療育|親だけで療育してもOK?【お教室】通うために必要なものは?

療育機関へ通うために必要なもの

「早期発見、早期療育」という言葉をよく聞きますが、お教室/療育機関に通わないと「療育」は出来ないのでしょうか?

そういう所は障害の診断や療育手帳がないと通えないイメージ(後述します)もありますし、今は本やネットにもたくさん療育・知育の方法を知ることがきますしね。

今回は、そのような疑問から、療育をしてくれる所へ通うための条件・手続きの流れまでを見ていきます。

教室へ行かず、親が行う療育だけでもOK?

メインの療育者は保護者

「療育」を行ってくれる所へ通っても通わなくても、保護者が生涯にわたっての最良の療育者であることは間違いありません。

だれがやるのか?療育のメインは母親、もしくは父親です。

奈良県 放課後等デイサービス 非営利型一般社団法人 無限 Loop活動「第一回 療育~誰がやるのか~」2012年9月12日

教室へ行かず、親が行う療育だけでもOK?

療育には決められた教育課程はない

しかし、「療育」と言われることに代表される「児童発達支援」や「特別支援教育」は、例えば普通の学校の教育課程で決められているような決まった内容・教材で行われる指導方法とは異なります。

一人一人に対して計画表を作成するもの

国としても乳幼児期~学校卒業まで一人一人に対して「個別の教育支援計画」等の作成を義務付けるくらい、療育にはその子特有の総合的な視点での支援が必要なのです。そのため、指導方法も教材も一人一人異なります。

計画表を作成する人も法律で定められている

個別の支援計画などは、療育のお教室に在籍している児童発達支援管理責任者や学校の特別支援教育コーディネーターという特別支援教育に精通したプロが心理士や理学・作業・言語療法士、医療機関、福祉サービスの人たちと連携して総合的・長期的な視点で作成するものです。

児童発達支援においては、障害の気づきの段階から継続的な支援を行い、将来の子どもの発達・成長の姿を見通しながら、日常生活や社会生活を円滑に営めるよう、今、どのような支援が必要かという視点を持ち、子どもの自尊心や主体性を育てつつ発達上の課題を達成させることが必要である。

厚生労働省「児童発達支援ガイドライン

姿勢や歩行,日常生活や作業上の動作,摂食動作やコミュニケーション等について,幼児の心身の機能を評価し,その結果に基づいて指導を進めていくためには,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士等からの指導・助言を得ることが大切である。さらに,情緒や行動面の課題への対応が必要な場合には心理学の専門家,学習上の困難さへの対応が必要な場合には教育学の専門家等からの指導・助言が有益である。

文部科学省 特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部)平成 30年3 月 第2編 幼稚部教育要領解説 第3章 ねらい及び内容等 第3節 自立活動

本やネットだけの知識では不十分

なので、ちょっと本やネットで見聞きした方法では、その子にとって適切な療育を行っているとは言えません。

PDCAを意識しながら、教室と家庭の両方で行う必要がある

親は実際に療育を行ってくれる先生と共に、PDCAサイクル(計画・実践・評価・改善)を意識しながら、教室でも家庭でも一定した適切な療育を行うことが理想的な療育というわけです。(文部科学省が定めている「個別の教育支援計画」では保護者も支援者の一人と定義され作成されます。)

どこで療育を行ってくれる?

療育を行ってくれるお教室(児童発達支援施設)と探し方については、下記ページに詳しくまとめましたので、ぜひご参考になさってください。

療育手帳、障害診断は必要?

療育のお教室には「療育手帳などの障害者手帳を取得しないと通えない?」「障害の診断がないと通えない?」と思われがちですが、そんなことはありません

療育手帳は必要ない

「療育」という言葉は療育手帳と同じ用語を用いますが、正式名称は「児童発達支援」の施設であり、児童発達支援の施設を利用するために療育手帳必要ではありません

療育手帳を取得できない子もたくさんいる

発達に不安を感じてしまう子でも、療育手帳を取得できない子もたくさんいます。療育手帳は知的障害を持つ人だけに交付される障害者手帳だからです。例えば、発達障害や自閉スペクトラム症と言われる子たちは知的障害を併発していないと療育手帳は取得できないのです。

療育手帳を取得する基準、発達障害や自閉スペクトラム症などについては、下記ページで詳しく説明しています。

障害の診断も必要ない

主な療育機関が所属する協会の「発達支援の指針」では、障害が確定していない子ども達にも育児支援や家族支援を行うことが「発達支援」としています。

「発達支援」とは、(中略)障害が確定した子どもへの「(運動機能や検査上の知的能力の向上などの)障害改善への努力」だけでなく、障害が確定しない段階の子どもも対象として、発達の基盤となる家族への支援や保育所等の地域機関への支援も視野に入れる広い概念

全国児童発達支援協議会「発達支援の指針(CDS-Japan 2016 年改訂版)」

手帳を有しない又は手当等を受給していない場合、市町村は、当該児童が療育・訓練を必要とするか否かについて、市町村保健センター、児童相談所、保健所等に意見を求めることが望ましいものとする。その際の障害の有無の確認にあたっては、年齢等を考慮して、必ずしも診断名を有しなくても、障害が想定され支援の必要性が認められればよいものとする。

厚生労働省「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について 平成26年4月1日」より引用

もちろん児童発達支援の施設によって、障害種別を限定したり、障害者手帳の取得をしている、もしくはそれに相当する程度と認められる子に限定して受け入れているという所もあるので、それぞれの教室に利用条件の確認は必要です。

補助金の対象とも無関係

児童発達支援を利用する際には、利用者に通所に際する補助金や、収入に応じた上限額の設定等の助成があるのですが、障害者手帳を取得していないからその対象にならない、なんてこともありません。

療育機関に通うために必要なものは?

療育機関を利用するのに必要なのは、住んでいる地域の役所(市区町村)が発行している障害児通所受給者証です。

障害児通所受給者証の取得方法、療育のお教室に通うまでの流れは少々複雑で、下記ページに詳しく説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

療育機関へ通うためには療育手帳は必要なく、障害児通所受給者証が必要なことが分かりました。

この記事が、どなたかの参考になれば嬉しいです。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。