児童発達支援とは?児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違いも

児童発達支援について、そして児童発達支援を行ってくれる施設である「児童発達支援センター」「児童発達支援事業所」の違いや実例を、利用者の目線で分かりやすくまとめました。
児童発達支援とは?
児童発達支援とは、障害の確定診断が下っている子だけではなく、特別な支援が必要と見なされる子どもに対して発達の支援を行うことです。
「発達支援」とは、(中略)障害が確定した子どもへの「(運動機能や検査上の知的能力の向上などの)障害改善への努力」だけでなく、障害が確定しない段階の子どもも対象として、発達の基盤となる家族への支援や保育所等の地域機関への支援も視野に入れる広い概念
全国児童発達支援協議会「発達支援の指針(CDS-Japan 2016 年改訂版)」
法律的に定義されている概念です。参照:厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」第1章 総則
療育との違いは?
児童発達支援は、「療育」とほぼ同義語で使用されます。療育は法律的に定義されていない概念という点が異なります。詳しくは「【療育】とは?」ページにて。
障害を治すことではない
児童発達支援・療育は、その子の「障害を治す」ということをするものではありません。その子がその子らしく生きられる方法を一緒に見つけ、支援していくことです。同時に、子どもの二次障害が起きないように、親が学ぶ場でもあります。(親の知識不足の問題についてはこちら)
まさにですね!療育では、親の方が学ぶことが多かったです🙏
— まる●自閉症児ママ●ASDの森 (@asd_mori) April 28, 2022
息子が2歳頃、ある教室では先生に「座る時間!」と羽交い締め…。これは違うと思い、辿り着いた児童発達支援施設では「動きたいよねー☺️」の言葉、椅子の改善、出来たら褒めるの繰り返し。褒められる→心地良い→次もやるを学べ感謝でした✨
「個別の教育支援計画」が作成される
児童発達支援施設では、有資格者によって「個別の教育支援計画」が作成され、定期的に評価、更新され、適切な指導や必要な支援を受けることができるようになります。
親も支援者の一員
親は一番身近な援助者
児童発達支援とは、施設側や先生だけで行うものではなく、保護者も支援者の一員として参加します。
障害児をもつ親支援は,親を子どもの一番身近な援助者として,指導,親教育の対象と見るだけではなく,親自身も支援を受け入るべき存在であるとの支援の方向に転換している(野田,2008)。
「障害児をもつ母親への子育てレジリエンス促進プログラムの開発と評価の試み」小田原短期大学 尾野明美、YMCA 健康福祉専門学校 奥田訓子 (2019) Journal of Health Psychology Research Vol. 31, Special issue p.260
親も支援をうける対象
そのため、子供だけではなく、保護者も支援を受ける対象に含まれています。厚生労働省の発行する児童発達支援ガイドラインでも、「障害のある子どもを育てる家族の支援が重要である」と記載されています。障害の特性や発達の各段階に応じた支援を行うことで、
子どもを育てる家族に対して、障害の特性や発達の各段階に応じて子どもの「育ち」や「暮らし」を安定させることを基本に置いて丁寧な支援を行うことにより、子ども本人にも良い影響を与えることが期待できる。
厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」
児童発達支援は、大別すると「発達支援(本人支援及び移行支援)」、「家庭支援」及び「地域支援」からなる。(中略)【家族支援】家族が安心して子育てを行うことが出来るよう、さまざまな家族の負担を軽減していくための物理的及び心理的支援等。
厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」の概要
児童発達支援を行う施設
①「児童発達支援センター」と②「児童発達支援事業所」の2種類
児童福祉法では、児童発達支援を行う施設を立場や機能の違いで「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」の2つに分けています。センター以外の事業所のことを、法律的に「児童発達支援事業所」と呼びます。
ざっくりとは 「児童発達支援センター」 は市区町村がやっていて、1~2歳児では週2~3日の親子教室、3歳児以降は幼稚園の代わりに毎日通うイメージ、「児童発達支援事業所」は塾のようなイメージで、民間がやっていて好きな施設・タイプ・日時を選んで通います。
児童発達支援センターと児童発達支援事業所のより詳しい違いは、最後の方でまとめています。
施設の探し方は?
このページの中間部分でまとめています。
障害の診断、療育手帳は不要
障害の確定診断や療育手帳の取得がなくても利用できます。
通所受給者証が必要
必要なのは市区町村が発行する通所受給者証です。取得方法など詳しくはこちらのページで説明しています。
どんなことをするの?
法律で児童発達支援では「日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などの支援」を行うと定められています。
児童発達支援に係る指定通所支援(以下「指定児童発達支援」という。)の事業は、障害児が日常生活における基本的動作及び知識技能を習得し、並びに集団生活に適応することができるよう、当該障害児の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて適切かつ効果的な指導及び訓練を行うものでなければならない。
厚生労働省「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第二章 児童発達支援 第一節 基本方針 第四条
①児童発達支援センター
3歳以降の幼稚園の代わりの施設での支援内容は、小学校でいう特別支援学校のような内容でした。
1~2歳児さんは障害の有無は問わなくても、3歳児さん以降は知的障害がないと通えないという市区町村もあります。
児童発達支援センターの通所施設と、幼稚園・保育園などとの違いについてまとめたページもご参考になると思いますので、ご覧ください。
②児童発達支援事業所
「児童発達支援事業所」は塾のように親御さんが好きな所を選んで通います。知的障害や自閉症の有無は関係なく、市区町村の発行する通所受給者証が取得できれば誰でも通えます。百聞は一見に如かずなので画もいくつか載せておきました。
個別療育
個別療育では、特別支援学校の自立活動のような、または作業療法・言語療法のような、卓上で行われるお勉強という感じでした。



