特別支援学校・学級・通級【選択肢・入学基準】は?|小学校|自閉スペクトラム症児の場合

2021年8月16日

特別支援学校・学級・通級の入学基準

自閉スペクトラム症などの発達障害児の場合、就学先を特別支援学校にするか、地域校の支援学級/普通学級にするかで悩みますよね。

今回は、自閉スペクトラム症児の場合について、就学先の選択肢や入学基準について見ていきましょう。※視覚障害、聴覚障害、肢体不自由は重複していないケースを考えます。

【はじめに】選択肢について

一覧

最初に自閉スペクトラム症児の就学先一覧をのせておきます。

選択肢知的障害なし知的障害あり
(程度が重め)
知的障害あり
(中・軽度)
特別支援学校××
地域校の支援学級(知的障害)×
地域校の支援学級(自閉症・ 情緒障害)×(※)×(※)
学区の普通学級+通級×(※)×(※)
※:インクルーシブ教育システムが推進されているため在籍は可能ですが、知的障害児は乳幼児期から一貫した長期的な特別支援が必要なため、一般的には対象に含まれていません。

就学先の選択肢は、障害の認定や知能指数(IQ)療育手帳の区分などで分けられているものではなく、文字ベースで「程度」としてそれぞれの入学基準が法律で定められており、その基準をもとに絞られていきます。

最終決定は教育委員会

上記の選択肢の中から保護者が希望するところを市区町村の教育委員会に伝え、教育委員会によって最終的に決定されます。流れについては、下記ページで詳しく説明しています。

では本題の選択肢について見ていきましょう。

【その1】特別支援学校

特別支援学校は、視覚障害児の学校(盲学校)、聴覚障害児の学校(聾学校)、知的障害児の学校、肢体不自由児の学校、病弱・身体虚弱児の学校と、大きく5種類に分かれています。

そうです、自閉スペクトラム症に特化した特別支援学校は、基本的にはありません

「基本的に」と書いたのは、現在、神奈川県に全国で一校だけ自閉症に特化した特別支援学校があるためです。しかし、こちらも知的障害を併発している子と限られ、定員も設けられているため、全国共通の一般的情報とは言えません。

よって、自閉スペクトラム症児は、知的障害をもっている、かつ、次の項目で説明する基準に当てはまっている場合に、はじめて特別支援学校が選択肢の1つになります

入学基準

  • 1.知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難日常生活を営むのに頻繁援助を必要とする程度のもの
  • 2.知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの

程度の具体例として、例えば名古屋市では、「愛護手帳(療育手帳)の療育判定がA(重度)程度」としています。参考:名古屋市 22-3.pdf「学校教育法施行令第 22 条の 3 に規定する障害の程度と判定方法

POINT

知的障害をもっていない自閉スペクトラム症児には、特別支援学校という選択肢はありません。

特別支援学校の情報

特別支援学校については、下記ページをご参考になさってください。

【その2】地域校の支援学級

支援学級は、下記のクラス設定があります。

  • 知的障害
  • 自閉症・情緒障害
  • 言語障害
  • 難聴
  • 肢体不自由
  • 病弱・身体虚弱
  • 弱視

支援学級には、特別支援学校とは違い、自閉スペクトラム症に特化した「自閉症・情緒障害」クラスがありましたね。詳しくは、次の「入学基準」の項目で説明していきます。

知的障害クラスの入学基準

「知的障害」クラスの入学基準は下記です。

  • 知的発達の遅滞があり,他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で,社会生活への適応が困難である程度のもの

特別支援学校との基準さをまとめると、下記のようになります。

障害種別
「知的障害」
他人との意思疎通日常生活を営むための援助社会生活への適応
特別支援学校困難頻繁に必要とする著しく困難
支援学級軽度の困難一部援助が必要困難
特別支援学校と支援学級の基準の違い

特別支援学校との違いについては、下記ページで詳しく説明していますので、是非あわせてご覧ください。

自閉症・情緒障害クラスの入学基準

知的障害がない場合、支援学級では「自閉症・情緒障害」クラスが対象になります。入学基準は下記です。

  • 1.自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの
  • 2.主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの

このクラスでは、自閉スペクトラム症児だけでなく、心理的な要因で学校に通えないような情緒障害を持つ子も通うクラスになります。

自閉スペクトラム症と確定診断がなされていなくても、根本にそのような特性があるために社会適応が難しく、情緒障害となる子もいるため、明確な線引きはなく「自閉症・情緒障害」クラスと設定されています。

