特別支援学校・学級・通級【授業・クラス・先生】の違い|小学校|まとめ

2021年8月10日

特別支援学校・支援学級・通級の違い

自閉スペクトラム症児が通う小学校の選択肢は、簡単にまとめると下記になります。

  • 【その1】特別支援学校(知的障害)(以下「特別支援学校」とよびます。)
  • 【その2】地域校の支援学級
    • 知的障害のクラス
    • 自閉症・情緒障害のクラス(知的障害がない場合)
  • 【その3】学区の普通学級+通級
    • 通級指導教室
    • 特別支援教室

今回は、【その1】~【その3】の教育課程や授業内容、クラスの構成や先生はどの程度違うのかについて、普通学級の「小学校学習指導要領」も交えながら見ていきます。

※自閉症独自の特別支援学校もありますが、限定的なため今回は省略します。特別支援学校については、下記ページで詳しく説明しています。

【はじめに】標準の授業とは?

小学校学習指導要領

普通の小学校では、受けなければいけない教科や総授業時数が法的に定められています。それら教育課程は、「小学校学習指導要領」に基準がまとめられています。

学習指導要領(がくしゅうしどうようりょう)は、文部科学省が告示する初等教育および中等教育における教育課程の基準である。

Wikipedia「学習指導要領」より引用

教科・時間:決まっている

1時限の時間は45分、学習する教科や時数も、下記の表のように学年ごとに全部決まっています。(教科や時数は常に見直され適宜改訂されます)

学年1.国語2.算数3.理科4.社会5.体育6.音楽7.図工8.生活9.家庭10.外国語外国語活動道徳総合的な学習の時間特別活動(※)総授業時数
130613610268681023434850
231517510570701053535910
32451759070105606035357035980
4245175105901056060353570351015
517517510510090505060703570351015
617517510510590505055703570351015
小学生の標準授業時数(数字が付いているのが「各科目」と呼ばれる科目)

参考:文部科学省 教育課程部会 資料2「標準授業時数の在り方について」令和2年2月5日

生活科?特別活動?

私があまり分からなかった科目の内容について、補足として書いておきます。ご存知でしたら読み飛ばしてくださいね。

●「生活」とは、具体的な活動・直接的な体験を通した学習活動のことです。
例えば、地域の公園や公民館などに出かけて、ここは皆の役に立ってるんだね、身の回りの公共物や公共施設を大切にしようね!といった学習や、ニワトリやウサギを飼育したり身近な野菜を育てることで、動植物の育つ環境に関心を持とうね!といった学習内容です。

●「特別活動」とは、「望ましい集団活動を通して人間形成を図る教育活動」の時間であり、クラブ活動や学校行事、学級活動、児童会活動などが行われます。遠足や宿泊学習なども含まれます。

【その1】特別支援学校だと?

特別支援学校学習指導要領

特別支援学校の教育課程は、「特別支援学校習指導要領」で定められており、普通の学校とは指導内容も時間の流れも大きく異なります

特別支援学校の授業の特徴については、別ページにまとめているので、ここでは概要だけ書いていきます。

例えば

教育課程は、簡単に言うと「日常生活の質を向上させる」「将来、社会参加する」ための学習です。

「自立活動」「生活単元学習」を中心に、個別の教育支援計画に従って一人一人に合わせた指導が行われます。

特別支援学校の授業風景-画像まとめ
特別支援学校|授業風景の画像|まとめ

鉛筆を使っての卓上学習は、一部の子を除いて、基本的にはありません。(そのようなレベルに発達してきた子は、地域校の支援学級への転校を勧められたりします。強制ではありません。)

「今から国語の授業を行います」というような一斉授業もありません。

小人数クラスに先生が複数人

特別支援学校では「1学級6人」と定められていますが、実態に応じて変更可能で、経験上、1クラス6人前後に対して先生(支援員含む)が2~3人のことが多かったです。

先生は専門的な方が多い

多くの先生が特別支援学校教諭免許状を持っています。(令和2年度|国公私立の特別支援学校教員の「特別支援学校教諭等免許状」保有率|全体で84.9%、知的障害で88.0%)詳しくは「先生は資格を取る際に、障害児のことをどのくらい学ぶ?」ページがご参考になると思います。

