取得するのは【療育手帳】?【精神障害手帳】?|自閉スペクトラム症と診断されたら
自閉スペクトラム症と診断を受けた =療育手帳を取得する(できる)というものではありません。
療育手帳の交付対象者
療育手帳は、知的障害と判定された子・人※に対し交付される障害者手帳です。※以下、知的障害者とします。
ポイントは、自閉症スペクトラムの人=知的障害を持っているというものではない、ということです。
【自閉スペクトラム症】=【知的障害】ではない
つまり、自閉症スペクトラムと診断された場合は、原則※として「さらに知的障害を併発している」と判定された場合にのみ交付されます。
療育手帳、知的障害については、下記ページでそれぞれ詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。
知的障害を伴わない自閉スペクトラム症の場合は?
障害者手帳の取得を希望する場合、知的障害を伴わない自閉スペクトラム症の人は、「精神障害者保健福祉手帳」を取得できます。
知的障害を伴わない自閉スペクトラム症の人は、精神障害者保健福祉手帳を取得できる
人によって「精神障害」という響きは、抵抗や違和感があるかもしれませんね。しかし、「自閉スペクトラム症(ASD)は、精神障害の一種である発達障害に含まれている」と言われれば違和感はないかもしれません。
上図にあるように、発達障害も精神障害の1つとして定義されているので、自閉スペクトラム症も「精神障害者保健福祉手帳」交付の対象なのです。
精神障害者保健福祉手帳について
受けられる援助措置・サービス
受けられる援助措置・サービスは、基本的に療育手帳と同じような内容になっています。
受けられる援助措置の具体例については、療育手帳解説ページ内の「受けられる援助措置」をご参考にして下さい。
申請先・発行元
精神障害者保健福祉手帳も療育手帳と同様、地域の役所を通して、都道府県/政令指定都市(以下、都道府県等とする)が発行します。
判定について
療育手帳のように、児童相談所(18歳以上の場合は知的障害者更生相談所)で判定の検査や面談が行われるものではありません。
精神障害者保健福祉手帳の場合は、精神保健指定医又は精神科医の診断書をもとに、都道府県等に置かれている精神保健福祉センターにて交付判定がなされます。
判定は、精神疾患(機能障害)の状態とそれに伴う生活能力障害の状態の両面から、総合的に行われます。
区分・等級
精神障害者保健福祉手帳の場合は、1級?3級の等級で区分されています。
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
厚生労働省 精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について 障発0401第12号 令和2年4月1日
2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
療育手帳では国基準として大きく「重度(A)」「その他(B)」、細かくは都道府県等によって異なりますが、4~5段階で区分されています。
療育手帳がないと、療育機関には通えない?
療育の教室(以下、療育機関とする)に通うには、「療育手帳」を取得しないと通えない?と思われがちですが、そんなことはありません。
同じ「療育」と付いていますが、療育手帳は必要ではありません。
療育の教室に通うための流れは、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。
まとめ
今回は、自閉スペクトラム症と診断された場合、療育手帳を取得する(できる)のか、を見てきました。
分かってしまえばシンプルな条件であっても、知らないうちは混乱しますよね。
この記事がどなたかのお役に立つことを祈って…。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!