特別支援学校とは?|自閉スペクトラム症児は【特別支援学校】へ入学できる?

2021年5月27日

自閉スペクトラム症児なら特別支援学校へ通えるのか?

特別支援学校とは?

特別支援学校は、障害が確定している、またはそれに該当する子が通うことのできる学校です。昔(2007年3月31日以前)は養護学校と呼ばれていた学校です。

第八章 特別支援教育
第七十二条 特別支援学校は,視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して,幼稚園,小学校,中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに,障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

部科学省 法律第百二十号 教育基本法 平成28年12月22日

本サイトのテーマは自閉スペクトラム症のため、視覚障害、聴覚障害者、肢体不自由者、病弱者(身体虚弱者を含む)以外の部分をメインにお話していきます。

【その1】障害種別「知的障害」の特別支援学校

特別支援学校_入学基準

入学できるのは原則「知的障害」を持つ子

自閉スペクトラム症に関連する特別支援学校は、(他の障害がなければ)知的障害児対象の学校が考えられますが、そこには基本的に知的障害」がない場合、入ることはできません

自閉スペクトラム症の有無は、基本的は関係ありません

自閉スペクトラム症と知的障害の関連性については、下記ページをご覧ください。

自閉症は、就学前に適切な療育等を受けていない場合には、基本的には知的発達の遅れがないにもかかわらず、知的障害があると見なしてしまう場合があるとして、誤って自閉症を特別支援学校の対象としないよう注意を促している[23]。

知的障害を伴わない自閉症の他、情緒障害、言語障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)についても特別支援学校に入学可能な障害の程度に該当しない。

(中略)

学校によっては、研究指定校などの関係で、発達障害の児童生徒を教育対象としている学校も存在する。

Wikipedia「特別支援学校」より引用

希望者全員が入学できるわけではない

また、知的障害があっても軽度であると入ることが出来ない事もあります。

支援学校に入学可能な知的障害の程度は、学校教育法施行令(第二十二条の三)で定められています。

  • 1.知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
  • 2.知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの

「療育手帳」取得は絶対条件ではない

知的障害と認定されると自治体から「療育手帳」を交付してもらえますが、取得していない子もいますよね。

特別支援学校へ入学を希望する際には、療育手帳の写しを提出しますが、療育手帳を取得していないと入学できないわけではありません。

療育手帳の写しが提出できない場合は、医師の診断書や意見書など「障害の程度が証明できるもの」が提出できれば大丈夫が学校がほとんどです。

一例ではありますが、下記に、東京都立知的障害特別支援学校高等部の応募の際の提出書類の一部を抜粋してみます。

ア 中学部等を卒業する見込みの者
(ア)入学願書
(イ)学籍・指導に関する調査書(在籍校の校長が証明し、厳封の上、親展扱いとする。)
(ウ)障害の程度が証明できるもの
愛の手帳(療育手帳)の写し(愛の手帳(療育手帳)の写しを提出できないものは、医師診察記録)
※ 医師診察記録の提出者には、別途、発達検査のプロフィールの写しの提出を求めることがある。
(エ)個別説明実施確認証
(オ)入学考査料 50円
※ 災害に伴う被災者については所定の手続きにより減免することができる。

東京都教育委員会「令和3年度入学者東京都立知的障害特別支援学校高等部 就業技術科及び職能開発科入学者選考実施要項」最終更新日:令和2年(2020)7月1日

国立・都道府県立・市町村立・私立

特別支援学校は、設置者により、国立・都道府県立・市町村立・私立に分けられます。

障害種別が「知的障害」の特別支援学校では、都道府県や市区町村が設置する学校(いわゆる公立)が数としては多いのですが、国が設置する国立大学付属の支援学校(いわゆる国立)や私立の学校もあります。

特別支援学校国立都道府県立市町村立私立
総計:505校42校390校63校10校
知的障害を対象とする特別支援学校数(中学部以上、高等部以上しかない学校も含まれています)

 参考:文部科学省  特別支援教育資料(平成19年度)「第2部 3 設置者別特別支援学校数、幼稚部・高等部設置学校数、学級数、幼児児童生徒数及び教員数-障害種別-

児童数が増えている

近年は発達障害が自閉スペクトラム症の社会的認知が深まったことで、支援学校を希望・入学する児童が増えています

令和元年の文部科学省による特別支援学校(幼稚部・小学部・中学部・高等部)在籍者の推移報告では、平成20年では約11万人強(112,334人)だったのが、平成30年では31,045人増えて約14万人強(143,379人)でした。

その10年間は、児童数自体は減少傾向(総務省の報告では、1975年から45年以上連続して減少)、かつ、知的障害以外(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱)の児童数は計約1万人強(平成30年 計12,562人)であまり変化はしていませんでした。

これらのことから、増加した児童数の大半が知的障害であること、支援学校を希望する知的障害児が増えたことがわかります。

参考:文部科学省「日本の特別支援教育の状況について」令和元年9月25日 新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 資料3-1

