関係を避けたり、チャレンジ精神が発揮できなくなったりします。結果的に成績や業績が下がります。あるいは、いじけたり、やけになったりする行動がでてきます。多くの犯罪者達は、外見上は威張っているように見える人でさえ、実は自尊心が低い人たちです。

Yahoo!ニュース「自尊感情(セルフエスティーム・自己肯定感)を高める方法」碓井真史

いじめ や 引きこもり

文部科学省の白川由梨氏もいじめ引きこもりなどの問題行動自尊感情の低さとの関連を指摘し、下記のように述べています。

画像は文部科学省より

いじめや引きこもりといった子どもたちの問題行動と、彼らの自尊感情の低さとの関連について指摘がなされている(根本 2007)。この点につき、文部科学省や中央教育審議会においても自尊感情は学びの土台と位置づけられており、子どもたちの自尊感情を高めるための取り組みについて議論が行われている

ベネッセ教育総合研究所「学校環境、親子関係が子どもの自己否定感に与える影響― 学力階層との関係に着目して ―」白川 由梨(東京大学教育学部)

今まで見たことから、自尊感情が低いとどうなのかを簡単にまとめると、下記のようになります。

POINT

自尊感情が低い人は、人生に間違いを犯さないことに重点を置き、失敗に悩まされ、出来事を否定的に誇張し不安が高い。

また、他者に依存的で影響を受けやすい。

暴力や犯罪と、自尊感情の低さの関連性も指摘されれいる

これらのことからも親としては、子どもの自尊感情を低いよりは高く育ててあげたいものですね。

自尊感情が【発達する時期】は?

子どもの自尊感情が発達するのはいつ頃なのでしょうか?

自尊感情が発達する時期は?

乳児期から

前述のライネス博士は、自尊感情の発達とても早い段階、それは乳児期から始まり、時間の経過とともにゆっくりと発達していくと述べています。

ダーシー・ライネス博士

具体的には子供が安全で、愛され、受け入れられたと感じるような、積極的な注意愛情のこもったケアを受けたときに始まりるとしています。

有名なエリクソンによると

アメリカの発達心理学者エリク・ホーンブルガー・エリクソン(Erik Homburger Erikson)は、1歳半から3歳頃の発達が好ましくない結果になると子どもは自尊感情を欠いてしまうとしています。

詳しくは「子どもの自尊感情を【高める】ための9つのこと【子どもの自尊感情を育てようシリーズ⑤】」ページをご覧ください。

エリク・エリクソン教授

自尊感情が発達する時期についての情報を簡単にまとめると、下記のようになります。

POINT

自尊感情の発達は乳児期から始まる。

特に1歳半から3歳頃の自律性や意思を育む段階の発達が好ましくない結果になると、自尊感情を欠いてしまう

そして自尊感情は、学校や職場、友人関係を通じても影響されていくものなので、安定的な自尊感情を維持するために、土台となる早い段階での適切な自尊感情の確立が重要です。

自尊感情と自尊心の違いとは?

心理学者、動物行動学者の東北大学名誉教授である仁平義明教授によると、以前は「自尊心」と言われていたものが近年「自尊感情」と表現されるようになったと述べています。

仁平義明教授
画像は東北学院大学より

日本でself-esteemの研究が本格的に行われるようになった1970年代、訳語は「自尊心」だった。ところが、近年は「自尊感情」という表現が多数派に変わった。とくに現在の教育界、臨床界は「自尊感情」一本槍のような状況である。

白鷗大学教育学部論集 原著論文 2015, 9(2), Pp.357-380「「自尊感情」ではなく「自尊心」が“Self-esteem” の訳として適切な理由」p.357

文部科学省や心理学辞典、心理学テキストや学会発表時のタイトルでも「自尊感情」を使用しているとのことです。

ちなみに仁平教授としては英語での「self-esteem」は「自尊感情」よりも「自尊心」と訳した方が適切だと結論付けています。

心理学辞典での「自尊感情」項目の説明にも「自尊心ともいう。」と説明があることから、このふたつは同義で扱ってよい項目と言えるでしょう。

自尊感情の定義は,研究者によって微妙に異なるが,自分自身に対する全体的評価感情の肯定性,すなわち自分自身を基本的に良い人間,価値ある存在だと感じていることであるという点でおおよそ共通している。自尊心ともいう。

コトバンク「自尊感情(最新 心理学事典の解説)」より引用
POINT

英語での「self-esteem」について、以前は「自尊心」、近年は「自尊感情」と表現されるようになった

まとめ

自尊心と自尊感情は同義であり、それは自分の良い面も悪い面も含めて自分自身を大好き、大切と思える感情ということが分かりました。

子どもの自尊感情を高めるために、このような解説も行っていますので、そちらのページも是非あわせてご覧ください。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!