【WISC-Ⅳ】とは?検査方法|どんな子が受けている?受ける理解は?

WISC-Ⅳとは?

WISC-Ⅳは、5歳から受けられる、世界的に有名な知能検査の一種です。結果もたくさんの項目が数値化され、信頼度の高い検査です。

5歳0カ月~16歳11カ月の子どもを対象にした、世界でも広く利用されている代表的な児童用知能検査です。

日本文化科学社「WISC?-IV知能検査」より引用

検査方法

検査官(臨床心理士など)と子どもが、原則1対1で座って行います。検査時間も1~2時間前後と長いです。

WISC-IV
WISC-Ⅳ 画像は日本文化学科社より

息子の経験では、下記のような流れだったと検査官から報告を受けました。

【検査の流れ実例】
  • 最初に基本検査を60分行った
  • 続いて補助検査を30分ほど行った
  • 計90分の内、3回短い休憩をとった、1回はトイレに行った

問題例

年齢によって開始する問題が変わります。問題例についてはこちらのページにまとめました。

どんな子が受けているの?

発達が気になる子たち

普通の子が知的レベルを測るために受けるというよりも、支援学級に行くべきか悩んでいる子や、学習面や行動面などの発達がちょっと気になる子が受けるケースが多いと思います。

知的機能の検査は、低学力につながる特定の認知欠如を評価し、将来の学習達成度を予測するため学校で広く使われている。

Wikipedia「児童向けウェクスラー式知能検査」より引用

どんな子たちが受けているかの実例は、下記になります。

事例1 ことばの理解と表現に著しい困難があり学習の遅れが大きい小学校4年生
事例2 基本的な学習態度が形成されていない小学校1年生
事例3 文章を正確に音読することが苦手な小学校6年生
事例4 英語、漢字の読み書きに困難を示す中学校1年生
事例5 自己調整と意味理解の苦手な小学校3年生
事例6 ことばの理解・表出が難しく学習にのれない小学校2年生
事例7 多弁で対人関係のトラブルが多い小学校4年生
事例8 社会的な文脈の理解が難しい小学校2年生
事例9 内容は豊かだが、話のまとまらない注意集中困難な小学校3年生
事例10 読み書きに困難があり、学校を休みがちな中学校2年生
事例11 物忘れが激しく、行動の抑制がきかない小学校6年生
事例12 不器用さと注意の問題(ぼんやり)をもつ小学校4年生
事例13 意味理解や状況判断が困難で対人行動の問題が大きい小学校2年生
事例14 意味理解につまずきがあり、文章表現が苦手な小学校4年生
事例15 抽象的なことばや状況の理解が難しい小学校2年生
事例16 「できないかもしれない」場面への抵抗が強い小学校4年生
事例17 読み書きの困難が著しく苦手意識の強い小学校3年生
事例18 読み書き計算が苦手な小学校3年生
事例19 算数の学習に著しい困難を示した小学校6年生
事例20 集中が続かず授業中の手遊びが多い書字困難な小学校5年生
事例21 集団行動から遅れがちで友だち関係で孤立しやすい小学校5年生
事例22 書字と対人関係が困難な小学校5年生
事例23 言語的コミュニケーションと覚えることの困難さをもつ小学校3年生
事例24 言語理解に問題があり漢字熟語の表記が難しい小学校6年生
事例25 さまざまな点で少しずつついていくことが難しい小学校5年生
事例26 発話量は多いが内容の乏しい小学校3年生
事例27 自分の考えや意見を伝えるのが苦手な小学校6年生
事例28 全体的なイメージをとらえることが苦手で劣等感が強い小学校6年生

サクセス・ベル(株)「軽度発達障害の心理アセスメント WISC-Ⅲの上手な利用と事例」第Ⅳ章 事例集

発達面に不安な子が受ける理由は?

1.同年齢集団の中でのその子の位置が分かるため

IQには種類が2つ存在します。

知能検査でよく活用されている田中ビネー知能検査Ⅴでは、精神年齢としての【従来のIQ】を求められます。その子が何歳の平均と同じくらいかを知ることができる知能検査です。田中ビネーは療育手帳を取得する際の智嚢検査として、地域の児童相談所で受けることが多いですね。

一方のWISC-Ⅳでは、【偏差IQ(DIQ)】が求められます。現代では世界的に主流のIQです。そのDIQは、同年齢集団の中でのその子の位置が分かるのです。そのため、WISCの結果は就学先について考える一つの指針にできるのです。

2.その子の【弱み】と【強み】が分かる検査だから

もう一つの理由は、WISC-Ⅳは何が強みで何が苦手かを4つの指標から読み取れる検査でもあるからです。

詳しくは下記ページで説明していますので、是非あわせてご覧ください。

弱み・強みが分かれば、その子が生活しやすいように支援してあげる手立てを講じてあげられるため、上記のような子たちは心理士さんなどからが受けることを勧められることも多いのです。

精神年齢で5歳以上の方がよさそう

児童期の子ども用の検査と言っても、なかなか難しいです。

田中ビネーは「精神年齢」を求める検査で2歳から受けられる問題が出されますが、WISC-Ⅳは「情報の入力・出力に対しての認知能力」を求める検査なので田中ビネーより問題内容が難しいのです。 

◇参考◇田中ビネー知能検査Ⅴの問題例

明らかに精神年齢が5歳に満たない場合は、WISC-Ⅳと同じウェクスラー式知能検査シリーズの2歳半から検査可能なWPPSI-Ⅲや、田中ビネーなどの検査を使うことが多いです。

※ウェクスラー式知能検査シリーズについては、後の章で説明しています。

対象年齢・他のシリーズ

【WISC-Ⅳ】は、3つあるウェクスラー式知能検査のうちの1つで、5歳0ヶ月~16歳11ヶ月を対象とした検査です。他に、幼児・成人を対象とした検査として、日本ではWPPSI-ⅢWAIS-IVが使用されています。

種類読み方  対象年齢発行年
WISC-Ⅳウィスク・フォー5歳0ヶ月~16歳11ヶ月2010年
WPPSI-Ⅲウィプシ・スリー2歳6ヶ月~7歳3ヶ月2017年
WAIS-IVウェイス・フォー16歳0ヶ月~90歳11ヶ月2018年
ウェクスラー式知能検査の種類
WPPSI-III
WPPSI-III
WAIS-IV
WAIS-IV

画像は日本文化学科社より

製作者

アメリカの心理学者デイヴィッド・ウェクスラー(David Wechsler)が開発し、1949年から活用されています。

デビッドウェクスラー博士
画像はWikipediaより

主に使用されている現行バージョンは、日本語版では2011年のWISC-Ⅳですが、アメリカでは2014年から最新バージョンのWISC-Ⅴが活用されています。

2020年7月の行われたNPO 法人 LD・Dyslexia センター大六一志教授による講演によると、日本版も刊行準備が最終段階まで進んでいるとのことです。参考:一般財団法人特別支援教育士資格認定協会 2020 年度第 2 回 S.E.N.S 年次大会 in 北海道≪講演 1≫

さいごに

今回は【WISC-Ⅳ】とは何かを全体的に見てきました。

結果の見方や問題例も大切な情報になりますので、是非あわせてご覧ください。

今回はこの辺で。最後まで読んで下さって、ありがとうございました!