【障害受容】とは?

障害受容とは

障害受容とは

多くの先行研究を簡単にまとめると、親にとって子どもの障害受容とは、わが子に障害があることを正しく認知し、多くの社会的制約がある中でも、わが子・家族にとって新たな価値観を見出し、積極的に生活できるようになるということです。

一般的な定義

日本のリハビリテーション医学界で大変権威のある上田敏教授は、障害受容を下記のように述べています。

上田敏教授
画像は医学書院より

あきらめでも居直りでもなく,障害に対する価値観(感)の転換であり,障害をもっことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて,恥の意識や劣等感を克服し,積極的な生活態度に転じること

京都大学大学院教育学研究科紀要 第48号「「障害受容」における生涯発達とライフストーリー観点の意義 : 日本の中途肢体障害者研究を中心に」田垣 正晋 (2002), p.345

上田教授の障害受容の概念は、障害受容の有名な理論を定義したWright博士(ベアトリス・アン・ライト心理学者)の考えが前提になっています。

ベアトリス・アン・ライト心理学者
画像はDIV22より

Wright(ライト)は、障害受容とは「障害を不便かつ制約的なものでありながらも、自分の価値を低下させるものではないと認識すること」としました。

心理学用語の学習「心理学用語集: グリーフケア・ターミナルケア・障害受容

彼女は、障害受容には4つの価値変換が必要としていました。(価値転換理論)参考:心理学用語の学習

  • 失しなった部分以外にも多くの価値があると認識する
  • 障害が自分の価値全体を低下させるものではないと認識する
  • 外見より内面的価値を重要とすること
  • 他者や一般基準と比較しない自身の価値に目を向けること

受容までのプロセス

障害受容するまでに経験する心情の変化については、1960年頃より多くの仮説が議論されています。日本において有名な受容モデルを下記ページにまとめています。

前を向くために必要なこと

下記のページで詳しく説明しています。どなたかのご参考になれば幸いです。

いつ頃に障害受容ができる?

肯定的な気持ちになれた時期について、いくつかの論文からの情報を下記ページにまとめました。

諦めることとは違う!誤用に注意!

障害受容とは、「諦め」とは異なります。

下記ような気持ちや使い方には注意するべきと色々な論文、サイトで見かけ、大切なポイントだと思いこのサイトでも記載しておきたいと思いました。

「受容」概念の誤用・悪用 (中略)

悩む患者を前にして「『障害の受容』ができていない」と,受容しないのは患者が悪いかのように非難する態度である

Jpn J Rehabil Med Vol. 57 No. 10 特別寄稿 「障害の受容」再論―誤解を解き,将来を考える― 上田 敏 (2020) Pp.890-897

あるとき会議の中で『〇〇さんは障害受容ができておらず、一般就労にこだわっている』という発言があり、周囲も『それは困りましたね』と納得していた。『〇〇さんは、障害があるのに一般就労をしたいと思っており、あきらめが悪い』というニュアンスに聞こえた筆者は違和感を覚えた。『障害受容』という言葉を使い、自分たちの支援の限界を正当化しているように感じたからである。

医療法人若葉会 さいたま記念病院「障害の受容」最終確認日:2022/06/02

こうした使い方には気を付けましょう。

さいごに

今回は、障害受容とはどういうものかをまとめてみました。

障害受容のテーマでは、下記の情報をまとめたページもございます。何かのご参考になれば幸いです。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!