その免許状を持っていない先生もいらっしゃいますが、下記のように学年単位で活動することも多く、1学年に10人くらいの先生がいるため、経験豊富な先生方から現場でたくさんのことを学べる環境だと思います。研修も文部科学省ベースで積極的に行われています。

時間割の例

息子が通っていた特別支援学校の小学部2年生でのある日の時間割は、下記のようなものです。

クラス単位の時間と、3クラス一緒の学年単位の時間の活動が混ざっているのも特徴的です。

  • 朝の会:クラス単位
  • 自立活動(個別で作業療法のようなお勉強):クラス単位
  • 運動:学年単位
  • 給食:給食室で
  • 「体育館で遊ぼう」という生活単元学習:学年単位
  • 帰りの会:クラス単位

次の章で記載していますが、支援学級とは内容も時間の割り振りもかなり違うことが分かります。特別支援学校では、1時限の時間数も時間も学校が独自に決められるようになっています。

【その2】地域校の特別支援学級

掛け合わせ

支援学級に通う子の場合、所属は地域校であるため、教育課程のベースは「小学校学習指導要領」ですが、「特別支援学校習指導要領」を参考にして、一人一人の実態に応じて弾力的に教育課程を編成できるようになっています。

ざっくり言うと「小学校学習指導要領」と「特別支援学校習指導要領」の掛け合わせのような感じです。

例えば

自立活動を取り入れたり、各科目のレベルを下学年のものに or 特別支援学校のものに替えるなどです。

1クラスに色んな学年の子がいる

支援学級は色んな学年の子が在籍しています。

指導は、特別支援学校と同様一人一人に対して「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」が立てられ行われるので問題はありません。

息子は小学6年生の時に支援学級(知的障害)に転校しましたが、国語や算数の時間は、基本は個別の学習ですが、生活単元学習のような学習を通して学ぶ際は全員一緒に行っていました。

高松市立多肥小学校の特別支援学級での一コマ 画像は毎日新聞より
取手市立取手西小学校_特別支援学級の様子
取手市立取手西小学校の特別支援学級での一コマ 画像は読売新聞教育より

体育や音楽や図工などは全員で同じ活動をしていました。その際は、障害の程度や特性(場面によっては学年)によって別の役割を与えて変化をつけたりしていました。

時間割の例

時間は普通学級と同様に割られます。

息子は小学6年生の時に支援学級に転校しましたが、その時のある日の時間割は、下記のよう感じでした。

  • 登校準備
  • 朝の会
  • 朝学習
  • 【1時間目】体育
  • 【2時間目】国語・算数(一斉授業ではなく、個別の学習)
  • 業間休み
  • 【3時間目】図画工作
  • 【4時間目】 〃
  • 給食
  • 昼休み・掃除
  • 【5時間目】音楽
  • 帰りの会
  • ※6時間目はない
  • ※普通学級で委員会やクラブ活動がある曜日は、高学年のみ6時間目として参加

先生は8人に対して1人

支援学級では「1学級8人」と定められています。

支援学校に比べると先生は少ない

経験上、支援学校のように「先生がたくさん!」とはいかなさそうでした。

例えば、子供を息子と違う地域校に通わせていたママ友Aさんは、先生の目が行き届いていないという話しの流れで「先生にも『9人以上じゃないと先生増やせないし、クラスも分けられない』と言われて…」と話していたことがあります。

ただし実態に応じて

ただし、在籍している子たちの実態に合わせて先生や支援員の方が配置されることは変わりありません。

息子は1~5年生は特別支援学校に在籍し、2~5年生に年一回 地域校交流(常に8人以下、うち自閉傾向の強い子が2人)に行きましたが、基本的に「先生1人+支援員さん1人」で、身体障害児を重複している子が入学した初年度だけは「先生2人+支援員さん2人」でした。