情緒障害のある子どもは、情緒的な問題により、集団活動や学習活動など学校での社会的な適応が困難な状態にある様々な行動上の問題を有する子どもです。その原因や特性、特別な教育的な配慮や指導の内容の違いから二つのタイプに分けられます。第1のタイプは、発達障害に包括される障害である自閉症及びそれに類するものにより、言語発達の遅れや対人関係の形成が困難であるため、社会的適応が困難な状態にある子ども、第2のタイプは、主として心理的な要因の関与が大きいとされている社会的適応が困難である様々な状態を総称するもので、選択性かん黙、心理的情緒的理由により登校出来ない状態(不登校)、及びその他の状態(多動、常同行動、チックなど)にある子どもです。

独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所「情緒障害のある子どもへの配慮

全ての学校に支援学級があるわけではない

全ての学校に支援学級があるものではありません。また、支援学級がある学校でも、障害種別が1つか2つのクラスのみということもよくあります。

どの学校の支援学級に通ることになるか(「地域校」と呼びます)は、市区町村の教育委員会に確認します。

参考

私が住んでいる市区町村では、「地域校は、該当となる支援学級が設置されている学校の中で、純粋に距離が一番近い学校」とされています。ただし、通学路が危険になってしまうなどの特別な理由がある場合は、応相談のようです。

登下校のことも考える必要がある

支援学級を就学先として考える場合、地域校となる学校が自宅から通えるかも大切な判断基準の1つになります。

以下の内容は地域差もあると思いますが。

特別支援学校はスクールバスで通学(小学部はバス停まで保護者送迎が基本)できる学校が多いのですが、支援学級では基本的に普通学級の子と同様、徒歩で通うことが基本とされています。

場合によっては、保護者が付き添ったり、福祉サービスの移動支援を利用します。下校時は、放課後等デイサービスを利用すると移動支援として学校までお迎え、帰りは自宅まで送ってくれる事業所が多いです。

参考

息子は中度知的障害があり、1~5年生は特別支援学校、6年生の夏から地域校の支援学級に通いました。

4年生の時に下の子を妊娠・出産したのですが、学校のバス停まで1㎞位あったので、朝の登校時に「移動支援」サービスが利用できないかいくつかの福祉事業所に聞いてみたことがあります。ママ友さんの噂でも朝は難しいと聞いていましたが、やはりどこも朝は人員確保が難しくお断りされてしまいました。下校時や休日なら空きがあればいつでも対応してくれるのですが。

6年生で地域校に通うことになった時も距離が1㎞以上あったので、最初のうちだけでも「移動支援」を利用出来たら助かると思い、2年間での変化を期待しと問い合わせましたが、結果は同じでした。

下の子との登校も何かと大変で、結局1ヶ月もかからず一人で通わせるようになりました。

ただし、6年生の特別支援学校在学中に、通学路は違えども、バス停まで1人で通わせる練習をしていたことも大きかったです。

特別支援学校では、主に中等部・高等部でバス停・学校まで自主登校を練習する習慣があり、学校も一丸となって徹底的に練習してくれるのです。

例えば、正式な自主登校の計画表が立てられ、学校にバス停までの通路を申請、担任が下見、危ない箇所は通路変更、保護者と一定期間練習後に担任も朝自宅から一緒に練習、最後は担任と一定期間練習、学校の会議でOKが出たらはじめて自宅からバス停まで一人で通うという心強い練習です。

地域校の方では、「出来そうなら一人で通わせていいよ^^」「登校時刻過ぎても来なかったら保護者に電話しているよ」という程度の対応で特別支援学校との差に驚きました。

【その3】学区の普通学級+通級

POINT

通級指導教室/特別支援教室は、基本的に知的障害がない子を対象としています。詳しくは後述します。

一般的に「通級」と呼ばれるものは、学区内の普通学級に在籍・ほとんどの時間そこで学習し、週に1・2時間だけ通級指導教室(生徒が行くタイプ)/特別支援教室(先生が来てくれるタイプ)に通うというスタイルの特別支援教育です。

現在は高校3年定時制に通うASD息子です。

小学校、中学校は週1でとなりの学校の通級に通っていました。
通級は先生1人に生徒2人か3人でゆっくり進める息子を急かすことなく本人が自分の気持ちを伝えることが出来る進め方をしてくれるので、息子の良いところを把握出来て本人の自信にも繋がりました。

しょくぱんさん/東京都/40代/母親

NHK福祉情報サイト ハートネット「障害のある子どもの学校生活の悩み(2017年6月“チエノバ”)p.4」いゆさん/愛媛県/30代/親であり本人

入学基準

  • 自閉症又はそれに類するもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの

他の普通学級との違いは?