集団療育
集団療育では、特別支援学校の各教科等を合わせた指導の特徴に似ていて、挨拶の練習、遊びながらお友達とのやり取りや社会的ルール習得の支援、絵本の読み聞かせやリトミック、工作のような時間がありました。



利用料金のお支払い
市区町村を通して
児童発達支援は国が推進しており、厚生労働省が行っている障害児通所支援の1つとなっています。どんな子でも平等に児童発達支援が受けられるように国・都道府県等が費用面でも補助を行っています。
そのため、利用者側としては、利用するのがセンターでも事業所でも、費用のお支払いの手続きは市区町村で行います。市区町村が利用額の管理をしているためです。
障害児通所支援とは、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援及び保育所等訪問支援をいい、障害児通所支援事業とは、障害児通所支援を行う事業をいう。
児童福祉法 第六条の二の二
事業所側としては、利用者の実費分を市区町村から受け取るというイメージです。
センターも事業所も、市区町村が発行してくれる通所受給者証を利用して通うのですが、その通所受給者証を申請する際に引き落とし口座を登録します。

具体的な費用
利用者が支払う費用は世帯収入によっても異なり、大まかに書くと、収入が低い家では0円、普通の収入の家では上限4,600円、収入が高い家では上限37,200円です。他におやつ代など、適宜実費がかかることもあります。
3歳~5歳(満3歳になって初めての4月1日から3年間)の費用は無償化されています。
児童発達支援のお教室、どうやって探せばいいの?
相談支援事業者に相談する
後述する方法でお住いの自治体から障害福祉サービスの支給決定が下りた方で、どこでどんな療育を受けるべきか分からないという方には、市区町村は特定相談支援事業者をいくつか紹介してくれます。
そこに所属する相談支援専門員さんに相談すると色々教えてくれます。
障害福祉サービスの利用計画書を作成をお願いした場合には、市区町村とも連携してくれます。
自分でお教室を探したい方は「セルフプラン」という方法も選択できます。ここでは説明は省きますね。
自分で検索する
主な施設は全国児童発達支援協議会に加盟しており、そのサイトの加盟施設ページ(http://www.cdsjapan.jp/facility)から確認できるため、そこから直接(施設によっては市区町村へ)そのお教室のサイトを確認・問い合わせることが可能です。
下記のようなフランチャイズ展開しているお教室では、全国児童発達支援協議会に加盟していないことがほとんどなので、一例として記載しておきます。
LITALICOジュニア