参考:息子が通っていた特別支援学校の小学部

息子が1年生のとき、1年生は20人以上(以降も新入生は20人前後を推移)でしたが、その年の6年生は5人(それ以前も近しい人数を推移)していました。

その支援学校は、希望者が全員入学できるものではなく、市区町村の教育センターが面談の上、許可した子のみが入学できる体制なのにもかかわらずです。

なので学校では、校舎の移転や増設を行っていました。

下記の動画は小学部2年生の頃のものですが、教室を半分に仕切って2クラスで使用していました。

幼稚部の設置は少ない

そんな特別支援学校の中には、少ないながらも幼稚部を設置している学校もあります。全障害種別を含めた特別支援学校の総数1,013校のうち、164校に幼稚部があるようです。

特に視覚障害児と聴覚障害児に対応する支援学校(本サイトのテーマは自閉スペクトラム症のため、参考程度に概要だけ最後に記載)では設置されているケースが多いです。

障害種別が「知的障害」の特別支援学校では、幼稚部設置の164校の内、11校となっています。

内訳は下記になります。

小学部と高等部の生徒数が多い

平成25年に内閣府が調査した「特別支援教育を受けている幼児児童生徒数」の報告では、知的障害児は幼稚部211人、小学部32,889人、中学部25,482人、高等部56,773人でした。 参考:内閣府「平成25年版 障害者白書  第1編 第1章 第3節  1.障害のある児童生徒等の教育の状況

特に、他の障害種別に比べて、高等部の生徒数が増えるのは知的障害児の特徴です。

義務教育の中学校までは、公立の地域校の普通級や支援学級に通えていた子も、高校は受験しなくては通えません。

一般的な高等学校へは進学できない場合、支援学校の高等部が選択肢に入ってきます。

もちろん、どんな特別支援学校高等部でも受験しますが、公立の支援学校などでは「落とすこと」はしません。

なので高等部では生徒数増えますが、在籍する生徒の障害の程度の幅もグッと広がります

【その2】自閉症に特化した特別支援学校

筑波大学附属久里浜特別支援学校

全国で1校だけですが、文部科学省から研究開発学校の指定を受けて、「自閉症児のための教育課程」に関する開発研究に取り組んでいる支援学校もあります。

神奈川県横須賀市にある「筑波大学附属久里浜特別支援学校」です。幼稚部と小学部のみの学校です。

入学できるのは「知的障害」かつ「自閉症」両方の障害が確定している障害児です。

受け入れ人数はあまり多くないため、選考があります。

令和4年度の募集要項では、出願資格「知的障害を伴う自閉症幼児または児童」で、幼稚部3歳児が6人、4歳児が2人、小学部1年生が6人、4年生が1人の募集でした。参考:筑波大学附属久里浜特別支援学校「令和4年度 幼稚部幼児募集要項」、「令和4年度 小学部児童募集要項」最終閲覧日2021年7月26日

【その3】障害種別「視覚障害」「聴覚障害」の特別支援学校

こちらは参考までに。

  • 視覚障害特別支援学校
    • 以前は「盲学校」と呼ばれていた
    • 2007年からは「聾学校」「養護学校」の表記とともに、「特別支援学校」とする制度になり、校名を変えた学校が多い(例:筑波大学附属盲学校→筑波大学附属視覚特別支援学校)
    • 現在も「盲学校」という校名を使用している学校もある(例:京都府立盲学校)
  • 聴覚障害特別支援学校
    • 今でも校名を「ろう学校」や「聾学校」の名前にしている学校もある

地域における特別支援教育のセンター的役割

特別支援学校以外の幼稚園、保育所等、学校は、先生方は資格を取得する際に障害児のことについての単位取得や数日間の福祉施設(成人施設を含む)実習を行っていますが、特別支援教育についての知識が十分ではない場合があります。

そのため、特別支援学校が地域の園・学校の特別支援教育のセンター的役割を担う事と文部科学省によって定められています。

特別支援学校においては、これまで蓄積してきた専門的な知識や技能を生かし、地域における特別支援教育のセンターとしての機能の充実を図ること。
 特に、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校の要請に応じて、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒のための個別の指導計画の作成や個別の教育支援計画の策定などへの援助を含め、その支援に努めること。
 また、これらの機関のみならず、保育所をはじめとする保育施設などの他の機関等に対しても、同様に助言又は援助に努めることとされたいこと。

文部科学省  特別支援教育の在り方に関する特別委員会 論点整理 参考資料12「特別支援教育の推進について(通知)」文部学省初等中等教育局長 銭谷眞美 平成19年4月1日

まとめ

今回は、自閉スペクトラム症児に関連する特徴支援学校について見てきました。

自閉スペクトラム症かどうかではなく、知的障害の有無が入学の基準になり、希望してからと言って必ず入学できるものではないことが分かりました。

最後まで読んで下さってありがとうございました!