人によっては敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、普通の子と違う点として、個別の教育支援計画などが作成され、学校全体でその子へ必要な特別支援教育について共有されるという特徴があります。

それにより、どんな先生が担任になっても特別支援教育コーディネーター(後述)や特別支援学校の専門的な知識を持つ先生、関係機関との連携により、一定した指導を受けることが可能になるという仕組みです。

特別支援教育コーディネーター

公立小学校には「特別支援教育コーディネーター」という、保護者の相談窓口や校内での特別支援教育の推進の役割を担う先生が一人は在籍しています。

求められる適正からベテランの先生や保健室の先生が指名されていることが多いのですが、あくまで校長先生からの指名制で、どんな先生が特別支援教育コーディネーターになっているかは学校によります。

知的障害がある子は?

知的障害がある場合、その特性ゆえ下記のような指導が必要になるため、一般的には市区町村の教育委員会では地域校の支援学級や特別支援学校をおススメされることになります。

知的障害のある児童・生徒に対する学習上又は生活上の困難の改善・克服に必要な指導は、生活に結び付く実際的・具体的な内容を継続して指導することが必要であることから、一定の時間のみ取り出して行う指導にはなじまないことを踏まえ、現在、知的障害のある児童・生徒については特別支援教室の対象とはなっていない。(「障害に応じた通級による指導の手引」改訂第3版4刷(文部科学省編著)より)

東京都教育委員会「特別支援教室の運営ガイドライン 第1部 特別支援教室 運営の充実に向けて」p.11 令和3年3月25日

インクルーシブ教育システム

ただし、現代では国ベースで障害がある子もない子も同じ環境で学ぼうという「インクルーシブ教育システム」を推奨しており、就学先も本人・保護者の意向が最大限考慮されるように法律で守られているため、希望があれば入学できるということになっています。

現実は、環境により様々なようです。

場合によっては保護者の付き添い

支援員などの加配職員を配置する制度はありますが、全員に認められるものでもなく市区町村や学校によってしまうため、重度の障害がある場合などは保護者の付き添いが求められることもあるようです。

さいごに

愛しいわが子をどの学校に通わせてあげたらいいかは、メリットデメリットがあり、親としては簡単に答えが出ない事もありますよね。

入学後の環境が本人・保護者の希望通りになるかどうかは、その学校の校長先生やその市区町村の教育委員会の手腕にもかかっていそうです。

校長の指導、専門性は重要であるが、教育委員会の指導主事の専門性も重要である。教育委員会の指導主事が、発達障害についての理解がないケースがよくある。進んでいる自治体では、指導主事の研修を徹底している。生徒指導課が発達的な視点を持って、子どもの問題行動を理解することに取り組んでいる。学校を指導する指導主事が理解していなければ、適切な指導が行き渡らない。

文部科学省 初等中等教育局特別支援教育課「資料6-5:特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第12~14回)における教職員の確保及び専門性の向上に関する主な意見」平成24年02月

公立の場合、特別支援学校でも普通の学校でも、必ず相談窓口になってくれる特別支援教育コーディネーターがいてくれますし、学校は就学後に変更する事も可能です。

特別支援学校に行ったら支援学級へ進級しにくいということでもなく、どこに在籍していても、その子の発達に応じて別の選択肢への道を頭の片隅に置いておいていいと思います。

親は思っていなくても、先生から別の道をおススメされることもありますしね。息子は特別支援学校の6年生の時に、自分から、年1回半日交流していた地域校の支援学級へ通いたいと言ってきたりと、そんなケースもあります。(親はとても心配し悩みましたが、結果、非常に楽しかったようでもっと早くに通わせてあげればよかったと思いました)

小学校に就学するときだけでなく、状況に応じて、教育委員会を通して体験や見学、相談をしっかりと行った上で学校を決めてあげたいですね。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!