人数が多いと2クラス

元々支援学級に通う子が多い学校は、常に支援学級が2クラス制に分かれてるところもあります。学年で区切ったり、特性で区切ったり、その辺りも実態に応じてです。

他の地域校に通わせていたママ友Bさんは、「今まで1クラスだったけれど、今年は生徒数が12人になって2クラス制になった」と話していたこともあります。

先生は専門の先生でないことも

経験値は人それぞれ

支援学級では経験上、過去に特別支援学校に勤務した経験のある先生(※1)や、さらに特別支援学校教諭免許状を持っている先生(※2)もいれば、昨年まで普通学級で特別支援教育ははじめてです(※3)という先生もいて、人によって経験値はバラバラというイメージがあります。

※1:息子が現在通っている中学校支援学級の担任の先生、※2:息子が特別支援学校小学1~5年生時に、地域校交流でお世話になった支援学級の担任の先生、※3:息子が小学6年生の時に在籍した地域校の支援学級の担任の先生

息子が小中と特別支援級に通いましたが、担当の先生に発達障害の知識をもった方がほとんどいませんでした。ある担当の先生は、保護者面談で、「私はハンドボール部をやる為に着任したので、障害については素人です。」と宣言する始末。専門知識がある教員の採用や育成、経験を積む為に長年支援教育に携れる環境を整えていただきたいです。

NHK福祉情報サイト ハートネット「障害のある子どもの学校生活の悩み(2017年6月“チエノバ”)p.2」mietarouさん/三重県/50代/父親

特別支援学校教諭等免許状の保有率は低め

実際に、支援学級では特別支援学校の先生と比べると、先述した「特別支援学校教諭等免許状」の保有率も約30%(平成26年の調査|同年の特別支援学校での保有率は72.7%)と低くなっています。

特支の免許状があるから安心というものでもない

ベテランの高校の先生で、特別支援学校(知的障害)へ異動してから特別支援学校教諭等免許状を取得した先生は、免許状を取得する際の講習や本で習う事と、現場で対応すること・難しいことは違い、現場の方がはるかに多くのことを学べると述べています。

認定講習の内容は興味深く、また関連する本も読んで勉強してきたが、まったく不十分である。児童・生徒のいる現場の方が、はるかに多くのことを学べた。「習うより慣れよ」である。
 特支の現場で最も困っていることや課題は、認定講習ではほとんど扱われない。難しいのは、自閉症・てんかん発作・他傷・自傷・心の弱さ、などへの対応であり、日々悪戦苦闘し、うまく対応できない自分がいる。しかし、そういうことは認定講習では扱われず、本にも書かれていない。

担任となる先生が、特支の免許状を取得しているから安心できるというものでもなく、経験が豊富かどうかも大切そうです。

参考

教員の人事異動

先生の人事は、特別支援学校でも支援学級でも普通学級と同じです。

ある程度希望制ですが、支援学級の先生でも、特別支援学校教諭免許状を持っている特別支援学校の先生でも、保護者から人気の先生であったとしても、数年単位で異動は発生しますし、異動の希望も100%通るものでもありません。

※文部科学省は特別支援学校における教員の特別支援学校教諭免許状保有率100%を目指しているので、「その免許保有+特別支援学校希望」であれば、数年で異動は余儀なくされても同じ都道府県内の特別支援学校勤務となることがほとんどのようです。

普通学級に参加する時間もある

休み時間

特別支援学校では時間割も1時限の時間数は学校が自由に設定できるように定められていますが、支援学級では1時限の時間が普通学級と同じ45分です。

授業の間の休み時間では、普通学級の子達と混ざって校庭遊びを行います。

学校行事

学校行事等は、同じ学年の普通学級に参加します。基本的に、一年間を通して同じクラス(交流学級)に参加します。一例を下記にあげてみます。

  • 遠足や校外学習、宿泊学習では、交流学級の1つの班のメンバーになります。
    • 場合によっては、支援学級の担任も付き添う場合があります。
  • 運動会では、支援学級独自の出し物と、学年の出し物・競技にも参加します。
    • なので普通学級の子より練習する内容が多いです。
  • 普通学級で学習できる内容は、一人で交流学級に出向き学習します。
  • クラブ活動に参加する子もいます。

