自閉スペクトラム症児・知的障害児のための構造化とは?
構造化された環境とは?
栃木県障害施設・事業協会の講義用資料によると今、何をする時間か、次にどうなるかなど、活動や生活の中のしくみなどを、その人に分かりやすく示す方法
とあります。
障害の程度や特性は一人一人違うので、一人ずつに合わせて環境を設定します。個別の教育支援計画と同様に、PDCAサイクルを通して見直しも行っていきます。
構造化の例
一日のスケジュールの提示
下記は息子が通っていた特別支援学校の教室の様子の画像です。
黒板の時間割には、その日一日のスケジュールが提示されています。文字だけでなく、実写の絵カードも貼られいます。
このクラスの様子は下記動画でもご覧いただけます。
作業時の工夫:ワークシステム
スケジュールは一日の予定の提示ですが、各時間ごとにも構造化された工夫ができます。
下記は、特別支援学校の個別学習(自立活動)時の画像です。ワークシステム化された流れで行っていきます。
- 息子の左側にある棚には、課題がいくつか入っています。
- 課題は上から取って行います。
- 一つの課題が終わったら右下にある終了ボックスへ入れてその課題は終了です。
- また左側の課題を上から順に取り~を繰り返します。
- 棚が空になったらおわりと分かります。
上記の様子は下記動画でご覧ください。
1つの場面で、いくつかの活動を提示するときに活用。「何をするのか」「どれくらいするのか」「どうなったら終わりか」「終わったら次に何があるのか」の情報を伝える。
栃木県障害施設・事業協会 「【講義】構造化の基礎」
ルーティン化
ルーティン化させることも構造化の一部になります。
例えば、息子が小学部2年のときには、上記のような自立活動は、朝の会の後に毎日行っていました。
視覚的に分かりやすい情報提示
特別支援学校の黒板には、時間割の他に、その日の給食のメニューの実物写真、出席しているお友達・先生の顔写真などが毎日日替わりで提示されていました。実際の写真の絵カードが多かったです。
他には机や椅子、ロッカー、棚、カゴなどには全て個別にカラーリングされている名前が大きく貼られていました。
自閉症には、「構造化」が有効ですが、それは「パーテーションで仕切ること」だけではなく、「分かって動きやすい環境づくり」を指すと考えます。
秋田県立栗田支援学校 自閉症支援ガイド「主体的な参加を促す支援方法」
なぜ構造化された環境が必要?
主体的に活動できるように
特別支援教育の目標は、「生活の質を高めること」「将来自立して社会参加が出来るようになること」です。
そのために主体的に活動することを大切にしています。
主体的とは「自分が何をするべきかが分かる」「自分の意志で自発的にできる」といった感じのことです。
知的障害や自閉スペクトラム症の程度が重いと、常に援助が必要なことが多いですが、「これなら自分でできそう」「自分でやりたい」「自分でできた!」「次になにをするべきか分かる」「これも自分でできた!」という成功体験を積むことで、主体的な活動や意欲を高め、「自立」を支援していけるのです。
不安・パニックにならないように
自閉スペクトラム症児や知的障害児は、定型発達の子に比べて見通しが立たないことに不安になります。
その結果、部屋から出ていこうとしたり、活動に参加できなかったり、パニックになったりします。
そのため、物理的・視覚的・習慣的に見通しが立ちやすい環境を整えてあげることで、活動や作業に主体的に参加しやすくなるのです。
その学習活動にふさわしい教室環境を、子ども自ら準備することで、活動に対する見通しと心構えができるという効果も期待できます。
秋田県立栗田支援学校 自閉症支援ガイド「主体的な参加を促す支援方法」
さいごに
児童発達支援の施設や特別支援学校では、構造化された環境が用意されています。
現在はインクルーシブ教育システムが推進され、障害を持っていても普通の環境へ通いやすくなっていますが、普通の幼稚園や学校で落ち着けない子には適した環境かもしれませんね。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!