|ネコを飼ったら自閉の息子がとても落ち着いた

2021年4月21日

知的障害を伴う自閉スペクトラム症(自閉症)の息子には、3歳頃からアニマルセラピー的にいろいろな場所で主に犬、ネコと触れ合わせてきました。

自閉症児とアニマルセラピー

数年のうちに猫のことが好きになり、息子が7歳の頃からネコを2匹飼いはじめました。5歳頃からこだわりとそれに伴うパニックやかんしゃくが非常に強かったのですが、ネコを飼い、いつも猫と共にいることで、とても落ち着くようになりました。

今回は、自閉症とアニマルセラピーのことと、息子の実例をお伝えします。

自閉症とペット

自閉症のことを調べていると、アニマルセラピーについて聞く機会もあると思います。簡単にまとめてみます。

グランディン教授のご意見

高機能自閉症と公表しているアメリカのテンプル・グランディン教授は、動物を扱うことは多くの自閉スペクトラム症児を助ける手段の一つと述べています。

自閉症児と猫
アメリカの自閉症児(10歳)と猫 画像はThe New York Timesより

Dr. Grandin said: “I don’t think in words, I think in pictures. Animals don’t think in words. They live in a sensory-based world. Some autistic kids can really relate to animals for that reason.”

The New York Times “Nature as a Salve for Children With Autism" By Richard Schiffma, July 15, 2021
↑和訳概要

動物は言葉で考えません。 彼らは感覚に基づいた世界に住んでいます。 自閉症の子供たちの中には、その理由で本当に動物と関係を持つことができる子もいます。

英BBニュースで取り上げられたケース

アメリカでの実例

重度の自閉症にとらわれた息子デールをかかえ、途方にくれていた一家のもとに、1匹の子犬、ヘンリーがやってきた。それまで誰とのコミュニケーションも拒んでいるかのように見えたデールは、ヘンリーとだけは奇跡的に心を通わせはじめた。

Amazon「ありがとう、ヘンリー―自閉症の息子とともに育った犬の物語」2008/8/1 ヌアラ ガードナー (著), Nuala Gardner (原著), 入江 真佐子 (翻訳) より引用

日本の精神科医の意見

以前から、自閉症児への療法の一つでして、アニマル・セラピーが紹介されています。(中略)自閉症の原因自体が明らかになっていない以上、こうしたアニマル・セラピーが自閉症児の治療に有効かどうかは、まだ明らかになっているとは言えないでしょう。
ただ、動物が人間にとっての癒しの効果を持っていることは、人間とペットとの長いつきあいの歴史のなかで間違いないとも言えると思います。したがって、自閉症に特有の効果があるかどうかはわかりませんが、アニマル・セラピーも、適切に行われれば自閉症児にとってもプラスに働くと思います。

NHKぶっくす『 アニマル・セラピーとは何か 』横山 章光:著

ASD児への研究

動物介在活動(AAA)中の 6 名の自閉症スペクトラム障害児(ASD 児)について、笑顔,ポジテイブな社会的行動(PSB),ネガテイブな社会的行動(NSB)の関連性の研究などもありました。

ASD 児を笑顔が生起する社会的な環境に導くとPSB が促進し,逆に NSB は減少すること,また動物介在活動は ASD 児の社会的コミュニケーション行動を促進する有効な手段であることが示唆された。

第 7 回動物介在教育 ・ 療法学会学術大会(2014.9.19 ~ 21.)「動物介在活動中に自閉症スペクトラム障がい児に生起する笑顔の定量的解析─笑顔識別インタフェイスを用いて─」愛知県心身障害者コロニー 舟橋厚 etc.

私が聞いた話し

動物は人間のようには思い通りには動いてくれない、嫌なことをされた時の反応がシンプルで分かりやすい、など、対人関係の訓練の一つにもなる。というような記事か何かを見聞きした記憶がありました。

