子どもを【褒め過ぎ】はダメ|善よりも害を及ぼす
愛しのわが子をたくさん褒めて育ててあげたい私としては、子どもを褒めすぎてはいけないことを知ったとき驚きました。今までの私の褒め方大丈夫だったかな!?と焦りました。
今回は自尊感情と褒めること、そのポイントを解説していきます。
【褒めて】あげていればイイと思っていた
子どもの自尊感情を育ててあげたい、そのためにはどうしたらいいのか?と考えた時。
私がパッと思い浮かんだ事といえば「子どもを叱らず、とにかく褒めて・認めてあげる」というものです。
最近、子どもを叱らない子育てという育児法をよく聞きますし。例えばAmazonの本ジャンルで「叱らない」をキーワードに検索するとそのような育児本などが188件ヒットもします。(2020/07/15時点)
しかし、正解はノーでした!あっ、もちろん「叱らない」育児法も子どもの自尊感情にとって良いものだと思います。ここでのノーは「ただやみくもに褒めたり認めてあげればよいというものではない」を意味しています。
教育評論家の尾木ママこと尾木直樹教授や、自閉症研究の第一人者であるハンス・アスペルガー医師から自閉症について直接学んだこともある児童発達ご専門の医師であった平井信義教授も「叱らない」育児法の書籍を出版されていて、それらは非常に参考になると思います。
なぜ子どもへの【褒めすぎ】はNG?
子育てをしていると、愛するわが子を褒めて褒めて伸ばしてあげたくなりすよね。なのに褒めすぎてはいけないなんて!どういう事なのでしょうか?ご専門家の研究結果をまとめてみました。
善よりも害を及ぼす
サンフランシスコ大学のジム・テイラー(Jim Taylor)博士1)は、子どもを褒めすぎることは「善よりも害を及ぼす」と指摘。
なんと、驚きです。
賞賛のシャワーを浴び続けた子どもたちは、自分は完璧だと考え始めるか、常に完璧であろうとするかのどちらかになると述べています。2)
過大評価は裏目に出る
子どもと思春期の子の心理学をご専門としているダーシー・ライネス博士(D’Arcy Lyness)は、子どもの自尊心を構築するために「子どもを褒めましょう」と述べる一方で、「過大評価は裏目に出る」「正しい褒め方が大切」としています。3)
正しい褒め方は下記ページにまとめています。
自尊感情は高すぎても良くない
自尊感情はある要素が高すぎると、人をいじめたり等のマイナスの影響が現れる可能性があるようです。自尊感情も適度なバランスが必要とされています。詳しくは下記ページで解説しています。
大切なのは【褒められる】ことだけではない
東海大学、山陽学園大学の教授も務めた健康教育学・臨床心理学を専門とする近藤卓臨床心理士は、自尊感情とは、ほめられたり、みとめられたりすると高まると捉える人が多い
と指摘し、自尊感情を育むうえで大切なことは他の子どもと比べて『すごい子ども』を育てようとするよりも、『ありのままの子ども』を豊かにするかかわりの積み重ね
としています。4)
例えば、親子で食事を一緒にするなどの共有体験で基本的自尊感情は育まれていくとしています。
やはり、自尊感情の高め方は、褒めたり認めたりするだけではないということですよね。
まとめ
自尊感情を育てるために子どもをやみくもに褒めることは、結果、子ども自身を苦しめることが分かりました。
褒めるのは、努力・進歩・態度に対してするのがポイント。自分で選択し、健康的なリスクを経験、問題を解決することから子どもの自信が生まれることも分かりました。
また、こどもの自尊感情を高めるために親がとるべき言動については下記ページをご覧ください。
今回はこの辺で。読んで下さってありがとうございました!
参考情報
1) ジム・テイラー博士の有名著書 “Your Children Are Listening: Nine Messages They Need to Hear from You“
2)
“We’re lowering the bar for them,” Taylor says. “If you keep telling your child she is already doing a fantastic job, you’re saying she no longer needs to push herself.
Today’s Parent “11 tips on building self-esteem in children" Randi Chapnik Myers. 2018.05.01
↑ 和訳概要:「私たちは彼らの基準を下げています」とテイラーは言います。 「あなたが子供にすでに素晴らしい仕事をしていると伝え続けるなら、彼女はもう自分をプッシュする必要がないと言っていることになります。
3)
Praise your child, but do it wisely. Of course, it’s good to praise kids. Your praise is a way to show that you’re proud. But some ways of praising kids can actually backfire.
D’Arcy Lyness (2018) KidsHealth
↑和訳概要:お子さんを褒めましょう、しかし賢明に行ってください。もちろん、子供を褒めるのは良いことです。あなたの賞賛は、あなたが誇りに思っていることを示す方法です.?しかし、子供を褒める方法によっては、実際には裏目に出ることもあります。
4)
近藤卓(2015)「乳幼児期から育む自尊感情─生きる力、乗りこえる力」エイデル研究所、近藤卓(2020)「誰も気づかなかった子育て心理学: 基本的自尊感情を育む」金子書房