経験談

支援学級では普通学級の子との交流もあり得られる経験も多いですが、「移行の困難さ」や「感覚過敏」などの障害特性によっては苦労することもあるようです。そのような経験談については、下記ページで紹介しています。

【その3】通級に通う子だと?

POINT

基本的に、知的障害がある子は、通級指導教室・特別支援教室の対象外になることが多いです

知的障害のある児童・生徒に対する学習上又は生活上の困難の改善・克服に必要な指導は、生活に結び付く実際的・具体的な内容を継続して指導することが必要であることから、一定の時間のみ取り出して行う指導にはなじまないことを踏まえ、現在、知的障害のある児童・生徒については特別支援教室の対象とはなっていない。(「障害に応じた通級による指導の手引」改訂第3版4刷(文部科学省編著)より)

東京都教育委員会「特別支援教室の運営ガイドライン 第1部 特別支援教室 運営の充実に向けて」p.11 令和3年3月25日

在籍は学区の普通学級

通級指導教室/特別支援教室に通う場合の子の教育課程は、在籍が学区の普通学級のため、基本は「小学校学習指導要領」に沿うものになります。

教育課程の編成方法

基本の教育課程に対して、週に1時限~8時限分(本人の負担が過重ならない程度)を目安に、通級のお教室で特別な授業を、プラスして加えるか、一部だけを替えて行います。

通級指導教室は設置のある地域校へ出向き、特別支援教室では専門の先生が在籍する学校へ来てくれます。(詳細は後述

普通学級に在籍していても、通級に通う子では特別支援学校や支援学級の子と同様に、一人一人に対して「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」が立てられます。在籍する普通学級の先生と、通級の先生がそれらをもとに足並みを揃えながら指導をしてくれます。

通級で行われる特別な授業は人それぞれですが、「自立活動」を中心に行われることが多いようです。

通級指導教室の様子
通級指導教室の様子例 画像は藤岡市教育委員会より

先生は13人に対して1人

通級指導教室/特別支援教室の経験がないため実際はどのような先生の人数かは分からないのですが、法律では通級による指導の場合、13人に1人の先生を措置することと定められています。

参考

POINT

◆通級指導教室と特別支援教室の違い◆

  • 特別支援教室の方が新しいスタイルになります。
  • 対象となる子や指導内容は同じです。
  • 通級指導教室は決められた学校にしかなく子どもが(必要に応じて保護者も送り迎え)その学校に出向く必要がありますが、特別支援教室は発達障害教育専門の先生が各学校に来てくれる(巡回指導)というものです。
  • 特別支援教室を導入することで、国が推進しているインクルーシブ教育システムが実現しやすくなります。
  • 子どもや保護者の通う負担が減り、在籍する普通学級の担任や他の教員にとっても理解の促進につながるためです。
  • 例えば、東京都では平成30年度には全ての公立小学校に導入され、令和3年度には全ての公立中学校に導入が完了予定です。各都道府県等も推進していますが、導入の進捗状況は現時点ではまちまちのようです。

さいごに

今回は、自閉スペクトラム症児が通う可能性のある学校と学級の、授業内容とクラスの構成について見てきました。

環境は違っていても、個別の教育支援計画などは保護者や担任の他に、多くの関係機関を交えて考えられるため、どこに通っても適正な特別支援教育が受けられるようになっています。

とはいえ、学校やクラスの雰囲気は、在籍する子たちの特性、担任となる先生、校長先生の手腕によってもかなり違ってきます。見学や体験入学をして、市区町村の教育委員会の方からもしっかりガイダンスしてもらったうえで進学先を決めてあげて欲しいなと思います。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!