- LITALICOジュニア
- 障害者の就労支援サービスを運営していた株式会社LITALICOの子供向けのサービス
- 通所受給者証を利用する福祉サービスのタイプと、全額自己負担の塾や幼児教室のようなタイプがある
- 0~6歳…児童発達支援事業(福祉サービス)、幼児教室
- 小学生以上…放課後等デイサービス(福祉サービス)、学習塾
- 教室はフランチャイズ形式の設置で、教室ごとに提供しているサービスが異なる(オーナーの希望制)
コペルプラス
- コペルプラス
- 幼児教室から派生した株式会社コペルの児童発達支援事業(2017年6月~)
- 通所受給者証を利用する児童発達支援のタイプ
- 0~6歳…児童発達支援事業
- 小学生以上…放課後等デイサービス
- 教室はフランチャイズ形式

センターと事業所の違い【詳細】
利用者の立場から見た主な違いを、改めて詳しくまとめていきます。
運営
センターは市区町村が運営
児童発達支援センターは、地域の中核的な療育支援施設です。市区町村が運営していて、地域に何か所もあるものではありません。
事業所は民間も運営
一方、事業所は民間企業(株式会社や有限会社、一般社団法人、社会福祉法人、NPO法人、医療法人社団、学校法人、財団法人など)でも運営でき、地域にたくさんあります。
センターを運営している市区町村でも、それ以外の児童発達支援事業所も運営している所もあります。
逆に市区町村がセンターの運営を民間企業に委託することもあります。はじめて利用する人にとってはややこしいですね。
- 市区町村が運営
- 児童発達支援センター(民間に委託するケースもある)
- 児童発達支援事業所
- 民間が運営
- 児童発達支援事業所
役割
センターは役割がたくさん
センターでは、事業所に比べて機能がたくさんあります。例えば、障害児相談支援や保育所等訪問支援などの機能が必須となる点が事業所と異なります。
センターは障害児の幼稚園のような機能も
センターには他にも、幼稚園や保育園を選択できなかった障害を持つ地域の子たちが毎日通所する機能もあります。バスの送迎などがあることが多く、見分ける一つの目安になります。

画像はGoogleMap、釧路市Facebookより
利用者のイメージでは、センターが公立の幼稚園の代わり、事業所が民間の塾の代わりという印象があります。
幼稚園との違いにつては、下記ページに詳しくまとめています。
利用できる年齢
センターは未就学児のみ利用できる

画像は社会福祉法人ゆうゆう(品川区に委託され平成29年から運営)より
児童発達支援センターは未就学児のみ利用できる施設です。
事業所は高校生まで利用できる
一方、児童発達支援事業所は、高校生まで利用できます。
未就学児は「児童発達支援」という名前のサービス、小学生以上は「放課後等デイサービス」という名前のサービスが利用できます。
- 未就学児
- 児童発達支援センター
- 児童発達支援事業所(児童発達支援)
- 小学生~高校生
- 児童発達支援事業所(放課後等デイサービス)
はじめて利用する人にはここもちょっとややこしいのですが、下記のような例を挙げると少しイメージが湧きますでしょうか。
- 未就学児が療育のお教室を探している時、近くに児童発達支援の施設があるから行ってみたいと思っても、そこが放課後等デイサービスだと利用できない
- 未就学児が利用している児童発達支援の事業所では、小学生に進学すると利用できなくなる(運営元が放課後等デイサービスを運営していれば、そちらの方に移行することは出来る)
事業所はスタイルも多種多様
事業所では短時間のお教室がメインになります。
事業所では週1~2回の頻度で親子で受けるタイプ・小集団での療育など、支援方法も様々あります。送迎の有無も事業所によります。
運営する企業側からすると、ターゲットとする年齢層も提供する支援内容も選択でき、自由度が高い事業と言えるのではないでしょうか。
自由とは言っても、都道府県から指定障害児通所支援事業者として認定(=利用者は「通所受給者証」での通所が可能 )されるためには、児童福祉法に基づいて、児童発達支援管理責任者(実務経験の要件を満たし研修を修了した者)を設置し、職員の人数や床面積、設備等の基準を満たし、設備及び運営について水準の向上を図ることに努めるなどの条件を満たす必要があります。
さいごに
今回は、児童発達支援とお教室について見てきました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!