自閉スペクトラム症の診断基準では、対人的相互反応の欠陥が中心的な障害の1つとなっているので、癒しの他にも対人関係の訓練になるなら一石二鳥だなと思いました。

息子とアニマルセラピー

息子のこと

息子は2歳5ヶ月で自閉症と診断され、他に中度知的障害難治性てんかんをもっています。

幼少期から多動で、5歳頃からはパニックやかんしゃくが多く、てんかん発作も月10回前後あり、本人も家族も日常生活に疲弊していました。(発達の様子はこちら

小さいころから街で見かけるお散歩中の犬によく興味を示していたので、ワンちゃんの触れ合いや、レンタルお散歩のサービスのある所へよく遊びに行きました。

自閉症児とアニマルセラピー

ずっとなでなでしていてその時間はとても穏やかなものでした。

なので、ペットを迎えることは、息子にとって、癒しの時間が増えることになると漠然とは考えていました。

ネコ好きになっていった

当初は、「自閉症と犬」のステキな関係を聞いたことがあったので、親は飼うなら犬かな、どの犬種がいいのかなど考えていました。

自閉症児とアニマルセラピー

しかし、よく遊びに行っていた犬の触れ合いのサービス施設には、ネコの触れ合いゾーンもあり、いつしか、息子は犬の方はいかずに、ネコの部屋にだけいるようになりました。

自閉症児とペット猫

小学2年生にもなり、意思疎通が多少とれていたので「飼なら犬より猫」と分かりました。

たまたまの出会ったネコを家族に

しかし、飼うなら猫と決めても「生き物を飼う」という責任の重さや、大変さが頭をよぎり、なかなか実行に移せずにいました。

自閉症児と猫

いいなと思った猫カフェ兼ブリーダーさんの所(↑)に通い、親猫ちゃんが次の子猫ちゃんを生んだらお願いしようかな、なんて思いながら。

そんなこんなで時間だけが過ぎて行っていたときのことです。息子が運命の猫(オス)↓と出会いました。

自閉症児と猫

たまたま行った大きなショッピングモールのペットコーナーの子猫でした。それまでたくさんの猫を見て触れ合ってきましたが、息子はこの子には特別な何か感じたようで、ウィンドウ前から動かなくなりました。

子どもや自閉症ならでは感性なのか、その場でその子と気持ちを通じ合わせ、翌日その子を家族の一員として迎えることになりました。

自分でパートナーに選んだ子は格別

一ヶ月後、多頭飼いをしてあげたいという親の希望のため、何匹かの子猫ちゃんに会いに行きました。

しかし、息子は一匹目の猫の時のような反応はありませんでした。いかに上記の猫が特別だったのかも分かりました。

自閉症児_二匹目のネコを探す

結局、母が二匹目の猫(メス)を決め家族に迎えました。

自分で選んだ一匹目の猫は、息子にとってはパートナーのような存在です。息子は二匹目の猫のことも大好きですが、大好き加減は全然違います。

息子と愛猫との日々

幸い、息子が選んだ猫は、家に迎えた初日から、ゴロゴロと喉を鳴らして、エサもよく食べ、トイレもひとりで上手にしてくれるタイプでした。(もう一匹のメス猫ちゃんは、数日ずっと泣いていて、水も飲んでくれず、性格の違いを感じました。)

猫も息子になついてくれた

猫が自閉症児になつく

慣らしの後、部屋で過ごすようになったら、寝る時も息子の側で寝たり、息子に抱っこされてなでなでされたり、一番息子になついてくれました。

猫はあくまで猫

しかし、もちろん猫です、嫌な時にはすぐ噛もうとしたり、逃げたり、全く息子の思う通りにはなってくれませ

自閉症児かんしゃくをおこさないように

それでも息子は、その猫のことが愛おしいようで、猫についてはかんしゃくを起こすことはありませんでした

それは当時の息子からしたら意外な反応で、安心した記憶があります。

毎日、ネコにべったり

自閉症毎日猫にべったり

息子は毎日、何かの合間合間でその猫と過ごす「猫タイム」を何度も行うようになりました。

猫のおもちゃで遊んでもあげますが、主に、抱っこして、なでなでして、息子のおもちゃ(プラレールやトミカを転がせて)で一緒に遊んでいました。

宿題する時、鉛筆のにおいを嗅ぎによく机に乗ってくるので、ひらがななどを教えてあげていました。

そして、毎日お風呂に入る時と寝る時は、抱っこして脱衣所や寝室に連れて行っており、猫自身もすっかりそのルーティンに慣れ、そこで待ったり、一緒に寝て幸せそうです。

もう一匹のメス猫ちゃんは、脱衣所や寝室は共にしてくれません。

お世話をする気持ちが育った

切りやフラッシングなど時の抑える時や、予防接種に行くときも、怖がる猫にお兄さん風を吹かせて大丈夫と声を掛けたり。

12歳になった今では、猫トイレの始末や水替え、エサやりも毎日してくれるようになっています。

https://youtu.be/r69-442gCbo

息子の変化|まとめ

自閉症児がペットを飼ったら
  • ずっと猫の側にいる
  • 猫にくっついている間、動かず穏やかにしている
  • 結果、落ち着いて過ごす時間がかなり増えた
  • その結果、パニックやかんしゃくが減り、穏やかになった
  • さらにその結果、思い通りにいかない時の感情のコントロール少し上手くなった

猫を迎えてから、ずっと猫の側に行ったり、一緒にいるので、家にいても常に何かにつけてパニックを起こしていたピリピリ感が弱くなっているのは、すぐに実感できました。猫に集中してくれているので、これは息子には、非常に意味があったと思いました。

また、思い通りにいかない時のパニックも少し減ったように思えました。息子の小学校に行く機会があったとき、小学一年生の時に担任をしてくれていた先生からも、猫を飼って半年くらい経ったころ(その時はもう担任ではなかったが、支援学校なので一緒に活動をする機会も多かった)、最近息子くん変わったね!と興奮気味に言ってもらいました。

もちろん、猫だけで改善出来たわけでなく、毎日の療育、認知面の発達、てんかん発作の治療なども関わっている結果です。

まとめ

今回は、自閉症とアニマルセラピーのこと、そして自閉症の息子が今もべったりして幸せそうに一緒に暮らしている愛猫を、どんな経緯でお迎えして、どんな結果になったのかという一つの例としてお話をしました。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!